通関士と税関職員の違い

通関士と税関職員の仕事内容の違い

通関士と税関職員ともに貿易の通関に関する仕事に携わり、輸出入する品物と貿易内容を審査するという職務は同じです。

しかし大きく違うのは、通関士は「申告し許可を得ることを目的」としているのに対し、税関職員は「申告された内容を審査し許可を出す」のが役割だという点です。

申告は通関士しかできず、輸出入許可は税関職員しかできませんので、似ている職業ではありますが明確に役割は違います。

さらに詳しく説明すると、通関士は輸出入者の代わりに通関業務を行うのが役割で、専門知識の必要な通関書類作成や申告手続き業務を代行し、スムーズな貿易のために尽力します。

一方、税関職員にクライアントは存在せず、正しい内容で申告されているか、税金額は適正かなどをチェックし不正を取り締まるのが職務です。

立場も明確に違い、通関士は国家資格が必要ですが会社員として勤務するのが基本で、税関職員は国家公務員採用試験を突破し、各税関に配属されている国家公務員であり、通関士資格は必要ありません。

税関職員の仕事

通関士と税関職員になる方法・資格・スキルの違い

通関士の場合

通関士は国家資格ですので通関士試験に合格しなければなれません。

通関士試験には学歴、年齢、経歴、国籍など受験資格に制限はなく、誰でも受験することができますが合格率は15%前後と非常に低く、狭き門となっています。

ちなみに2019年10月に行われた通関士試験の合格率は13.7%と公表されています。

参考:税関 通関士試験受験者数及び合格率等の推移(第1回~第53回)

特殊なスキルは必要ありませんが、試験科目は「関税法」「通関書類の作成要領その他通関手続きの実務」「通関業法」の3科目となっているため、当然ながら通関に関する専門知識は必要です。

税関職員の場合

税関職員は国家公務員として働くため国家公務員採用一般職試験に合格するのが大前提で、さらに大卒程度と高卒程度の試験区分に分かれています。

大卒程度の場合は1次試験に合格したあとに各税関の官庁訪問を行い、2次試験(面接試験)を行い合格すれば税関職員として採用されます。

高卒程度も基本的には大卒程度と同じですが官庁訪問はなく、2次試験合格後、税関の採用面接を受けて合格すれば税関職員として採用されます。

上記は一般職という区分ですが、国家公務員採用総合職試験を経て採用される総合職という区分もあります。

これは将来の税関幹部候補として期待されているキャリア官僚と呼ばれる人たちで、税関では毎年10名に満たない程度の採用枠しかありません。

国家公務員採用総合職試験は日本トップクラスの難関試験といわれており、合格者の多くが東大生であると聞けばその難しさは想像しやすいでしょう。

一般職、総合職ともに税関職員になるには特殊なスキルは必要ありません。

あえていうなら、国家公務員にならなければ税関で働けないため、まずは国家公務員試験の対策を中心にするのがよいでしょう。

通関士と税関職員の学校・学費の違い

通関士になるにも税関職員になるにも専攻学科の条件はありませんので、普段通う高校や大学に違いはなく、学費についても国公立か私立かで学費の違いがあるくらいでしょう。

違いがあるとすれば、それぞれの受験対策を行う場合です。

税関職員は国家公務員試験の合格が大前提のため、普段の勉強をしっかりこなすほか、参考書などを購入したり、通信講座を利用したりして受験対策する方法があります。

あくまで参考程度に紹介すると、通信講座の受講料は10万円~20万円くらいが多いようです。

通関士の場合、試験が「関税法」「通関書類の作成要領その他通関手続きの実務」「通関業法」など専門的な内容ですので完全独学よりは、参考書の活用や通信講座を利用した方が効率的な勉強ができるでしょう。

ちなみに通関士の通信講座はおおむね10万円弱のようです。

通関士と税関職員の給料・待遇の違い

通関士は民間企業が勤務先となるため、会社によって給料や待遇は変わっています。

勤務時間や休日・祝日なども会社によって変わりますが、だいたいの場合、税関の開庁に合わせ8:30前後が始業時間になっており、土日祝は一般的に休日扱いですが、24時間税関申告可能になっているため、場合によっては休日対応するケースも考えられます。

給料や賞与額は会社の業績によって変わるほか、会社員として働くため利益を生むために何をすべきかを考える必要もあるでしょう。

繰り返しになりますが税関職員は国家公務員ですので、給料や待遇は国家公務員法に準じて決められており、始業は8:30で土日祝は休日扱いになります。

給料は俸給表によって決められており、等級が上がれば給料も上がっていくでしょう。

通関士と税関職員はどっちがおすすめ?

通関士は会社を支える一人として専門知識を生かした働き方ができるとともに、クライアントの代理として申告業務を行うため、人の役に立つという喜びも得られるでしょう。

また、通関士が活躍する職場は通関業者以外にも広がりつつあり、さまざまな経験を積んでみずからの可能性を広げたい人にも向いているかもしれません。

税関職員は健全な貿易のために尽力するほか、不正なものが国内外に流通しないように貨物の審査を行い、公共の利益を守るのが職務といえますので使命感が強い人は向いているかもしれません。

また、国家公務員という安定さを求める人にも向いているでしょう。