裁判官の定年・退官は何歳まで?
下級裁判所裁判官の任期と定年
下級裁判所の裁判官の任期は、憲法で10年と定められています。
なお、下級裁判所とは「最高裁判所以外の裁判所のこと」であるため、下級裁判所の裁判官とは「高等裁判所の長官」「判事」「判事補」「簡易裁判所の判事」などを指します。
これらの下級裁判所裁判官の任命は、最高裁判所が指名した者の名簿によって内閣がおこなうこととされています。
2003年からは「下級裁判所裁判官指名諮問委員会」が最高裁判所の諮問機関として、下級裁判所裁判官の指名に関する事項を審議する制度が導入されました。
裁判官の任期満了後については、ほとんどの場合、罷免の事由にあたるような特段の事情のない限りは再任されるのが通常となっています。
また、定年については、高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所の裁判官は65歳、簡易裁判所の裁判官は70歳と定められています。
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最高裁判所裁判官の国民審査と定年
最高裁判所の裁判官は、内閣の指名に基づいて天皇によって任命され、任命後初めておこなわれる「衆議院議員総選挙」の際に国民審査を受けます。
その後は審査から10年を経過した後におこなわれる「衆議院総選挙」の際に再審査を受け、その後も同様となります。
なお、最高裁判所裁判官の定年は、裁判所法により70歳と定められています。
裁判官の退官後
裁判官が定年で退官したあとの「第二の人生」について見ていきましょう。
裁判官を退官後はゆっくりと老後を送る人だけでなく、弁護士の活動をおこなう人や、公証人になる人もいます。
それ以外では、法科大学院の教授になる元裁判官も多いようです。
弁護士として活躍する
退官後に弁護士として活躍する元裁判官も珍しくありません。
裁判官のなかには法律学の大学教授などから任官する人もいますが、そうでなくても、一般的な司法試験に合格して法曹資格を得ている場合は問題なく弁護士登録をすることが可能です。
弁護士と裁判官では、その業務内容も働き方も大きく異なりますが、裁判官の視点を生かしてアプローチしたり、また被害者の救済といった裁判官のときにはできなかった役割を担うなど、精力的に活動するケースもみられます。
公証人として公証役場で働く
公証人とは、遺言などに関する公正証書を作成したり、会社の定款を認証したりする公務員を指します。
日本においては「公証人法」に基づき、法務大臣が任命する公務員となりますが、政府から給料が支給されるのではなく、依頼人からの手数料を収入源としています。
とくに東京や大阪などの大都市においては取り扱い件数が多いため、これらの地域に配属された場合、地方に比べて年収も高くなる傾向があるようです。
裁判官を退官後は、この公証人として公証役場で働く人も少なくありませんが、こちらは「法曹業界の天下り先になっている」との指摘もあります。