教師の需要・現状と将来性

教師の現状

保護者・地域からの過度な期待

昨今、都市化や核家族化が進むなか、家庭や地域社会の教育力が低下しており、これに伴って学校や教師に過度な期待が寄せられています。

基本的な生活習慣や道徳マナーなど、本来であれば家庭でしつけるべきようなことまで学校や教師に求める保護者もいます。

近年、教師に理不尽な要求をしたり、過激なクレームをつけたりする「モンスターペアレント」と呼ばれる保護者の存在が社会問題にもなっています。

ゆらいでいる教師への信頼

大多数の教師は教師としての使命感や誇り、愛情をもって子どものために尽力していると思われますが、一部の教師による不祥事のニュースが後を絶たず、学校や教師に対する風当たりは年々強まっています。

また児童・生徒が教師を無視したり、授業をボイコットしたりするなどの「学級崩壊」が、2000年前後から社会問題としてマスコミなどで多く取り上げられています。

かつて教師は「聖職者」として尊敬される存在でしたが、最近では教師に対する信頼の形が変わりつつあるという声もあります。

増加する病気での休職

社会の変化や保護者などからの過度な期待に対して、教師が必死に応えようとして、それが長時間労働の深刻化を招いているとの見方もあります。

また業務量の多さや理不尽な保護者への対応などで過度なストレスを抱え、心身ともに疲弊している教師もたくさんいます。

2012年の文部科学省の発表によると、公立校教師の病気、とりわけ精神疾患による休職率は10年間で約3倍に跳ね上がりました。

また2017年度では、教職員全92万760人中、うつ病などの精神疾患で休職した教師は5,077人おり、2007年度以降毎年5,000人前後で推移しています。

教師の需要

現在、全国の教育現場で教師不足が深刻化しています。

NHKの2017年4月の調査では、全国47都道府県と20政令指定都市のうち、32の自治体で定数に対し717人が不足していたとの結果が出ました。

また共同通信社の2018年5月の調査によれば、35の自治体で少なくとも600人が不足していたことがわかりました。

この一因として、教育現場の過酷な労働環境などの報道により、教師という職業に憧れや魅力を感じられず、教師のなり手が減っていることが考えられます。

教師不足が続けば、教師一人当たりの仕事量がますます増え、教育の質は低下します。

その結果、子どもたちの学力は低下し、保護者や社会が不満を募らせることで環境はさらに厳しくなります。

そうしてますます教師のなり手が減っていく、という悪循環が起きていると考えられます。

こうした背景もあり、教育現場では高い志をもった優秀な人材が常に求められています。

教師の将来性

近年、教員採用試験の倍率は低下傾向にあります。

民間企業への就職を希望する若者が増えていることや、かつて大量採用されたベテラン教師が退職期を迎え、教師の採用者数が増加したことが、その背景にあると考えられます。

しかし、2020年以降は退職者の減少と少子化の影響で教師の採用者数が抑えられ、教員採用試験の競争倍率は上昇していくことが見込まれます。

一方、教師を取り巻く環境には徐々に変化が見られるようになっています。

政府が掲げる「働き方改革」に関連する具体的な取り組みが、教育現場でも行われ始めました。

教師の業務内容の見直し、適切な労働時間の管理、外部人材の活用などを通して、教師の労働環境のさらなる改善に期待が高まります。

教師の今後の活躍の場

教師の活躍の場は時代を問わず学校が中心ですが、学校での教育スタイルは徐々に変化しつつあります。

2020年から小学校では「英語」が教科化され、「プログラミング教育」も必修化されています。

また、タブレットやパソコンなどのインターネット端末が普及している学校も増え、どの教師もある程度のITの知識を持たなくてはならなくなりました。

さらに近年、教師が一方的に正解を教えるのではなく、児童・生徒自身が主体的に学びに参加する「アクティブラーニング」という新しい教育概念が注目を浴びています。

これからの教師には、このような多様な変化に適応するため、常に知識や技能を高めていく姿勢がますます求められます。