品質管理の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
この記事では、品質管理の意仕事内容や役割、仕事の流れなどについて詳しく紹介します。
品質管理の仕事とは
品質管理は、製造業(メーカー)などの企業に置かれる部門・職種のひとつで、生産する製品の品質をコントロールする役割を担います。
品質管理の主な仕事は、工場における生産体制の問題点発見とその改善、「QC(品質)工程表」というマニュアルの作成、製造スタッフの教育です。
メーカーでは、一定の基準や質を満たした製品を、安定的に、大量に生産し続けていかなくてはなりません。
そこで品質管理は、安定した品質のものを低コストで効率的に生産できるよう、「PDCAサイクル」という考え方に沿って、製造工程の一つひとつを見直すための業務に従事します。
ものづくりを行う企業にとっては、非常に重要な役割を担うポジションです。
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品質管理の具体的な業務の内容
品質管理には、以下のような業務があります。
業務1.工程管理業務
工程管理は、工場などにおける製造工程を、適切な状態に維持・管理する業務です。
「生産管理部門」や「設備部門」など別部署の社員と連携しながら、定められた納期やコストを守りつつ、一定水準以上の品質を保つように、生産ライン全体をコントロールします。
品質を維持するためのマニュアルとなる「QC工程表」や「作業標準書」と呼ばれる書類を作成することも、工程管理業務に含まれます。
さらに勤め先によっては、生産計画や生産スケジュールの策定、生産設備の設計、外部の仕入業者との交渉といった業務にまで携わることもあります。
業務2.品質検証業務
品質検証業務では、できあがった製品が求められるクオリティに達しているか、不良品がないか、あるいは不良品発生率がどのくらいかなど、完成品をチェックします。
チェックする対象は製品に加え、作業工程や設備なども含めた生産ライン全体に及びます。
なお、品質管理担当者が検証する業務範囲は基本的に「製品を製造するまで」であり、出荷・販売したあとの完成品の品質については、「品質保証」という別の部署が担当します。
業務3.品質改善業務
品質改善業務は、問題点を指摘・発見し、その原因を突き止めて、再発防止策を考えたり、製造方法を改良することです。
たとえば完成品のなかに一定の割合で不良品が混ざってしまう場合、その理由が原材料にあるのか、あるいは作業工程や設備に問題があるのかを調査し、製造工程を修正して、再発防止に努めます。
こうした作業は、「PDCAサイクル」と呼ばれる手順で行い、品質を高めていきます。
PDCAサイクルとは、「plan:計画」「do:実施」「check:評価」「action:対策」という4段階の工程を繰り返すことです。
また、研修や勉強会を実施して製造スタッフを教育したり、製造スタッフが働きやすい環境を整えるといった仕事も品質改善業務の一環です。
品質管理の社内での役割・ミッション
消費者が各メーカーや各商品に対してどんなイメージを抱くかは、結局のところ、実際に販売されている商品の出来次第です。
大金をかけてCMなどの広告を打ち、画期的な性能や効能、デザイン、価値などをうたっても、実物が宣伝通りの製品でなければ何の意味もありません。
製造された製品のクオリティを公表通りの水準に保ち、消費者の信頼に応えることが、企業イメージと企業利益を守ることにつながります。
品質管理は「製造工程の最後の砦」と呼ばれるほど重要な役割を担っており、自社製品の品質を守らなければなりません。
品質を守ることは、消費者の安全・安心を守るということでもあります。
とくに近年は、検査データ改ざんなどのメーカーの相次ぐ不祥事を受けて、消費者が製造現場に向ける目線は年々厳しくなっています。
品質管理担当者には、よりいっそうの活躍が求められるようになったといえるでしょう。
国際的な製造工程管理規格である「ISO:国際標準化機構」の取得も、品質管理の重要なミッションのひとつになりつつあります。
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品質管理の業界・企業規模による仕事の違い
品質管理は、自社でものづくりを行っている企業であれば、まず間違いなく必要になる職種です。
食品や機械、自動車、化学、金属、医薬品、化粧品、繊維、アパレルなど、さまざまな業界で品質管理が働いており、「どの製品製造を管理するか」によって、実際の仕事内容には違いがあります。
なお、関連する職種として、製品の企画段階から生産計画の立案、販売後のサポートまで、総合的に自社製品の品質を守る「品質保証」がありますが、企業によっては品質保証の担当者が品質管理業務まで担当することもあります。
一般的に、規模の大きなメーカーほど品質管理を担当する社員が多く、細かく役割分担がなされています。
一方、規模の小さい中小企業ほど、品質管理部門と品質保証部門が一体化されるなど、一人あたりの担当業務が幅広くなっているケースが目立ちます。
なお、大手メーカーの多くはコストダウンを図るために製造拠点を海外に移しているため、大手メーカーで品質管理として働くなら、英語などの語学スキルも求められてきます。
品質管理の仕事の流れ
品質管理の仕事は、PDCAサイクルに基づいて進められます。
-
1.Plan(計画)
不良品や事故が発生した際に作られる報告書などをもとに、再発防止策を策定したり、新たなマニュアルを作成したりします。 -
2.Do(実施)
策定した再発防止策を実行に移します。 -
3.Check(評価)
製造工場を巡回して、改善すべきポイントを探します。 -
4.Action(対策)
問題が見つかったら詳しく原因を調査・分析して改善します。報告書の作成も行います。
品質管理と関連した職種
製造業の企業では、品質管理と近しい役割をもつ、さまざまな職種の人が活躍しています。
ここでは、品質管理と関連性のある職種を3つピックアップし、それぞれの品質管理との違いについても紹介します。
品質保証
「品質保証」は、製品製造の開発から製造、販売まで、一連の流れすべてにおける品質をコントロールする職種です。
顧客や消費者により高い満足度を提供することが主な役割であり、構成要素やデザインを見直したり、どんな原料を使っているか告知したり、購入者からアンケートを取るなど、さまざまな業務を行います。
品質管理と比べると、品質保証はより広範な業務を手掛けます。
品質管理はスペシャリストタイプ、品質保証はゼネラリストタイプともいえるでしょう。
生産管理
「生産管理」は、どの種類の商品を、どのくらい、どのタイミングで製造するか生産計画を立案したり、生産ラインをコントロールしたりする職種です。
生産管理も品質管理と同じく、製造工程を管理することが主な役割です。
生産管理の仕事の特徴は、守る対象が「納期」である点です。
この点、守る対象が「品質」である品質管理との大きな違いといえます。
生産管理の仕事はかなり幅広く、原材料の調達先の選定や価格交渉、完成品の在庫管理などまで手掛けるケースが一般的です。
生産技術
「生産技術」は、生産ラインの設計や管理、設備開発などを担当する職種で、品質管理や生産管理などと同じく、工場などの製造現場で活躍します。
生産技術が品質管理や生産管理と大きく違う点は、よりいっそう機械や科学技術に関する専門的な知識が必要になる職種だということです。
品質管理と生産技術は密接な関係にあります。
たとえば品質管理が導き出した問題点を改善するために、生産技術が新しい設備を設計するなど、お互いが協力し合って働くケースもよく見られます。
「品質管理の仕事内容」まとめ
品質管理は、主に製造業などの企業(メーカー)において、生産する製品の品質をコントロールする役割を担います。
工場での生産体制の問題点発見やその改善、「QC(品質)工程表」作成などの業務を担当する品質管理は、自社での安定的な製造を行う上で、欠かせない存在です。
規模が小さめの企業では、近しい役割をもつ品質保証の仕事に品質管理が含まれていることもあります。