CADオペレーターになるには
本記事では、CADオペレーターになるまでの道のり、どんな人がCADオペレーターに向いているか、CADオペレーターのキャリアプランなどを紹介します。
CADオペレーターになるには
CADオペレーターの求人は、一般的に「学歴不問」とされているケースが多いため、活躍する人の学歴はさまざまです。
大卒でなければ就職が難しいということはありませんし、CADの知識がまったくない人でも、やる気あれば働ける職場はあります。
ただし、未経験からスタートする場合は、基礎的なスキルだけは身につけておくことをオススメします。
近年では民間スクールなどでCAD技術を学んでから就職を目指す人が増えているようです。
学校を卒業したのち、建設会社や電機、自動車メーカー、アパレル会社などに就職することが、CADオペレーターになるための第一歩です。
まずは、アルバイトで実務経験を積み、スキルがついてきたところで正社員として転職を目指す方法もあります。
とくに建設会社や個人事務所などでは、未経験のアルバイトを募集していることもあります。
CADの技術や業界知識がない場合は、図面を理解する知識や専門用語などを現場で学ぶチャンスです。
20代で正社員への就職・転職
CADオペレーターを目指す人におすすめの資格
CADオペレーターにおすすめの資格は?
CADオペレーターになるにあたって、資格は必須ではありません。
募集要項では「資格不問」「専門知識は不問」などと掲げられることもありますが、好待遇の企業への就職・転職を目指したいのであれば、事前に資格を取得しておくことでライバルに差をつけられるかもしれません。
CADオペレーターには国家資格はないものの、民間資格で最も代表的なものとして「CAD利用技術者試験」「建築CAD認定試験」があります。
こうした資格取得を目指して勉強をすることで、自分の知識習得やスキルアップにもつながります。
お金や時間に余裕があるならば、実務に生かせる勉強と資格取得に向けて、専門学校や民間スクールに通うことを検討してみるとよいでしょう。
CADオペレーターの資格の種類は?
CAD利用技術者試験
未経験者でこれからCADオペレーターを目指す人に最もおすすめしたい資格は、一般社団法人コンピュータ教育振興協会が主催する「CAD利用技術者試験」です。
この試験制度は、CADの利用技術を評価・認定するもので、「2次元CAD利用技術者試験」「3次元CAD利用技術者試験」の2種類があります。
2次元CAD利用技術者試験
「2次元CAD利用技術者試験」は、CADを利用するための知識を持ち、さらに図面を正しく理解できること、CADを利用した作図ができることを証明するための試験制度です。
- 基礎
- 2級
- 1級
の3つの種類に分かれています。
2次元CAD利用技術者試験基礎は、これから本格的にCADを学びたい人や3ヶ月程度の就学者に向けた試験制度です。
将来、設計や製図、CADソフトの販売、営業を目指す人などが受験対象となります。
2次元CAD利用技術者試験2級は、CADを利用した設計・製図業務を目指す人、もしくは従事して日が浅い人に向けた試験制度で、CADシステムの運用やデータ管理業務を目指す人が受験対象となります。
合格後は、設計事務所やメーカーの営業、派遣・在宅のCADオペレーター、CADインストラクターとして活躍できます。
2次元CAD利用技術者試験1級は、さらに
- 機械
- 建築
- トレース
に分かれています。
CADを利用した設計・製図業務に従事して1年以上の実務経験者、または1年以上の就学経験者に向けた試験制度で、将来、設計者やCADオペレーターの管理業務を目指す人が受験対象となります。
1級(機械)合格者は、機械設計事務所、機械・設備メーカー、CADインストラクターとして従事できます。
1級(建築)合格者は、建築設計事務所、住宅・設備メーカー、CADインストラクターとして従事できます。
1級(トレース)合格者は、建築・土木設計事務所、機械・アパレル・インテリアメーカーへの就職が期待できます。また、在宅のCADオペレーターとして独立を目指ざせます。
なお、1級は、2級有資格者および過去の1級合格者でなければ受験資格がありません。
3次元CAD利用技術者試験
「3次元CAD利用技術者試験」は、3次元CADの利用者が身につけておきたい技能と知識の証明ができる試験制度です。
- 2級
- 準1級
- 1級
に分かれています。
3次元CAD利用技術者試験2級は、3次元CADを利用したモデリング・設計・製図業務を目指す人が受験対象です。
合格後は、準1級・1級へと試験合格を経て、機械・自動車メーカーの設計者、設計補助、3次元CADソフトの営業や製品管理などの関連業務に従事できます。
3次元CAD利用技術者試験準1級は、3次元CADを利用したモデリング・設計・製図業務を目指す人、もしくは従事して日が浅い人に向けた試験です。
3次元CADを利用した設計補助や、3次元CADオペレーターを目指す人が受験対象となります。合格後は、自動車、機械メーカーの設計補助やオペレーターとして活躍できます。
3次元CAD利用技術者試験1級は、3次元CADを利用したモデリング・設計・製図業務に従事して半年以上の実務経験者、または1年以上の就学経験者に向けた試験です。
将来、設計者やオペレーターの管理業務を目指す人が受験対象です。合格後は、自動車、機械メーカーの設計者、設計補助として活躍できます。
なお、準1級および1級は、2級合格者でなければ受験できません。
建築CAD検定試験
「建築CAD検定試験」は、一般社団法人全国建築CAD連盟が認定する資格試験です。
CADの資格試験というと、機械系CADをイメージされる人が多いでしょうが、この試験はCADを利用して建築用図面を描く技術とスキルを測定するものです。
CAD教育を実施する大学、短大、高専、専門学校、高校、職業訓練校、民間スクールなど、幅広い教育機関で採用されている資格試験です。
- 4級
- 3級
- 2級
- 准1級
に分かれ、CADを使用して建築図面をいかに正しくトレースする技能があるか、CAD技術のみでなく基礎的な建築知識が問われます。
4級および3級は、与えられた建築図面を正しくトレースするスキルを備えているかが問われます(※4級は、高校による団体受験のみ実施しています)。
試験時間は2時間です。合格基準は4級が200点満点中130点~140点、3級は140点~150点を目安としています。
2級は、自らの建築知識をもとに、CADを使用して建築図面を作成するスキルを備えているかどうかを問うものです。
試験時間は5時間です。合格基準は250点満点中190~200点を目安としています。
準1級は、試験時間4時間10分内に課題として与えられた建築図面のトレースを、自らの知識とCADの経験を駆使したうえで完成させることが求められます。
スキルを証明する手段としての資格
CADオペレーターとして就職・転職する際に重視されるのは、資格よりも「実務経験」であることが多いです。
とはいえ、未経験でCADオペレーターを目指す人には、当然ながら実績がありません。
まずは、CADを勉強して、提示できる資格を取得することが、仕事への意欲や一定のスキルを証明することにつながるでしょう。
CADオペレーターになるための学校の種類
CADオペレーターになるために必ず通わなくてはならない学校というものはありません。
しかし、CADソフトは素人がいきなりスムーズに扱えるものではなく、実務で利用するには専門的な知識や技術を身につけることが必要になります。
専門学校で学ぶ
CADオペレーターに必要な知識や技術を学べる学校としては、専門学校が最も一般的だといえます。
卒業すると受験可能となる「高度専門学士」の学位が授受される4年制コースや、CADや製図に特化した専門学校などがあります。
多くの人が就職前にCADを学べる学校に通い、基礎的なスキルを習得してからスキルアップを目指しています。
大学で学ぶ
大学でCADの技術や知識を学ぶのであれば、建築系の学部を選ぶとよいでしょう。
工学部や理工学部の中に、建築学科や建築コースを置く大学もあります。
建築学を学ぶことによって建築士を目指しやすくなったり、建築とCADがどう関連しているのかなどについて体系的に学べます。
ただし、建築学科であってもCADはほとんど触らない大学もあるようです。
理系は有利?
CADオペレーターには、理系の専門知識が求められる場合もあります。
基本的には、CADオペレーターは設計士からの指示内容を図面化していく作業を担当していますが、どれだけ正確に形にしていけるかはCADオペレーターの腕にかかっています。
図面を理解するうえで、複雑な構造設計に関する専門知識が必要になったり、数学的な知識やロジカルな思考力が求められたりすることもあります。
そういった意味では、数字に強い理系出身者は、CADオペレーターや設計士に有利といえるかもしれません。
CADオペレーターになるためにはどんな学校に行けばいい?(大学、専門学校、スクール)
20代で正社員への就職・転職
CADオペレーターに向いている人
集中力が高い人
CADオペレーターは、設計士やデザイナーからの指示を見落とさずに、正確な図面を作り上げる必要があります。
ちょっとしたミスなどがあれば修正が必要になり、大幅な時間のロスになるばかりでなく、ほかのスタッフにも迷惑をかけます。
したがって、リフレッシュしつつも集中して作業に取り組み、正確に進められる人が向いているといえます。
几帳面な人
CADオペレーターは、基本的にパソコンと対面しながらコツコツと地味な作業をこなしていく仕事です。
ひとつのことにじっくりと取り組める人や、地道な作業も苦にならない几帳面な人が向いているといえます。
同じような作業に対しても決していい加減にならず、丁寧に進められる几帳面な人であれば、周囲のスタッフからの信頼を得られるでしょう。
コミュニケーションが取れる人
CADオペレーターは、パソコンと向き合う時間が長くなる仕事ですが、人とまったく関わらないというわけではありません。
設計士やデザイナーから指示を受け、その内容をきちんと理解したうえで仕事を進める必要があります。
もしわからないことがあれば後回しにせず、周囲の人にすぐに確認することが大切です。
設計者や現場スタッフなど多くの人間と関わることになるため、積極的にコミュニケーションを図ることが仕事を円滑に進めることにもつながります。
CADオペレーターのキャリアプラン・キャリアパス
CADオペレーターを必要とする企業は、即戦力になる人材を求める傾向にあります。
まずはアルバイトからスタートし、経験を積んだのちに正社員になるというルートもキャリアパスのひとつです。
アルバイトでも技術を身につければ難しい仕事も任されるようになりますし、働きぶりを認められてそのまま正社員として採用される人もいます。
CADオペレーターとして就職試験を受ける際には、現場で得た実務経験が大きな強みとなるでしょう。
CADオペレーターを目指せる年齢は?
CADを扱う仕事に年齢制限などはありません。
いくつかの求人情報を見てみると、CADオペレーターは年齢不問で募集されていることも多く、近年ではシニアを応援する派遣会社もあります。
現役CADオペレーターのなかには、60歳を過ぎてもフリーランスとして活躍している人もたくさんいるようです。
年齢を重ねてもスキルを磨き続ける情熱がある人ならば、生涯現役で働けるでしょう。
CADオペレーターは高卒から目指せる?
高卒であっても、CADオペレーターを目指す道はあります。
ただし、20代後半や30代になってくると、未経験からの就職は厳しいかもしれません。
とくに普通科卒は、工業高校卒とは異なり専門知識が不足するため、採用されたとしても単純作業や雑務を担当させられてしまうことになりかねません。
少しでも経験者との差を縮めるためには、専門学校などに通って技術を学ぶ、資格取得を目指すなどの努力が大切です。
CADオペレーターは女性でもなれる?
ものづくり業界で活躍できるCADオペレーターは男性の職種と思われがちですが、実は女性も多く活躍しています。
結婚や出産を機にCADオペレーターに転身する女性もいるようです。
建築業界や機械メーカーなどで設計やデザインをしていた人が、ライフスタイルに合わせて働ける派遣のCADオペレーターになるといったケースがとくに目立ちます。
CADオペレーターは派遣社員としての働き口が多いため、勤務先の選択肢も広く、妊娠・出産後も仕事を続けやすい職業といえるかもしれません。
CADオペレーターの働き方の種類・雇用形態
CADオペレーターの働き方は、パート・アルバイト、派遣社員から正社員、フリーランスまでさまざまです。
いずれの雇用形態にしても、CADの知識や実務経験は求められてくるため、学生のうちからアルバイトをしてスキルを身につけたり、資格を取ってアピール材料を増やしたりすることをおすすめします。
実力をつければフリーランスとして活躍するチャンスもめぐってくるでしょう。
ここでは、CADオペレーターの雇用形態や、アルバイトからCADオペレーターを目指す流れなどを紹介します。
CADオペレーターの雇用形態
CADオペレーターには多様な働き方があります。
なかでもハローワークの求人票などで見かけることが多いのは、派遣社員としての募集です。
建築、機械メーカーなど業界を問わず、CADオペレーターの求人の雇用形態は、多くが派遣社員となっています。
この背景には、製図業務が発生する繁忙期のみ期間限定で派遣スタッフを雇い、閑散期はできるだけ人件費を削減したい、という企業の意向があるものと考えられます。
業界や企業によって繁閑期は異なりますが、上記のような理由もあって、派遣のCADオペレーターの需要は大きいです。
正社員のCADオペレーターの働き方
将来、設計士やデザイナーなどキャリアアップを目指す人や、企業の即戦力となれる人は、最初から正社員として採用されるケースも多いです。
未経験者の場合は、事務処理や雑務など、他の業務と兼任することでCADオペレーターとして採用されることもあります。
入社数年間は業界知識をいちから学び、設計士やデザイナーの補助業務を中心に行います。
正社員として働くCADオペレーターの平均年収は300万円~400万円程度、平均月収は24万円~32万円程度だといわれています。
業界を問わず、CADのスキルと実務経験が最重視される職種であるため、経験が長くなるほど給料や年収の差が出ることが特徴です。
なお、未経験者のCADオペレーターの採用率が最も高いのは20代前半だといわれています。
大学で建築学やCADを学ぶのもひとつのルートですが、学校で実務経験を積むことはできません。
学生のうちに建築・土木業界などでアルバイトとして現場で経験を積んでおけば、就活の際にもアピールできる強い武器となります。
派遣のCADオペレーターの働き方
派遣会社から建築業界、機械メーカーなどの企業に派遣されて働くCADオペレーターもいます。
製図業務が発生する繁忙時期に合わせて短期間雇用されるケースが多いようです。
設計士やデザイナーの指示をもとに製図し、必要に応じて修正するのがおもな業務です。
派遣のCADオペレーターの時給は、未経験で1,300~1,500円程度、平均月収は22万円~28万円程度が相場といえます。
とくに関東近郊では1,600円以上の高時給が平均です。
CADのスキルと実績がある人は、時給3,000円以上という求人もあり、未経験者と経験者の時給の差は2倍です。
派遣社員として働くメリットは、働きながらCADのスキルを身につけ、キャリアアップを目指せることです。
ただし、未経験者の場合は事務作業やアシスタント業務がメインとなることも多く、CADのスキルがなかなか身につかないこともあります。
アルバイト・パートのCADオペレーターの働き方
アルバイト・パートで働くCADオペレーターは、フルタイムや時短勤務などを選べるのが特徴といえます。
仕事内容は、採用される業界や職場によって異なります。
CADの基礎からしっかり学べるところもあれば、雑務程度しか任されない職場もあるようです。
アルバイト・パートのCADオペレーターは、未経験者OKの求人も多く、未経験者や経験が浅い人でも採用されやすいというメリットがあります。
働きながら少しずつCADを学び、業界の知識を身につけたり、資格取得を目指したりすることも可能です。
アルバイト・パートの時給は、未経験者であれば1,000円~1,200円程度が相場ですが、スキルと実績を積めば時給アップのチャンスも期待できます。
フリーランスのCADオペレーターの働き方
建築業界を中心に活躍するCADオペレーターのなかには、独立してフリーランスとして働く人もいます。
会社勤務を経て、資格を取得したのちに独立するといったケースが目立ちますが、はじめからフリーランスとして働く人もいます。
フリーランスの魅力は、場所や時間に拘束されることなく自分のペースで自由に仕事ができることでしょう。
しかし、製図業務のほか、営業や経理、雑務にいたるまで、すべてひとりでこなさなければならず、仕事量によって収入が変動しやすいことがデメリットといえます。
フリーランスのCADオペレーターの平均年収は300万円~400万円程度といわれています。
ただし、フリーランスの報酬は完全歩合制であるためクライアントの数や仕事量によって月収や年収は大きく変動します。
副業・在宅のCADオペレーターの働き方
会社員など本業がある人が、週末や空いた時間を活用して副業としてCADオペレーターの仕事をする人もいます。
働き方改革を背景に、テレワークを推奨する企業も増えてきました。
副業でCADオペレーターとして働く大きな魅力は、パソコンとマウス、CADソフト、インターネットに接続できる環境さえあれば、自宅に限らずどこでも作業ができることでしょう。
もちろん副業であってもCADの技術と実務経験が必要です。ただし、実績があっても、副業向けの求人自体が少ないことはデメリットといえます。
副業のCADオペレーターの報酬は、時給制で1,000円~1,200円程度が相場です。
CAD利用技術者試験資格取得者や「AutoCAD」の実務経験者など条件を満たせば、副業向けの求人にも採用されやすいですし、時給2,000円以上の求人に応募することも可能です。
CADオペレーターになるにはのまとめ
CADオペレーターになるにあたって特別な学歴は不要ですが、専門学校や大学などで知識や技術を身につけておくと就職に有利です。
また、CADオペレーターになるために必須とされる資格はありません。
しかし、CADオペレーターを採用する際に企業が重視するのは、実務経験や高い技術力です。
実務経験がない場合は、技術がある程度の水準に達していることを示すために「CAD利用技術者試験」「建築CAD認定試験」などの資格を取っておくとよいでしょう。
もちろん、資格取得のために勉強したことは、実務をスタートしてからも役立ちます。
未経験の場合はアルバイトとして現場に入り、専門知識を学んで正社員を目指す道もあります。
年齢・性別不問の職業であり、60歳を過ぎて活躍する人や、妊娠・出産後も仕事を続ける女性も多くいます。