教師の勤務時間・休日
教師の勤務時間
公立校教師の所定勤務時間は、一般的に8:15~16:45、休憩を除いて1日当たり7時間45分、1週間当たり38時間45分となっています。
しかし実際には朝7時半ごろには出勤して、退勤が19時過ぎになる教師が多いようです。
文部科学省が2016年に実施した教員勤務実態調査では、公立校教師の1日当たりの平均勤務時間は、小学校で11時間15分、中学校で11時間32分という結果になり、規定の勤務時間を大幅に超えていることがわかります。
また2018年に経済協力開発機構(OECD)が行った調査によると、日本の小中学校教師の1週間当たりの勤務時間は小学校で54.4時間、中学校で56.0時間となり、調査に参加した国や地域のなかで一番長いことがわかりました。
教師は学習指導に加えて、保護者への対応や部活動の指導など多くの業務を抱え込み、長時間労働が慢性化していることが伺えます。
このことが近年社会問題にもなっており、教師の働き方改革を求める声が年々高まっています。
教師の休日
教師に与えられている休日・休暇
私立学校の休日・休暇は学校ごとに異なる可能性がありますが、公立学校の場合は基本的に土日・祝祭日・年末年始が休みになります。
また公立校教師は地方公務員であるので、年次有給休暇、病気休暇、特別休暇、介護休暇が認められています。
年次有給休暇は、採用された年を除き原則年間20日まで取得できると多くの自治体の条例で定められています。
また夏季休暇は5日間与えられていますが、これは特別休暇に含まれます。
教師の休日・休暇の現状
有給休暇
教師にも有給休暇が付与されていますが、実際にはなかなか取りづらいというのが現状のようです。
有給休暇を使うと、授業を自習にしたり、ほかの教師にその埋め合わせをしてもらったりする必要があるからです。
文部科学省が2016年に実施した教員勤務実態調査によると、教師の1年間当たりの平均有給休暇取得日数は、小学校で11.6日、中学校では8.8日という結果になりました。
長期休暇
夏休みなどの長期休業期間は子どもたちにとっては休みですが、教師は通常通り出勤しなくてはなりません。
この間、部活動の顧問をしている場合はその指導、普段できないような雑務や教材研究、また研修や夏季講習など、教師には多くのやるべき仕事があります。
2002年に学校週5日制が完全導入された段階で、夏休みのまとめ取りが廃止されていましたが、2019年6月に文部科学省より「夏季等の長期休業期間における学校の業務の適正化」を求める通知が出されたことを受け、この期間中にまとまった休日を確保しやすくなりました。
こうした背景もあり、この期間に有給休暇をまとめて取得して、夏季休暇と合わせて2~3週間の休みをとる教師もいます。
教師の残業時間
教師の残業の実態
教師は授業以外にも膨大な業務を抱えているため、勤務時間内に仕事が終わらず、残業をせざるを得ない状況です。
文部科学省が2016年に行った調査によると、月80時間以上の時間外労働をしている教師の割合は小学校で33.5%、中学校で57.7%になりました。
小学校教師の3割強、中学校教師の6割近くが「過労死ライン」を超えて働いている実態が伺えます。
学級担任や部活動の顧問に就いているかどうかでも異なりますが、月100時間以上の残業をしている教師が5人に1人いるという統計もあります。
教師の働き方改革
公立学校において「給料月額の4%を『教職調整額』として支給する代わりに、時間外勤務手当を支払わないと」する「給特法」の存在が、教師の長時間労働を助長しているとの指摘もあります。
これを受けて2019年に「給特法」が改正され、文部科学省は公立学校教師の残業時間の上限を原則月45時間、年360時間まで、また特別な事情があっても月100時間未満、年720時間までに設定しました。
今後、教師の抱える業務や負担が軽減され、より働きやすい労働環境に改善されることが期待されます。
教師は忙しい? 激務?
教師は授業やその準備、生活指導や進路指導、成績処理、また行事の準備や学校運営に関わる事務作業などの雑務など、多くの業務を抱えています。
教師一人あたりの業務量が多過ぎるため、夜遅くまで残業をしたり、仕事を家に持ち帰ったりすることもあります。
授業準備や教材研究は子どものことを考えると終わりのない作業でもあり、真面目で教育熱心な教師ほど手を抜くことができず、長時間労働を強いられてしまう傾向にあります。
また「モンスターペアレント」と呼ばれる理不尽な保護者への対応や休日を返上して行う部活動の指導なども教師の大きな負担となっています。
過酷な労働環境のなか、過度なストレスにさらされ続けて、心身ともに疲弊してしまう教師もたくさんいます。
教師の休日の過ごし方
とくに新任などの経験の浅い教師の場合は、休日であっても学校に行き、終わらなかった事務作業や教材研究などを行うことが多々あります。
また部活動の顧問をしている教師は、土日に練習の指導や大会の引率をすることも多く、休みたくてもなかなかゆっくり休めないというのが現状のようです。
文部科学省の勤務実態調査では、2016年度の小学校教師のうち882人(12.5%)、中学校教師のうち719人(8.9%)が、土日のどちらかに出勤していることがわかりました。
ベテランの教師になれば、仕事のオンとオフをきちんと分けて、休日にしっかりリフレッシュすることができる人もいます。
ただし街や行楽地へ出かける場合は生徒や保護者と会う可能性があるため、教師としての顔を忘れないことが大切とされています。