柔道整復師の年収・給料はいくら? 理学療法士との年収の違いも解説
アルバイトや初任給の時給はあまり高くありませんが、スキルや経験が重視される職業であるだけに、何年も働き続けることで少しずつ給料はアップしていくでしょう。
競争が厳しい世界ではありますが、独立・開業や、個人としての実力が認められることで、平均年収を超えた高収入を手にする人もいます。
柔道整復師の平均年収・給料の統計データ
柔道整復師は国家資格を持って活躍する専門職であり、個々の経験やスキルによって、給料に差が出てきます。
現場に出たばかりの新人と、この道何十年というベテランでは、収入に大きな開きが出ることは珍しくありません。
また、整体院などに雇われて働く、独立開業して自ら経営に携わるなど、働き方によっても収入に違いが出てくることがあります。
柔道整復師の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、柔道整復師の平均年収は、40.1歳で459万円ほどとなっています。
・平均年齢:40.1歳
・勤続年数:9.7年
・労働時間/月:161時間/月
・超過労働:9時間/月
・月額給与:318,500円
・年間賞与:770,600円
・平均年収:4,592,600円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
柔道整復師の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
厚生労働省のデータや求人サイトの情報を基に算出すると、柔道整復師の平均年収は350万円前後、正社員として働く場合、手取りは各種税金などを差し引いて23万円前後になるものと思われます。
街の個人経営の整骨院では、定期的なボーナスの支給はない場合が多いようです。
社会保険完備でない場合、手取り収入は増えますが、自分で国民年金や健康保険料を支払う必要があります。
歩合給の制度を取り入れている整骨院などでは、患者さんを多く受け持つほど、給料が増えるしくみとなっています。
一部の大手企業が経営する整骨院グループや整形外科などではボーナスの支給もあり、手取りで25万円以上が安定して得られるところもあるようです。
柔道整復師の初任給はどれくらい?
接骨院や病院の整形外科に正社員として就職した場合、新人時代の平均年収は350万円〜400万円程度が相場とされています。
しかし、整骨院などによっては未経験者は全員アルバイトからスタートすることもあり、その場合は地域によって時給1,000円~1,200円ほどになる場合があります。
実際、下積み期間中の柔道整復師は、手取りの月収10万円台前半で苦労しながら生活している人もいるようです。
柔道整復師の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
柔道整復師の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模に勤める柔道整復師の平均年収は408万円、100〜999人規模は458万円、1,000人以上規模は507万円、10人以上規模平均は459万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の保健医療従事者」で臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師など他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
柔道整復師の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
柔道整復師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の555万円です。
全年代の平均年収は459万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の保健医療従事者」で臨床工学技士、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師など他職業を含むデータです。
柔道整復師の福利厚生の特徴は?
柔道整復師の福利厚生は、勤務先によって変わってきます。
大手企業が手掛ける整骨院グループや病院では、福利厚生が比較的充実している様子が見受けられます。
社会保険完備、交通費支給、制服貸与などのほか、社内・社外研修制度でスキルアップの機会が用意されている場合も多いです。
一方、個人経営の小さな院だと、福利厚生はさほど充実していないケースが目立ちます。
20代で正社員への就職・転職
柔道整復師の給料・年収の特徴
個人の実力や働き方によって給料に違いが出る
個人の実力や働き方によって給料に違いが出る
柔道整復師は国家資格が必要な職業ですが、資格をとればゴールではありません。
むしろ、現場に出てから地道に経験を積むことによって、知識や技術を高めていくことが重視される職業です。
そのため、働き始めたばかりの新人柔道整復師と、この道で10年以上といったベテラン柔道整復師では、給料にも大きな差が出ることは珍しくありません。
また、柔道整復師の活躍の場は、接骨院や病院の整形外科をはじめ、健康施設やスポーツ施設、介護施設など多岐にわたります。
独立して自分の整骨院を開業したり、スポーツトレーナーの道で活躍していく人もいます。
経験やスキル、さらには雇用形態や活躍の場によって、給料は大幅に変わってくるといえます。
歩合制で働くケースも
整骨院など柔道整復師の勤務先によっては、毎月決まった給料が支払われる「固定給」ではなく、担当した患者さんの数に応じて給料が上乗せされる「歩合制」をとっているところも多くあります。
そのため、確かな実力を持ち、たくさんの患者さんからの信頼を集めることができれば、より多くの収入が得られるようになります。
一方、学校を卒業してまもない新人時代は下積みとみなされ、あまりよい収入が期待できない場合もあります。
柔道整復師の勤務先別の給料・年収
整骨院
接骨院は、柔道整復師の代表的な勤務先で、骨折・脱臼・捻挫・打撲・挫傷などのケガや痛みに対して施術を行います。
正社員として雇用される場合、新人時代の平均年収は350万円〜400万円程度ですが、10年くらいの経験と実績があれば600万円〜700万円程度まで収入がアップする人もいるようです。
複数の店舗を経営している整骨院・接骨院では、健康保険や厚生年金保険、雇用保険、労災保険などの福利厚生が完備されているところも多いです。
歩合給の職場で働けば、多くの患者さんを担当できるようになることで、さらなる収入アップが望めるでしょう。
病院の整形外科
病院の整形外科に就職する場合も、整骨院と給料の相場はさほど変わらないようです。
幅広くリハビリ関連の専門知識を持っていることで就職・転職が有利になったり、給料アップにつながることがあります。
経験が重視されやすく、実際に患者さんと関わってきた実績があれば、年収500万円程度からスタートできることもあるようです。
スポーツ関連施設等
近年、柔道整復師の資格を生かした活躍の仕方として、「スポーツトレーナー」を目指す人が増えているようです。
スポーツトレーナーは、プロスポーツチームと契約を結ぶか、スポーツ関連施設などに勤務し、アスリートの身体づくりやトレーニングのサポート、コンディション管理などに携わります。
チームと契約を結ぶ場合は年俸制になる場合が多く、仕事の結果次第で収入が変動しやすいため、安定性には欠けるでしょう。
スポーツトレーナーとしてプロチームやプロスポーツ選手と契約する場合は、平均年収は約300〜1800万円程度です。
一方、スポーツジムやパーソナルジムなどで勤務するスポーツトレーナーは、年収で約300万~400万円ほどで、整骨院などで勤務する柔道整復師と大きな違いはありません。
20代で正社員への就職・転職
柔道整復師の正社員以外の給料・年収
アルバイト
柔道整復師は、アルバイトとして働く人もいます。
この場合の給料は「時給制」となり、地域によっても異なりますが、時給1,000〜1,500円くらいからスタートするのが一般的であるようです。
ちなみに、柔道整復師として患者さんの施術をするのであれば、アルバイトであっても国家資格が必要になります。
柔道整復師の専門学校に通い、国家資格取得を視野に入れながら整骨院や病院でアルバイトをし、在学中に現場での研修を積むという人は少なくないようです。
独立・開業
整骨院などで経験を積んでいる柔道整復師は、将来的に独立・開業を目指すケースがよく見られます。
開業後はオーナーとしての役割も担い、経営に成功すれば高収入を狙うことが可能です。
実力をつけて多くの患者さんを集めることができれば、年収1000万円を手にする人もいるようです。
しかし、整骨院の競争は激化しているため、成功は容易ではありません。
柔道整復師の年収が低い理由は?
柔道整復師は他のマッサージ業よりも比較的独立しやすい職業のため、若いうちから開業する人も少なくありません。
厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例の概況」によると、2022年度における柔道整復師の施術所は50,919か所と、ほかのマッサージ業に比べて非常に多くなっています。
半面、多くの人が年収アップを目指して独立開業すれば、激しい競争の中にさらされてしまいます。
経営力や集客力のない施術所は、年収が低くなってしまい、挙句の果てには廃業せざるを得ないパターンも見られます。
柔道整復師は多様な働き方があるものの、競争が激しいため、どうしても年収が低めとなってしまうことが多いのです。
柔道整復師と理学療法士の年収の違いは?
柔道整復師の年収が40.1歳で459万円ほどとなっているのに対し、理学療法士・作業療法士の平均年収は、35.6歳で433万円ほどとなっています。
どちらもほぼ違いはありません。
柔道整復師は外傷の治療を主な仕事内容とする職業ですが、理学療法士はさまざまなケガや病気などによって身体機能が低下した人に対し、リハビリ(理学療法)を行う仕事です。
急性のケガを主に扱う柔道整復師と比べ、理学療法士は身体機能が回復するまで関わる事が多いこと、また外傷だけでなくさまざまな疾患に対し理学療法を行うため、対象の広さが特徴です。
理学療法を行う際には基本的に医師の指示が必要であるため、柔道整復師とは異なり、開業権は認められていません。
柔道整復師は年収1000万円を目指せる?
(公社)日本柔道整復師会が発行している資料によると、全体の3,092件(19.9%)の整骨院・接骨院は、年間売上が「1,000万円超~2,500万円未満」としています。
さらに、年間売上が「2,500万円超~5,000万円超」としているの整骨院・接骨院は、全体の284件(1.9%)で、約2%の整骨院・接骨院は非常に高額な売上となっているのがわかります。
こうした資料から、年収1000万円を目指すことは決して不可能ではないといえるでしょう。
しかしながら、独立開業をするには多額の資金だけではなく、営業力や技術も必要となります。
顧客を獲得し年収をアップさせるには、若いうちからこつこつと経験を積みながら開業に向けて準備をしていくことが大切です。
柔道整復師が収入を上げるためには?
腕を磨いて専門性を高める
柔道整復師は、自分の腕で勝負していく仕事です。
専門性を磨き、たくさんの患者さんの抱えるさまざまな身体の悩みを解決させられるようになれば、自然と収入は上がっていきます。
駆け出しの頃は長い労働時間の割に給料が低めの場合もありますが、地道にスキルアップしていく努力が求められます。
実力を身につけていくことで、より高収入が得られる整骨院などに転職がしやすくなりますし、独立の道も開けます。
機能訓練指導員として働く
柔道整復師の活躍の場は、整骨院以外の場にも広がりを見せています。
なかでも近年注目されているのが、「機能訓練指導員」として介護福祉施設で働くことです。
機能訓練指導員とは、筋力の低下予防や健康維持を目的とした指導や、年齢や病気による痛みの緩和を目的としたマッサージなどを行う仕事です。
高齢化が進み、介護の担い手が不足している昨今では、機能訓練指導員は非常に需要が高く、求人数も非常に多いです。
介護業界で働く場合は、400~500万円台を狙うことも可能であり、5年以上の実務経験を積めば、ケアマネージャー(介護支援専門員)の受験資格が得られます。
柔道整復師としてのスキルアップ及びキャリアアップにつながるため、こうした道を選ぶ人も増えてきています。
鍼灸師の資格を取得する
人によっては「鍼灸師(はり師・きゅう師)」など、業務に関連するダブルライセンス、トリプルライセンスなどを取得し、さらに専門性を広げていくことで、さらなる成功を目指すことも可能です。
整骨院・接骨院では、鍼灸院を併設していることが多く、資格を持っていると即戦力になります。
鍼灸の知識と技術を併せ持つことで、施術の幅は広がり、あらゆる症状の対処ができるようになるでしょう。
年収がどれぐらい上がるのかは勤務先によって異なりますが、月に数千円~数万円の資格手当がもらえることもあります。
鍼灸師の資格を取得するには、柔道整復師と同じく養成学校に3年以上通い、国家試験に合格する必要があります。
歩合制で給料アップを狙う
整骨院によっては、固定給ではなく、施術を担当した人数や内容によって給料が上乗せされる「歩合制」を採用しているところも少なくありません。
また、それぞれの整骨院で定められた人数やノルマを達成することができれば、ボーナスやインセンティブに反映されるというところもあります。
歩合制は、努力次第で年収を上げられる制度であるため、給料をアップさせたいというやる気のある人には常にモチベーションが保たれます。
接客や技術などを磨いてより多くの施術ができれば、さらに高い収入を得られる可能性が高いです。
独立して接骨院を開業する
柔道整復師は開業権が認められている資格のため、独立開業する人も多くいます。
独立開業する人の中には年収1000万を超す人も少なくなく、多くの人が独立開業を目指して努力しています。
しかし、接骨院業界の競争は激化しており、独立開業したからといって簡単に高収入が得られることはないとみてよいでしょう。
経営の効率化や営業スキルを学んだり、専門性を高めたりするなど、ほかの整骨院にはない特色や強みを身につけることが必要です。
柔道整復師の年収のまとめ
近年では柔道整復師の活躍の場は広がりを見せており、スポーツ業界や介護業界などで働く人も増えています。
しかし、どこで働くにしても、より高い年収を求めるのであれば、技術力と経験、接客スキルが求められます。
柔道整復師は自分の腕で勝負する世界であるため、将来どんな現場でも活躍できるように知識や技術を身につけていくことが重要だといえるでしょう。