「通関士」の仕事とは

通関士の仕事内容

貿易業務に必要な通関手続きを行う

通関士は、物の輸出・輸入を行う貿易業務に必須の通関手続きを行う仕事です。

貿易には必ず税関の許可が必要となりますが、そのような通関手続きは複雑かつ専門知識を要するため、商社などの企業に代わって通関士が活躍しています。

通関士は、国内はもちろん、海外のさまざまな商品を扱うことがありますので、幅広い分野での商品知識を有する必要があります。

日本は島国であり貿易が不可欠であるため、通関士の仕事は国益を保つためにも大事な仕事といえます。

通関士の就職先・活躍の場

通関業者を中心に、船会社、航空会社、商社などでも活躍

通関士は基本的に「通関業者」といわれる企業で勤務しています。

貿易は「空路」と「海路」があるため、通関士は大きく分けて航空と船舶の領域で、輸入あるいは輸出に関わる業務を担当します。

また、資格を生かして仕事ができる勤務先として、船会社、航空会社、商社が挙げられます。

このような企業において通関士の資格を持つ人は「審査役」として重宝されます。

基本的に、外国からの貨物が到着する港や空港があれば、北海道から沖縄までどこででも働けますが、ニーズが多いのは貨物量の多い主要都市の港や空港となっています。

通関士1日

税関の開庁時間に合せて書類の審査をする

通関業者で働く通関士の1日を見ていきましょう。

8:00 出勤
税関の開庁時間は8時30分。30分前には出勤し、メールチェックや当日の申告書の再確認を行います。

8:15 ミーティング
通関従業者も交えながら、提出書類の変更の有無や税関検査の段取りを確認。

8:30 開庁以降
税関への輸入・輸出申告を、専用ソフトを用いて行います。

申告後、税関へ赴いて書類を提出。税関の現物検査になると通関士も検査場に出向いて、税関職員へ応対します。

12:00
午後は翌日の申告書類作成を行います。

17:15 閉庁
税関の閉庁時間になると、明日の仕事の確認をします。

18:00 退社
案件が立て込んでいる日は残業をすることも。

通関士になるには

働きながら資格取得を目指す

通関士として働くには、国家資格である通関士の資格取得が必要です。

通関士試験には学歴や年齢などの制限がありませんが、合格率は毎年わずか10%前後であり、資格スクールで学ぶなど専門的な勉強が必要です。

なお、5年以上通関業務に携わっていると所定の科目が免除となるため、働きながら資格を得る人も多いです。

早くに活躍したいのであれば、大学や高校などを卒業後、通関業者へ就職し、現場経験を積みながら資格取得を目指すのがよいでしょう。

通関士の学校・学費

学歴は必要ないが、語学力に優れているほうが有利

通関士の資格に学歴は関係ありませんが、貿易に関連する以上、外国語の能力は高めておくとよいでしょう。

とくに取引量の多い英語や中国語では、お客さまが外国語を話したり、商品ラベルが英語で書かれているケースもあるため、語学に強い通関士が重宝される傾向にあります。

通関士試験に合格して実際に活躍している通関士は、「大卒以上」の学歴を有しているケースが多いようです。

また、法学部などで法律知識も身につけていると、就職してから役立つことがあるでしょう。

通関士の資格・試験の難易度

関税に関する専門的な知識が必要で、合格率は低い

通関士の国家資格取得には、関税に関する専門的な知識が必要となります。

試験は「通関業法」「関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法」「通関書類の作成要領その他通関手続きの実務 」の3科目からなり、各条文を丸暗記する必要もあり、時間をとって勉強しなくてはなりません。

合格率は毎年10%付近と、決して高くはありません。

ただしその背景には、通関従業者として現場で働きながら受験する人が多いため、なかなか勉強に時間が割けないということもあるようです。

いずれにしても、計画的な試験勉強が必要となります。

通関士の給料・年収

給料に通関士の資格手当が付く会社も

通関士の給料や待遇は、一般企業の他職種の会社員のものと大きくは変わりません。

平均年収は400万円~600万円程度となっており、勤務先や勤続年数などによって違いが出てきます。

なお、この仕事では資格を持っていると「通関士手当」が月に1万円程度付くことが多く、役職が付くと役職手当も上乗せされて収入アップが望めます。

通関士の需要は年々高まっているため、できるだけ早く資格を得てキャリアアップを目指すことが、収入や待遇面での優遇にも繋がっていくでしょう。

通関士のやりがい、楽しさ

貿易になくてはならない存在として働ける

輸入や輸出をする会社は、税関手続きを行う必要があります。

税関手続きの際には通関業者に依頼が舞い込み、ここで通関士は活躍できます。

通関士はお客さまの不利にならないよう、統計品目番号と税率を決めて税関への申告を担当し、ときには商品にかかる税率を安くするように考えていきます。

過去の事例や法律、規則、商品の情報などを参考にして、通関士は税関職員と交渉し、こちらの意見が通った場合にはお客さまからも喜んでもらえます。

専門的なスキルを持って活躍し、お客さまや世の中のために貢献できることは、この仕事の大きなやりがいです。

通関士のつらいこと、大変なこと

慎重な審査や専門知識が問われる

通関士という職業は専門職であり、勉強をして専門的な知識を身につけなくてはなりません。

もし税関の手続きにミスが生じた場合には勤務先にマイナス点がつけられてしまい、この点数が一定までくると、通関業者として営業停止処分が下される可能性があります。

それだけ通関士の審査には慎重さが求められます。

経験によって覚えられることも多々ありますが、高い集中力と責任感が求められるのは、この仕事の大変な一面だといえるでしょう。

通関士に向いている人・適性

事務作業が得意で、国際情勢や多彩な商品に興味を持つ

通関士はさまざまな商品の通関手続きを行います。

そのため、扱う商品に関する知識や興味を持つことが大事になりますし、貿易の法律や税金の知識は不可欠です。

世界中の商品を扱うことから、国際取引に興味があり、ある程度は国際情勢を把握しているほうがいいでしょう。

海外に興味を持ち、英語に関する苦手意識がない人が望まれます。

また、この仕事では複雑な書類を作成することも多いため、分析能力があり、事務作業が得意な人に向いています。

通関士志望動機・目指すきっかけ

貿易に不可欠な存在であり、語学力と専門知識を生かせる

通関士は日本の貿易には欠かせない存在であり、専門知識や技術を駆使して活躍することができます。

「国際的な仕事がしたい」「語学力を生かしたい」という思いでこの仕事を目指す人もいますし、「国家資格を自分の強みにして働きたい」と考える人もいます。

海外との関わりがあり、通関士にしかできない業務も多くあるなどプロフェッショナルとして活躍することができますが、通関士の資格を得るのは簡単なことではありません。

自分なりに強い思いを持って、通関士を目指していく必要があるでしょう。

通関士の雇用形態・働き方

まずは通関従業者として働きながら経験を積む人も

通関業者には、各営業所に通関士を1人以上設置しないといけないという取り決めがあり、通関士は正社員として採用されているケースがほとんどです。

しかし、契約社員やパート採用で通関業者に所属し、通関従業者として働きながら資格取得を目指せる会社もあります。

通関士の国家資格は合格率が低いこともありますが、まずは働きながら資格取得を目指すのが、一般的な通関士での働き方といえるでしょう。

通関従業者として経験を積んだことは、資格取得後にも大きな財産となるのは間違いありません。

通関士の勤務時間・休日・生活

税関の開庁時間に合せて働くことが多い

通関士の勤務時間は、基本的に税関の開庁時間に準じたものとなります。

税関の開庁時間は8:30から17:15であり、通関士はその30分程度前に出金することが多いでしょう。

休日は、税関同様、土・日・祝日となりますが、勤務先によっては審査が多く重なるときなど土曜日に隔週出勤することもあるようです。

なお、休暇をとりやすい時期としては、毎年2月中旬にある旧正月(春節)という中国の祝日にあたる日が挙げられます。

その期間は日本でいうお正月に当たり、中国をはじめとする国が1週間ほど一斉に休みに入るため、物量が減るからです。

なお、通関士は審査の納期を自分で決められないため、残業が必要になることがあります。

通関士の求人・就職状況・需要

需要は安定しており、活躍の場も広い

通関士の活躍の場となる通関業者は、大手企業から中小企業まで全国に1,000社近くあります。

貿易は不可欠なものであり、また通関業の営業所には最低1人は通関士を設置しなければならない決まりがあるため、通関士の需要は今後も安定しているものと思われます。

また、商社・メーカーなど貿易に関する業務を扱う会社で通関士の資格を生かすことも可能です。

大手企業は就職のハードルが高めですが、本人の努力次第で就職先を見つけることは可能でしょう。

通関士の転職状況・未経験採用

未経験でも転職可能だが、社会人経験がモノをいう

通関士は中途入社も可能ですが、すぐに即戦力として通用するとは限りません。

まずは通関従業者(通関士資格は持っていないが、通関書類の作成に携わる人)として実務経験を積んでいき、資格取得を目指していくケースも多いようです。

通関業務や貿易業務に関連してきた人は優遇されやすいですが、資格が無い場合で通関士としての業務経験もなければ、30代前半がギリギリの年齢制限となるでしょう。

一方、経験者は40代ぐらいまでは採用の可能性があり、会社によっては管理職のポジションとして迎え入れられることもあります。

通関士の現状と将来性・今後の見通し

広く深い専門知識を持つ人材が求められている

島国である日本では、諸外国と盛んに貿易が行われており、通関士の存在も必要不可欠なものとなっています。

国際貨物を扱うため、世界情勢や時事問題にも敏感であることが望まれます。

身につけるべきことが多く、頭を使う大変な仕事ですが、向学心の強い人であれば活躍できるフィールドは大きく広がっていくでしょう。

アジアとの貿易量の増加と共に通関業者の数も増えているため、通関士の需要はさらに高まっていくものと予想されています。