裁判官の出身大学で多いところは? 学歴は必要?
裁判官はさまざまな経歴を持った人が活躍しており、学歴は必須ではありませんが、法科大学院の修了が一般的です。
この記事では、裁判官の学歴や出身大学について解説します。
裁判官に学歴は必要?
裁判官になるためにはどのような学歴が必要なのでしょうか?
まず、裁判官になるには、「司法試験」に合格する必要があります。
その受験資格を得るには「法科大学院の卒業」または「予備試験の合格」のいずれかが必要です。
予備試験を受験する場合は学歴は必要ないものの、司法試験や予備試験は非常に難易度が高いため、十分な準備が必要です。
通常の進路としては、まず4年制大学の法学部を卒業し、その後法科大学院に進学して受験資格を得ることが一般的です。
法学部以外の学科からでも法科大学院へ進学は可能ですが、「法科未修者コース」と呼ばれ、3年間の学習が必要です(既修者コースは2年間)。
ただし、裁判官に任官する際には、法科大学院の出身よりも司法試験の成績や司法修習の実績が重要視されます。
大学名よりも、試験のスコアや修習中の実績を重点的に積み重ねることが重要といえるでしょう。
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裁判官の出身大学で多いところ
基本的には、司法試験は法科大学院を修了した人が司法試験を受験しています。
法科大学院のなかでも、難関と言われる有名大学の出身者が、司法試験合格者には多くなっています。
2位 慶應義塾大 186人
2位 東京大 186人
4位 早稲田大 174人
5位 一橋大 121人
2023年(令和5年)の司法試験には3928人が受験し、1781人が合格しました。
そのうち法科大学院の修了者が817人で、法科大学院を経ずに「予備試験」に合格したことで司法試験の受験資格を得て合格した人が327人。
今回から受験が認められた法科大学院在学者の合格者数は637人でした。
法科大学院修了者のうち、学部で法学を既習した人のコースの出身者は670人で、未修者コースの出身者は147人でした。
性別については、男性1257人(70.58%)、女性524人(29.42%)でした。
法科大学院別では、京都大学が最も多く(188人)、慶應義塾大学と東京大学が同数で続きました(各186人)。
京都大法科大学院
京都大学法科大学院では、思考力を向上させるために討議・対話を重視した少人数教育が行われています。
司法試験の評価では、「単に論証パターンを吐き出すような答案」に対しては厳しい評価が行われています。
このような評価を克服するためには、法律問題に対する思考力を向上させ、自ら問題点を発見できるようになる必要があります。
京都大学法科大学院では、少人数のクラスでの授業やディスカッションを通じて、学生が主体的に考え、異なる視点から法的な問題にアプローチできるようにサポートしています。
慶應義塾大法科大学院
慶應法科大学院は、グローバル化を理念に掲げている法科大学院です。
グローバル法務専攻があり、国内の法律だけでなく国外の法律にも焦点を当てており、学生が「世界で活躍できる法曹」になるための環境が整備されています。
また金融法務、企業法務、知的財産法務など、現代において注目される法律についても他の法科大学院よりも重点的に学ぶことができます。
慶應義塾出身の法曹で構成される「三田法曹会」があり、模擬裁判やエクスターンシップ(短期就業体験)などのバックアップもあります。
東京大法科大学院
東京大学法科大学院では、5~60名のクラス制による双方向授業が行われています。
このクラスでの授業は、法学を志す学生にとっては一度は名前を聞いたことがあるであろう、有名な教授陣が担当しています。
こうした最高峰の教授陣が、近い距離で学生に指導を行うという点は学生にとって大きなメリットです。
学生は優れた法学教育を提供する一流の教授陣から直接学ぶことができます。
なお、東京大学出身者は法科大学院に進学せずに予備試験を受験する人も多いようです。
早稲田大法科大学院
早稲田大法科大学院では、早稲田出身の若手弁護士70名以上がアカデミック・アドバイザーとして活動しており、学生に対して個別の学修相談やゼミ、答練の実施など、多岐にわたるサポートを提供しています。
講座の種類は多岐にわたり、学生は自身のレベルや目的に応じて無料で受講することが可能です。
また、修了生が学修の仕方や初歩的な質問などに個別に対応するチューター制度が設けられています。
これにより、学生は同じ経験をした先輩から的確なアドバイスを受けることができます。
一橋大法科大学院
一橋大法科大学院の最大の特徴は、少人数制であることです。
東京大学法科大学院が毎年既修未修合わせて200名以上を募集する一方で、一橋大学法科大学院は約75名しか募集していません。
そのため、一橋大法科大学院は少数精鋭で高い学問研究のレベルを追求できる環境といえます。
裁判官の出身大学で多いところは?のまとめ
裁判官の出身大学において、特定の多い傾向は見られません。
裁判官になるためには司法試験合格が必要であり、その受験資格を得るには法科大学院の修了が一般的です。
ただし、学歴自体が必須ではなく、法科大学院に進むためには予備試験合格や他の道のりも存在します。
裁判官に求められるのはむしろ司法試験や修習での実績であり、出身大学よりも個々の実力が重視されています。