生命保険会社の現状と将来性

生命保険会社の現状と需要

日本はアメリカに次ぐ世界第2位の生命保険大国です。

生命保険文化センターが2018年に発行した「生命保険に関する全国実態調査」によると、日本の生命保険への世帯加入率は88.7%にものぼります。

参考:生命保険文化センター

しかし、1996年をピークに国内の生命保険市場は縮小傾向が続いています。

その要因としては、時代の流れとともに専業主婦世帯が減少する一方で、共働き世帯や単身世帯が増加していることが挙げられます。

また、日本の平均寿命が伸び続けていることから「死亡リスク」よりも「生存リスク」、つまり長生きした場合のリスクへ意識が高まっていることも市場縮小の理由でしょう。

こうした状況のなか、生命保険会社では人々の保険ニーズの多様化に応じる動きがみられるようになりました。

本来の「生命保険」の意味合いであった死亡保障(残された遺族の生活費などの備え)のみならず、医療保障(病気や怪我による手術・入院費用などの備え)や老後保障(老後の生活に対する備え)まで保障領域を広げています。

時代の流れにあわせた柔軟な商品開発を進め、お客さまひとり一人の不安を満たす提案を行うなどして、各社生き残りをかけた戦略を展開しています。

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生命保険会社の将来性

日本では少子高齢化が今後さらに進んでいくと見込まれており、国内の生命保険市場が将来的に拡大していくことは考えにくいでしょう。

このような状況のなか、近年の生命保険業界では大手企業を中心に海外へ活路を見いだす動きが加速しています。

たとえば生命保険大手の「明治安田生命保険」は、2027年度をめどに、本業のもうけを示す基礎利益に占める海外事業の比率を15%にまで引き上げることを発表しました。

一方で国内における生命保険会社の再編・集約はほとんど進んでいない状況で、2020年9月時点で「一般社団法人 生命保険協会」に加盟する保険会社はいまだ約40社存在しています。

他業界のように再編が進まない理由としては、多くの生命保険会社がとっている、保険契約者を社員とみなす「相互会社」という企業形態にあるといわれています。

今後もこうした状況が続けば、大手のように海外展開ができない中小規模の生命保険会社は厳しい状況に追い込まれる可能性があるでしょう。

生命保険会社社員の今後の活躍の場

生命保険業界内での再編が難しいなか、他業種の企業との連携によって魅力的なサービスを打ち出す企業もあります。

生命保険会社大手の「住友生命保険」は、保険開発分野で通信会社大手のソフトバンクと提携し、健康増進プログラム「Vitality」を展開しています。

これは健康を改善するツールや関連知識、それを促すインセンティブなどを提供するもので、保険加入者がより健康になることをサポートするプログラムです。

高まる健康志向に即した商品であるだけでなく、歩数や運動データなどを集計して加入者の日常生活を分析することにより、精度の高いデータが集まり保険料の適正化にもつながっています。

この例のように、お客さまのニーズと社会課題に応えられる新たな価値を生み出せるどうかかが、縮小が進む国内市場で生き残るカギといえるでしょう。