整体師の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

整体師は、肩こりや腰痛に悩まされる現代人にとって頼れる仕事のひとつです。

本記事では、整体師の業務内容からその役割、仕事の流れなどを紹介します。

整体師の仕事とは

整体師とは、骨盤の歪みや筋肉の調整によって、肩こりや腰痛などの気になる症状の改善を促す仕事です。

人間の体は日々の生活習慣や癖によって骨盤にゆがみが出たり、筋肉のバランスが崩れたりすることがあります。

こうした症状や過去の病歴などをカウンセリングしたうえで、おもに東洋医学を基礎とする手法療法を用いながら骨や筋肉の歪みを取り除いていきます。

歪みによって生じた筋肉や骨の圧迫の改善をサポートすることで、人間が本来持っている自然治癒力を高め、改善へと導きます。

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整体師の仕事の流れ

カルテ記入・カウンセリング・検査

まず、お客さまに現在の症状や過去の病歴などを記入してもらいます。

これは今後の施術内容の大きな指針になる大切な資料なので、できるだけ細かく書いてもらいます

その後、整体師はお客さまへカウンセリングをします。

記載された症状と、お客さまが訴えている体の痛みや不調を一緒に確認します。

整体は、骨盤や関節のゆがみ・筋肉の傷などによって体に不調が現れているという考えに基づいているため、症状のある箇所を整体師が入念に確認します。

それから、今後の施術方針についてわかりやすく説明し、お客さまから理解と納得を得られれば施術をスタートします。

整体施術

基本的に整体師の施術は、東洋医学、とりわけを中国整体の推拿(すいな)を基礎としています。

整体の基本は、体の中心にあり上半身と下半身を支える役割のある骨盤、そして骨盤と繋がる背骨の歪みを正すことです。

体の不調の多くが体の歪みから来るという考えに基づくため、整体独自の手技によってお客さまの身体の歪みを矯正します。

また、症状に合わせて不調の現れている筋肉ももみほぐしていきます。

歪みによって生じた筋肉や骨の圧迫の改善をサポートすることで、人間が本来持っている自然治癒力を高め、改善へと導きます

アフターフォロー

施術後は、日常生活で気をつけなければならないこと、自分で行うストレッチの方法などを症状に合わせてアドバイスします。

近年では、現代特有の生活習慣病だけでなく、ストレスから来る疾患などを持ち合わせるお客さまも多くいるため、的確なアドバイスができるように、整体師は健康に関する幅広い知識を持っておく必要があります。

整体の種類

一口に整体といっても、さまざまな種類があります。

整体の種類
  • 整体の中でも歴史が古い「野口整体」
  • 産後の女性を対象に行う「産後整体」
  • 美容のために行う「美容整体」
  • スポーツをする人やアスリートを対象に行う「スポーツ整体」
  • 身体のバランスを整える「バランス整体」

など

整体師はそれぞれの手法を用いて、基本的には道具などを利用せずに手技のみによって施術します

また施術だけでなく、お客さまによりそったカウンセリングを行ったり、日常生活をするうえでのアドバイスをしたりすることもあります。

野口整体

野口整体とは、整体の中でも歴史が古い整体法で、昭和20年ごろに日本の整体指導者である野口氏が考案した整体法です。

この野口整体は「整体」という言葉が世に普及する契機となるほど人気を集めました。

一般的な整体は、背骨を矯正することで筋肉のコリをほぐしていくものですが、野口整体は、それだけでは終わらず、体の不調は心にも原因があるとしてみぞおちの硬さを調べて、柔らかくほぐす施術も行います。

身体の外側だけでなく内側からのケアも同時に行い、精神面や内臓の機能の改善にも期待できる療法です。

産後整体

産後整体は女性特有の整体で、出産時に開いてしまった骨盤を中心に調整する整体法です。

骨盤の開きのケアは、内臓の下垂を改善したり産後の腰痛などの諸症状を緩和したりすることにつながります。

近年は、産後だけでなく妊婦向けのマタニティ整体を施す整体院もあります。

美容整体

美容に特化した施術を行う整体です。

美容整体の内容
    • 小顔や整顔などを目指す顔に対する施術
    • バストアップ
    • ヒップアップ
    • 猫背の矯正

など

美容整体の中には、癒しやリラクゼーションを目的とした施術も含まれます

スポーツ整体

スポーツ整体は、主にアスリートやスポーツを日常的に楽しむ人向けの整体です。

ひとつのスポーツに特化している人は、フォームの癖やそのスポーツで酷使する筋肉が決まっているために特定の箇所を傷めやすくなります。

スポーツ整体では、そのように傷めた筋肉をほぐしたり、関節のゆがみやずれを調整したりして、怪我をしにくい体質に変えていきます。

スポーツ整体を専門に扱う整体師のなかには、スポーツ選手やスポーツチームと契約し、特定の人のために施術を行う人もいます。

バランス整体

バランス整体では、筋肉をほぐすことで体の反射経路や経絡(ツボ)を見て、骨の歪みやずれをチェックし、調整します。

これによってリンパや血液の流れがよくなり、自然と人間が本来持つ回復力を高めるという療法で、脊髄を中心に施術をするカイロプラクティックに近い整体です。

専門性をつけることで仕事の幅が広がる

整体には一般的な整体以外にも、どの部分を改善したいかという目的によって、より専門的な知識が必要になる場合があります。

また、勤務する整体院によっても施術の方法や方針は異なるため、勉強は欠かせません。

整体の種類を知り、整体師として最低限必要な知識や技術以外にも自分の強みとなる専門性を持つことは、お客さまのニーズを正確につかむことにもつながります。

整体師を目指す場合、自分がどの分野で活躍したいか、どんな人に対して施術を行いたいのかなどを考え、専門性を高める努力が必要です。

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整体師の役割

お客さまの痛みを緩和する

整体師が施術する症状は、病院では治療が難しいとされる肩こりや腰痛などがメインです。

整体師は資格の関係上、医師のように直接幹部を治療したり、薬を処方したりすることはできません。

しかし、整体師の施術により痛みが緩和され、症状が改善することも非常に多いのです。

そのため、病院では治療できなかったり症状に変化がなかったりした人が、痛みの緩和を求めて整体に訪れる人も多くいます。

世界における整体師の役割

整体療術は日本古来の治療法ですが、代替医療の国際的権威である医学雑誌「Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine(医学的根拠に基づいた補完代替医療)」で取り上げられるなど、国内のみならず世界的にも注目されています。

整体師の役割は世界各国でも認められ始めているため、技術さえあれば国境を越え、身体の痛みに苦しむ人々のために貢献することもできる仕事です。

整体師の勤務先と仕事内容の違い

整体師の勤務先・働き方の種類

整体師のおもな勤務先は、整体院やカイロプラクティック院です。

こうした場所で、肩こりや腰痛などさまざまな痛みや症状を緩和したいというお客さまのための施術を行います。

院によって施術内容や方針には違いがあり、なかには美容やダイエット・リラクゼーション系の整体院などもあります。

このほか、プロのスポーツチームや選手個人と契約を結んで、選手の身体の調子を整えるための整体を手掛ける人もいます。

整体院・カイロプラクティック院で働く整体師

整体師の勤務先として最も多いのは、整体院やカイロプラティック院です。

基本的に、肩こりや腰痛などの身体の不調や気になる症状を緩和したいお客さまに施術するのが仕事です。

その整体の方法は人それぞれで、整体院やカイロプラクティック院の方針によってもさまざまです。

一概にどの整体が良い・悪いということはないため、整体師として勤務先を選ぶ際は、できれば実際にその整体院やカイロプラクティック院に行って実際に体験し、自分に合った施術方法を選ぶようにしましょう。

スポーツトレーナーとして働く整体師

プロのスポーツ選手に対し、練習後や試合後に整体を行う整体師もいます。

スポーツトレーナーとして働く整体師は、フリーランスとして活動している整体師がほとんどで、それぞれのチームや選手と専属契約をして働きます。

練習や試合後の症状の緩和だけでなく、その選手の体調や筋肉の特徴などを完全に把握し、正しい筋肉の使い方、日常生活での対応などを専門的にアドバイスしていきます。

人気の仕事で、競争率は高くスポーツに対する専門知識と深い理解が求められます。

美容・リラクゼーション目的の整体師

近年、女性整体師も増加傾向にあり、症状の緩和だけでなく美容・リラクゼーションを目的とした整体院も増えています。

なかには西洋医学も取り入れた独自の技術を創り出し、ビューティーサロンという看板を掲げる整体師もいます。

美容・ダイエット目的の整体は、通常の整体院やカイロプラクティック院とは違い、主に女性をターゲットにしているため、インテリアや内装も女性がリラックスしやすいものを選ぶ傾向にあります。

介護・福祉業界で働く整体師

近年は福祉業界においても整体師の需要は増えています。

老人介護施設やデイサービスなどで、主にリハビリ目的の施術を中心に行います

身体の特徴を知り尽くしている整体師だからこそ、リハビリや日常生活に対するアドバイスができます。

高齢化が進み、今後介護・福祉業界で活躍する整体師は増加すると考えられています。

独立・開業して働く整体師

経験を積み、フリーランスとして独立したり、自ら開業したりして働く整体師もいます。

整体師は年々需要が高まり、施術の技術や知識があれば、フリーランスとして働く場合もそれほど苦労はないといわれています。

しかし、整体は決して楽な仕事ではないため、整体師として働き続けたいという情熱を持ち続けられる人がふさわしいでしょう。

整体師と関連した職業

整体師と医師の違い

整体師は施術で肩こりや腰痛などの症状を緩和したとしても、治療することはできません。

医療器具を使って病気を治療したり、薬を処方したりするには医師の免許が必要で、医学的な処置が必要な症状への対応は整形外科医の役目です。

また整体院を開業するにあたり、「病気を治す」などの文言を使って営業活動を行うことは、法律で禁止されています。

医師の仕事

整体師と理学療法士の違い

整体師と理学療法士はどちらも人の体のケアをする仕事ですが、就業する場所が異なります。

また、理学療法士は国家資格の取得が必須です。

多くの整体師は以下のような場所で働いています。

整体師の就業場所
  • 整体院
  • カイロプラクティック院
  • リラクゼーションサロン

など

それに対し、理学療法士の主な就業場所は以下の通りです。

理学療法士の就業場所
  • 整体院
  • 病院・クリニック
  • リハビリ施設

など

理学療法士の仕事

整体師とマッサージ師の違い

施術方法の違い

整体もマッサージも体の痛みや不調を改善して癒すという目的は同じすが、どのような方法で改善し癒していくかというアプローチ方法に違いがあります。

整体の施術方法

整体は、骨盤とその骨盤の上にある背骨の歪みやずれが不調の原因であるという考えに基づいた施術法です。

整体では主に骨盤や骨のずれを矯正し、筋肉のコリや疲労をほぐすというアプローチ方法をとります。

マッサージの施術方法

一方、マッサージは筋肉の表面を揉みほぐすことで縮んで硬くなった筋肉やそれに伴う血管や神経の圧迫を改善し、血の巡りをよくして体のコリや疲労を取り除くアプローチ方法です。

資格の違い

整体の資格

整体の施術には、国家資格など特別な資格は必要ありません

整体院で働きながら経験を積んで一人前の整体師になる人もいれば、整体師の養成学校で学んでから民間資格を取得する人もいます。

整体は骨にアプローチし、症状を根本的に改善していくためリラクゼーションマッサージよりも症状の緩和が期待されます。

ただし、法的にはリラクゼーションマッサージと同じく、癒し効果を目的としたサロンという位置づけになります。

マッサージの資格

マッサージは、国家資格であるあん摩マッサージ指圧師の資格を持つ人だけが施術可能です。

マッサージとよく混同されるのがリラクゼーションマッサージ、リンパトリートメントです。

これらの名称でマッサージの類似行為を行っているところもありますが、厳密には国家資格で認められたマッサージではなく、エステなどと同じく癒し効果を目的としたリラクゼーションサービスに分類されます。

保険適用に関する違い

整体は保険適用外

整体院で行う整体は医療行為ではないため、どんな施術であっても保険適用はできず全額自己負担となります。

そのため、費用がかさみやすいというデメリットがあります。

マッサージは保険適用の対象

あん摩マッサージ指圧師が開院しているマッサージ院では、医師による定期的な同意と適切な治療目的(筋麻痺、関節拘縮など)という一定の要件を満たせば健康保険の適用が認められます

ただし、単なるリラクゼーションや疲労回復目的では、保険の適用は認められません

病院との連携

整体は医療行為にみなされない

整体は医療行為には分類されないため、病院と連携することは原則ありません

これに伴い、問診や触診、所見の告知を行うことができないなどさまざまな制限があります。

マッサージは医療行為に含まれる

あん摩マッサージ指圧師の行うマッサージは医療行為に含まれます。

この場合のマッサージは、あん摩マッサージ指圧師と医師だけが行える施術です。

マッサージは医師の行う治療に準ずる位置づけであり、必要に応じて病院と連携をとりながらより効果の高い治療を目指します。

病院側も医療上マッサージが必要な症例として、筋麻痺や関節拘縮の患者にマッサージの施術を受けることを推奨しています。

また、あん摩マッサージ指圧師の資格があれば、病院のリハビリテーション室で働くことも可能です。

整体院と整骨院の違い

「整体」と「整骨」の違い

「整体院」と「整骨院」、施設の名称は非常に似ていますが、施術の方法や資格などに関して大きな違いがあります。

「整体」とは

整体とは、体を支える中心となる骨盤や背骨にアプローチし、骨のずれなどを矯正することによって筋肉のコリや疲労をほぐし、体全体のバランスを整えていく施術方法です。

整体は背骨や骨盤を中心に施術することが特徴で、主に以下の症状がある人を対象としています。

整体の対象となる症状
  • 筋肉や関節が原因の症状
  • 自律神経系の症状
  • 慢性的な症状

特別な国家資格がなく、資格がなくても施術を行うことができます。

「整骨」とは

一方、「整骨」とは、「ほねつぎ」とも呼ばれ、打撲・ねん挫・脱臼など骨に関わる症状を江戸時代から伝わる専門の知識と手技を使って治療する伝統医療です。

痛みの出ている場所に直接治療を施すというアプローチ法で、主に以下に対して施術をします。

整骨の対象となる症状
  • 交通事故や労災などで起きた症状
  • 打撲・ねん挫・脱臼などの突発的な症状

柔道整復師という国家資格を取得した者でなければ施術できません。

「整体院」と「整骨院」の違い

施術者の国家資格の有無

整体師が整体をする施設が整体院で、柔道整復師が整骨(ほねつぎ)をする施設が整骨院です。

整体師は資格が不要のため、どんな人でも開業することができますが、整骨の場合は柔道整復師の国家資格が必要です。

整骨院という名前を掲げて開業する場合は施術者が国家資格を取得していなくてはなりません。

保険適用の違い

整体は治療ではなく代替医療にあたるため、患者が払う料金も保険適用にはならず、全額実費です。

しかし、整骨院で働く柔道整復師は法律で柔道整復業、いわゆる医業類似行為(医師がおこなう医療行為)を部分的に施術できるため、交通事故や労災などが原因で起こった骨折や打撲に関する応急処置については保険適用が可能です。

整体院のメリット

整体院のメリットとは、整骨院では診てもらえない症状のケアができることです。

胃腸障害など、内臓系の症状を改善する施術を行えることは整体ならではの特徴です。

たとえば腰痛という整骨院でも扱える症状だったとしても、その原因によっては整体でなければ症状を和らげることが難しいこともあります。

特定の資格を必要としない整体師だからこそ、扱える症状も幅広く、多くの患者を獲得できる可能性も高いでしょう。

整骨院のメリット

整骨院のメリットは、国家資格保持者からの施術が受けられることです。

整体は無資格でも施術が可能なため、整体師によって技術や知識に差があることが多く、満足のいく施術が受けられないことも少なくありません。

しかし整骨院の場合は、全員が国家資格保持者のため、安心して施術を受けられます。

また、症状によっては保険適用になるケースもあり、費用面からも整骨院を選択するメリットは大きいといえるでしょう。

整体師の仕事内容のまとめ

整体師は、骨盤の歪みや筋肉の調整によって、肩こりや腰痛などの気になる症状の改善を促す仕事です。

整体にはさまざまな種類がありますが、基本的には道具などを使用せず手技のみによって施術します。

カウンセリングに始まり、施術、日常生活でのアドバイスなどのアフターフォローまでが整体師の仕事です。

整体は世界にも注目されている施術方法で、技術さえあれば体の不調に悩む世界中の人々に貢献することもできる仕事です。