ITエンジニアになるには? 必要な資格やスキルを紹介
ITエンジニアになるまでの道のり
ITエンジニアをになる道のりとしては、まず大学の情報系学部やIT系専門学校などでITの基礎を学び、IT系企業に就職するのが一般的です。
ただし、ITエンジニアのニーズが急激に増しているいま、学歴や知識・スキルは問わずに採用する企業もあり、門戸は広く開かれているといえるでしょう。
プログラミングスクールを活用したり、完全に独学でスキルを身につけて就職する人もいます。
ただし、どのような進路で就職するとしても、一人前に仕事ができるまでには3年はかかるといわれています。
技術・トレンドの移り変わりが速い業界でもあるため、就職がゴールではなく、就職後にも継続的な学習が欠かせません。
また、ITエンジニアといっても、その専門分野や活躍の場、担当する案件の内容は多岐にわたります。
「ITエンジニアになりたい!」という場合には、具体的にどのような仕事に携わるITエンジニアを目指したいかを、あわせて考えていきましょう。
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ITエンジニアの資格・難易度
ITエンジニアになるために、取得が義務付けられている資格はありません。
ただし、IT技術者としての知識・スキルレベルを判断するための国家資格や民間資格はさまざまあり、そのなかでIPA(情報処理推進機構)の「情報処理技術者試験」(国家試験)が最も有名です。
情報処理技術者試験は、ITエンジニアの職種やスキルレベルに応じて「基本情報技術者試験」「プロジェクトマネージャ試験」といったさまざまな試験が行われています。
初級資格では50~60%ほどの合格率ですが、上位資格は難易度が高く合格率は20%程度です。
このほか、有名なIT系のメーカーや業界団体による民間資格も多く存在し、取得すると該当分野での評価につながります。
初心者や未経験者におすすめのIT系資格
未経験や、それに近い状態からITエンジニアを目指す場合は、まずIPA(情報処理推進機構)の「ITパスポート」や「基本情報技術者試験」などの取得を目指していくのがおすすめです。
これらは初心者向けの難易度でありながら、ITの基本的な仕組みや、ビジネスにおけるIT活用について幅広く学ぶことができます。
また、一部の技術分野に特化した「シスコ技術者認定」「オラクルマスター」「LinuC」などの民間資格も、その技術を扱う企業で高く評価されています。
ITパスポート
ITパスポートは、ITエンジニアだけでなく、業務でITを活用するさまざまな職種の人に向けての資格です。
入門レベルではありますが、パソコンやシステムの基本的な仕組みや、関係する法律、ビジネスにおける活用方法などを広く学ぶことができます。
受験資格はとくにないため、情報系の高校生の取得も多いです。
独学でも1~2カ月ほど学習することで十分取得を目指すことができ、例年の合格率は50%弱、受験料は5700円です。
ITパスポート試験は試験日や場所を問わず受験できるCBT方式で行われており、受験スケジュールの調整もしやすくなっています。
基本情報技術者
基本情報技術者は、ITエンジニアの登竜門として位置付けられている国家資格です。
ITエンジニアとしての基本的な知識や技能を有することを証明する資格で、エンジニアの分野を問わず必要になる知識が学べるため、就職後に取得を課す企業も少なくありません。
ITパスポートよりも高度で広範囲の内容を扱い、システムの設計や開発、プログラミング、セキュリティやIT関連法令に関する問題も多く出題されます。
初心者の場合、合格を目指すなら200時間程度の学習時間が必要とされ、合格率は受験者の20~30%と難易度は高めです。
試験は春と秋の年2回の開催で、受験料は5700円です。
応用情報技術者
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりもさらにレベルの高い試験です。
すでに企業で実務経験を持っているIT技術者が対象の資格ですが、広い範囲の知識を深めることができるため、ITエンジニアを目指す人なら資格取得に関係なく学習しておくとよいでしょう。
とくにマネジメントや戦略に関する知識は、上級のエンジニアを目指すなら必須です。
基本情報技術者試験の合格レベルからさらに200時間程度の学習が必要といわれ、試験では選択式だけでなく記述式の問題も出題されるため、しっかりした知識が必要です。
試験は春と秋の年2回行われており、例年の合格率は20~25%、受験料は5700円です。
ITエンジニアになるための学校の種類
ITエンジニアになりたい場合、大学や専門学校でITについて学ぶのが一般的です。
独学も可能ですが、学校に通ったほうが効率的に、普遍的な知識や技術を学びやすいです。
大学では、基本理論から体系的に学び、自分でテーマを決めて研究を行うことができるのに対し、専門学校では、大学よりも短時間で「実践力」を重視した知識や技術の習得が可能です。
情報・工学系の大学では年間で80万~160万円ほど、専門学校では初年度で120万円前後の学費がかかります。
そのほか、もっと手軽に学べる社会人向けのIT系スクールや、オンラインスクールも多数あります。
"ITエンジニアになるための学校と学費(大学学部、専門学校、スクール)"
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ITエンジニアに向いている人
ITエンジニアは、専門的な知識・技術の習得が必要ですが、入り口は決して狭くありません。
基本的にはITに興味や関心があれば、ITエンジニアになれるチャンスが十分にあると考えておいてよいでしょう。
なお、ITエンジニアはお客さまの問題をITによって解決する、問題解決能力が問われる仕事です。
問題を分析するのが得意な人や、技術を使って問題解決するのが好きな人は、ITエンジニアの適性がより高いといえます。
また、この仕事では継続的な学習が必要になるため、自主学習や、一人で長時間机に向かうことを苦手にしない人もITエンジニア向きです。
ITエンジニアのキャリアプラン・キャリアパス
ITエンジニアのキャリアはさまざまです。
一般的には、就職した企業で、各プロジェクトに参加しながら専門分野の知識・技術力を高め、少しずつスキルアップしていきます。
その後は、ハイスキルの専門技術者として現場で活躍し続ける人と、企画・提案などのいわゆる「上流工程」の仕事や、チームマネジメントに携わる人に分かれていきます。
現場の専門技術者になるには、より上級の資格を取得したり、大規模案件や難易度の高い案件を成功させることが求められます。
知識や実績を蓄え、IT戦略を考える「ITコンサルタント」や「ITストラテジスト」になったりする人もいます。
ITエンジニアの活躍の場はたくさんあるため、キャリアアップを目的に別の企業へ転職をしたり、独立したりする人もいます。
ITエンジニアを目指せる年齢は?
ITエンジニアは年齢制限のある仕事ではありません。
ただし、一人前になるまでに多くの学習が必要なため、早めにスタートするのに越したことはないでしょう。
成長のためには、いかに早く基礎学習期間を終え、現場に出て多様な経験を積むかが重要です。
昔から、ITエンジニアは「35歳定年説」といった言葉が使われることもありますが、実際には35歳を超えても仕事はできます。
ただし、ITエンジニアの仕事はハードになりがちで、長時間労働する人も多いため、35歳ほどから体力的に限界を感じる人が多くなってくるのも事実です。
とはいえ、40歳を過ぎて業界未経験でキャリアをスタートする人もいるため、本人のやる気や熱意があれば、何歳になっても目指せます。
ITエンジニアは高卒から目指せる?
ITエンジニアに求められる学歴は、勤務先の企業や職種などによってまちまちです。
中小企業や、特定の技術分野に特化した企業では高卒で募集できることも多くあります。
一方、大企業を中心に、幹部候補として大卒以上の人を募集対象としている場合が見られます。
また、ITエンジニアのなかでもAIやビッグデータといった先端技術を扱うエンジニアは、情報工学系の大学院卒でないと応募できない場合もあります。
なお、基本的に学歴が就職に大きく影響するのは新卒採用で、いったんキャリアをスタートしてからは、個人のスキルや実績次第で、さまざまな企業に転職できるチャンスがあります。
ITエンジニアは女性でもなれる?
IT業界は、もともと男性の比率が多い業界でしたが、最近は女性のITエンジニアが少しずつ増えています。
その理由として、時代とともに理工系に進む女性が増えていることや、IT業界の企業でも、女性が家庭と仕事を両立できるよう、働きやすい職場環境づくりに取り組むケースが増えていることなどが挙げられます。
また、企業におけるITインフラのクラウド化が進み、機器の運搬や構築といった体力を要する仕事が減ったことで、仕事における男女差も縮小しています。
ITエンジニアは人手不足の状況が続いているため、これからは女性を積極的に採用したいと考える企業がさらに増えていくものと考えられます。
文系でもITエンジニアになれる?
ITエンジニアは理系分野を学んだ人のための専門職だと思われがちですが、文系から就職し、活躍している人も多いです。
最低限のパソコン操作ができることと、プログラミングなどのIT知識・スキルは必要になりますが、それらは独学でも一定レベルまでは修得可能です。
学習するなら、市販のテキストやインターネット上の学習コンテンツを活用するとよいでしょう。
また、多くの企業では入社後に新人研修を行うのが一般的で、とくに新卒の場合、文系・理系の制限をかけずに募集している企業が多いです。
ITエンジニアは人手不足の状況が続くことが予想されているため、じっくりと社内で戦力を育てていく方針の企業が多く、未経験からでも入社後にしっかりと教育を受けられます。
もちろん、情報系を専門に学んできた学生は有利ですが、ITエンジニアは単なるプログラミング能力だけでなく、コミュニケーション能力やビジネススキルも問われる仕事です。
そのため、文系の学習を通して培った、人や社会に対する理解力が仕事における武器にもなります。
「文系だからムリ」と考えずに、積極的に挑戦してみましょう。
文系の強みを生かせるおすすめ職種は?
ITエンジニアは、専門分野や仕事内容ごとに職種が分類されます。
そのなかでも、文系の人にとくにおすすめなのが「システムエンジニア(SE)」で、実際に文系出身で活躍している人も多い職種です。
システムエンジニアは、顧客やメンバーとの直接のコミュニケーションや、案件を進めるための資料作成といった業務の割合が高く、「聞く力」や「伝える力」が問われる仕事だからです。
もちろん、ITの専門知識は必須ですが、働きながら勉強しても必要な知識は十分に身につきます。
システムエンジニアを経験していると、将来的に「ITコンサルタント」や「プロジェクトマネージャー」などの上流工程や、管理に携わる職種にもステップアップしやすいです。
IT知識に加えて人間や組織、社会、経営といったものにも興味を持てる人なら、ぜひ挑戦していくとよいでしょう。
大学の学部だけで仕事は決まらない
現代の日本は終身雇用制が一般的ではなくなり、生涯に数回の転職を行う人も増えています。
たとえ一流企業に就職できたとしても、企業の安定した経営状態や自分の待遇が保証されているわけではありません。
そのため、大学の学部や卒業時点の知識・スキルだけで将来を決める必要はありません。
文系からITエンジニアになる場合、就職時点ではやや不利かもしれませんが、ITの知識・スキルは努力によって補うことができます。
文系出身者を積極的に受け入れている企業も決して少なくはないため、諦めずに門を叩いてみましょう。
独学でITエンジニアになれる? どんな勉強が必要?
ITエンジニアを独学で目指す人はいる?
ITエンジニアは特別な学歴や資格を必要とする仕事ではないため、独学で目指すことは可能です。
未経験者を採用する企業もゼロではなく、知識・スキルがない状態でキャリアをスタートし、学んでいくことも不可能ではありません。
しかし、客観的に実力を示すものがなければ、ITエンジニアとして評価を受けることは難しくなってきます。
そのため、自分で作成したシステムやプログラムを集めたポートフォリオや、各種のコンテストの出場経験、IT関連の資格など、客観的に実力をアピールできるものが必要です。
資格については必須ではないものの、新人エンジニアで取得者が多く、幅広いIT知識が身につくのが「基本情報技術者」です。
この試験に合格するために必要な勉強時間の目安が200時間といわれています。
ITの基本を学ぶなら、最低でもそのくらいの勉強量が必要だと考えておきましょう。
独学のメリット
ITエンジニアを目指して独学する場合、「自由に学ぶことができる」ことが最大のメリットです。
学習する内容を自分で選べるため、好きな分野を徹底的に学んで深めていくことができます。
IT分野は書籍やインターネット上の学習コンテンツも多いため、教材探しに苦労することはないでしょう。
また、スケジュールも自由に設定できるため、自分の都合に合わせた勉強量や期間を決めることができるのもメリットです。
経済的にも負担が少なく、必要な費用が学校に通学する場合と比較して10分の1以下に抑えることもできます。
独学なら高校在学中や、フリーターとしてアルバイトをしながらなど、勉強を始めるタイミングもとくに問われません。
異業種で働いている人が、IT業界への転職を目指して、仕事の空き時間に独学するケースもあります。
独学のデメリット
ITエンジニアを目指す人が独学するデメリットとしては、自己管理が難しいことです。
ITの学習は不慣れな人にはハードルが高く、計画通りに進まない場合も少なくありません。
学校のような学習計画もなく、学習をサポートしてくれる先生もいないため、モチベーションの低下や学習の遅延が発生してしまうことがあります。
また、学習範囲が偏りやすいのもデメリットです。
エンジニアになるために学ぶべきことは非常に多く、好きな分野ばかり学んでいると、仕事で使えない知識ばかりが身につく危険性があります。
将来、ITエンジニアとして何がしたいのかを考えて、学ぶ分野を計画していきましょう。
ITエンジニアになるための勉強方法
書籍を使った学習
IT系の書籍は非常に種類が多いですが、ITに関する基礎知識を一通り学ぶのであれば、「ITパスポート」や「基本情報技術者」などの資格試験のテキストで学習するとよいでしょう。
これらは広い分野の基礎を体系的に学べるため、どんな職場でも必要な知識を身につけられます。
加えて、自分の専門にしたい分野については専門書や雑誌なども読んで、理解を深めていくようにするとよいでしょう。
座学ばかりにならず、できるだけ手を動かすことを意識した学習を心がけてください。
インターネット上のコンテンツを利用した学習
インターネット上には、ITについて学ぶためのコンテンツが豊富にあります。
ただし、上手に情報を探さないと、学習する範囲が偏ったり、深い知識が身につかない場合もあるため注意してください。
オンライン上でプログラミング用の学習環境を提供しているサービスは、プログラミンスキルを習得していくには非常に便利です。
インフラ系の学習は独学だと実際の機器を見たり触れたりするのが難しいですが、実際の機器の扱いを動画で見ながら学べるコンテンツもあります。
学習するべき範囲
ITエンジニアが学習するべき範囲は非常に広いですが、最低でも「プログラムはどうして動くのか」や「ネットワークはどうしてつながるのか」といったことを理解する必要があります。
また、インフラ系以外のエンジニア職を目指すなら、1~2つのプログラミング言語を使って簡単なプログラムが作れるくらいのスキルは必要です。
仕事をする上では、社会でのITの活用方法や、関係する法律などより広い範囲の学習が必要なため、エンジニア向け資格の教科を参考に学ぶことをおすすめします。