官僚になるには
官僚になるまでの道のり
官僚になるための代表的なルートは4年制大学を卒業または見込みとなり、国家公務員採用総合職試験に合格した上で、各府省庁の面接を通過するのが一般的です。
ちなみに高卒の場合、一般職試験や専門職試験の高卒者試験の区分を受験し、合格すれば国家公務員になれますが、官僚という分類にはなりません。
あくまでも国家公務員採用総合職試験の院卒者試験または大卒程度試験に合格した上で、官庁訪問を行い各府省庁から採用された人がいわゆる官僚と呼ばれています。
国家公務員採用総合職試験の区分
国家公務員採用総合職試験には「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2種類があり、それぞれ以下の区分ごとに試験が実施されます。
<院卒者試験の区分>
行政、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境
<大卒程度試験の区分>
政治・国際、法律、経済、人間科学、工学、数理科学・物理・地球科学、化学・生物・薬学、農業科学・水産、農業農村工学、森林・自然環境
各省庁、採用区分が決まっているため、入りたい機関が決まっているのであれば事前に確認して区分を絞って対策するのもよいでしょう。
試験内容
国家公務員採用試験は第1次試験と第2次試験の二段階制で実施され、第1次試験の通過者のみ第2次試験に進むことができます。
第1次試験は基礎能力試験および専門試験があり、基礎能力試験は公務員として必要な基礎的な能力についての筆記試験、専門試験は各試験の区分に応じた専門的知識などについての筆記試験です。
第2次試験は各試験の区分に応じた専門的知識などについての筆記試験のほか、院卒者試験では課題に対するグループ討議による政策課題討議試験と人物試験(個別面談)、大卒程度試験では政策論文試験と人物試験(個別面談)が行われます。
最終的な総合点で最終合格者が決定しますが、TOEFL、TOEIC、IELTS、英検の英語試験のスコアを持っている場合、一定の点数が加算されますので積極的に受験しておいた方がよいでしょう。
なお、換算対象となるのは試験実施年度の4月1日から遡って5年前の日以後に受験したスコアですので注意が必要です。
官庁訪問とは
国家公務員採用試験の最終合格者は希望する省庁への「官庁訪問」を経て採用される流れになります。
「官庁訪問」とは要するに各省庁での面接にあたるもので、決められた期間内に希望する府省庁へ出向き、面接官と面接を行い適性や人間性を見極められ、合格となれば晴れて官僚として働くことができます。
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官僚の資格・難易度
官僚になるために特別な資格は必要ありません。
国家公務員採用総合職試験は4年制大学を卒業、または見込みの人が受験資格となるので、官僚になりたい場合は最低でも4年制大学に通わなければいけないでしょう。
国家公務員採用総合職試験は難関といわれており、非常に優秀な人材が集まることでも有名で、それを証明するかのように官僚の出身大学は東京大学が圧倒的な割合を占めています。
なお2019年度の採用人数の多い大学のトップ3は東京大学304人、京都大学126人、早稲田大学97人となっており、いずれも国内トップレベルの学力を誇る大学です。
官僚になるための学校の種類
官僚になるためには4年制大学を卒業するのが必須です。
どの大学でも官僚になるチャンスはありますが、前記したように採用人数が多いのは東大をはじめ、日本でもトップクラスの学力を誇る大学ばかりですので、入学するのも難関ですが、官僚になるにもかなりハードルが高いといえます。
各府省庁によって対象区分が変わるので、それらに関する学部だと有利になるかもしれません。
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官僚に向いている人
使命感のある人
官僚は国家公務員という立場もさることながら、日本の中枢である中央省庁で働くため、国や国民のために尽力するのが使命です。
どの仕事も国の運営につながるものですが、直接目にされたり、気付かれなかったりするものも多くあります。
しかし日本を支えるための重要な使命をを持っているため、そこに喜びややりがいを感じられる人には向いているでしょう。
調整力のある人
国会議員をはじめ、所属する省庁に関連する業界団体や他省庁職員と協力して物事を進めることが多々あります。
周囲の意見を上手に調整しながら、法案や制度の最終調整を行うのも官僚の役目といえますので、そうした調整力が秀でている人は向いているでしょう。
逆に自ら発信して、物事を進めたい人は政治家に向いているかもしれません。
常に学びの姿勢を持っている人
官僚は国会議員の政策を実現するための実務を担当するため各分野での専門性が高く求められます。
世の中の流れや時代によって有益性も変わりますので知識を吸収し、ベストな答えを導くために常に学ぶ姿勢が必要でしょう。
体力的にも精神的にもタフな人
官僚の仕事は常にハードワークです。
夜遅くや日付が変わってから帰宅することも多いでしょうし、国会会期中などは答弁準備や資料作成などに追われ徹夜もあるでしょう。
仕事に対して大きな責任もあるので、体力的なタフさはもちろん、精神的なタフさもなければ続けるのは難しいかもしれません。
官僚のキャリアプラン・キャリアパス
入省後~数年
入省後から数年は本省や地方支分部局などで幅広い実務を担当し、一通りの仕事をこなせるように経験を積みます。
係長
係長としてより責任のある業務を任されるようになり、既存案件から、オリジナリティーのある政策立案や法令作成業務なども担当するようになります。
課長補佐
省庁の中核的な役割となり、企画や立案の中枢を担い、地方支分部局へ異動し部長などの管理職として実績と経験を積みます。
本省幹部
課長補佐を経た後は課長級以上の幹部職員として、所属省庁の中心として重要な役割と責任を担うようになります。
官僚を目指せる年齢は?
官僚になるための試験、「国家公務員採用総合職試験」には年齢制限が設けられています。
「院卒者」「大卒」ともに30歳未満となり、それ以降はたとえ大学院修士課程を修了していたり、大学を卒業していたりしても受験できません。
そもそも卒業後に目指すのは稀なケースかと考えられるため、大学在学中もしくは高校生のころから将来を見据えた方が効率的な対策もできるでしょう。
官僚は女性でもなれる?
まだまだ女性官僚の割合は少ないようですが、ここ数年は3割を超す入省者を維持しており確実に増加傾向にあるようです。
各省庁、女性向けのセミナーや女子学生向けのインターンシップを開催するなど、女性の採用に力を入れ始めている結果といえます。
今後もワークライフバランスの環境整備がさらに進むと考えられ、ますます女性官僚が増えていくでしょう。