官僚で海外留学に行けるのはどんな人?

官僚の留学制度とは?

各府省には海外留学制度があり、2年間、海外の大学で学ぶことができます。

正式には「行政官長期在外研究員制度」という制度で、国際的な視野を持ち、複雑化する国際環境に対応できる人材育成のため、諸外国の大学院(修士課程または博士課程)に派遣し、研究に従事させることを目的としています。

対象となるのは若手職員で、具体的には在職期間が10年未満の職員と定められており、博士号取得のための派遣は、在職25年未満の職員と規定されています。

希望すれば全員が留学できるわけではなく、まずは在籍する府省から推薦されなければいけません。

推薦基準は「業務の必要性や人材育成の方針に応じて」というもので、推薦を受けた職員は人事院によって選抜が行われ、合格した人のみ留学できます。

毎年120人以上がこの制度を利用して海外留学しており、2018年度は149人が留学しており、同年の留学先はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、シンガポールで最も多いのはアメリカの97人でした。

官僚は留学先で具体的には何をする?

当然ながら業務に生かすための留学となります。

例えば厚生労働省の場合、医療政策や国際保健などの知識を学び専門性を高めたり、食品安全・品質、食品政策、食品の持続可能性などを学んだり、それぞれの府省庁の特色に合わせて学びます。

ほかにもインターンシップによって実際の業務を経験する機会もあるなど、日本にいるだけでは決してできない体験を通して、帰国後の業務に生かすことが期待されています。

また、現地で生活し異文化に触れたり、諸外国から派遣されている若手官僚と交流したりすることは知見を広められるとともに、官僚の業務は諸外国との関りが避けて通れない時代になっている観点からすると、現地で培った国際感覚や語学力は後々役立つでしょう。

官僚の海外留学の問題点

官僚の海外留学で一番問題になっているのは、この「行政官長期在外研究員制度」を利用して留学したにも関わらず、早期退職してしまう点です。

帰国後、業務に生かすことを期待され留学するわけですが、海外の有名大学でMBA(経営学修士)やLL.M(法学修士)などの学位を取得したあと、その肩書を利用し民間企業へ転職するケースもあったようです。

やむにやまれぬ事情で離職する場合もあると思いますが、1人留学させるのに2年間で1,300万円程度かかるといわれており、2018年の留学人数である149人に換算すると単純計算で約20億円の税金がつぎ込まれているわけです。

当然国民の税金が使われていますので国にとしても問題視し、2006年に「国家公務員の留学費用の償還に関する法律」という法律が施行されました。

その内容は留学中、または留学終了後の原則5年以内に官僚を辞めた場合、留学費用相当額の全部または一部を償還するというものです。

これにより留学後、業務に生かす間もなく辞めたり、自己都合での早期離職は抑制されたといってよいでしょう。

ちなみに「国家公務員の留学費用の償還に関する法律」が施行された2006年以降、2017年までに合計219人が償還義務者となっています。