通関士の需要・現状と将来性

通関士の現状と需要

日本経済と貿易は切っても切り離せないほど重要な関係です。

食品メーカーや衣料品関係、電気メーカーや商社など多くの日本企業が取り扱い量の違いはあるにせよ貿易に関わっており、今後も大きく変わることはないでしょう。

貿易量も増加傾向になる中、通関士は海外からの輸入、海外への輸出などに関する書類審査や税関への申告を行うことが法律で定められています。

加えて通関業者は営業所に最低1名以上の専任の通関士を配置することも定められており、貿易を行っている企業にとってはなくてはならない存在です。

通関業者との連絡コスト削減や自社で通関申告を行うことで依頼コストを削減、スムーズな貿易業務などを目的として、企業によっては貿易部門を設け、社内で通関士を配置するケースもあります。

このように職種としては安定的な需要のある通関士ですが、昨今は人材不足といわれています。

貿易を行う際は必ず通関士が書類審査と通関申告を行わなければならず、営業所に在籍している通関士の人数に関係なく、すべての貿易に対応しなければいけません。

対象となる品目も毎回違いますし、案件の数だけ申告書類作成やチェック内容も違うため通関士の負担は増加傾向にあり、それが原因で退職する人もいるようです。

人材不足を解消するため、自社内の従業員に通関士の資格を取得をさせようとする場合もありますが、通関士試験の合格率はわずか15%前後であり、簡単には合格できないのが現状です。

また、以前は貨物を保管する場所を管轄する税関に通関申告するのが原則でした。

しかし、2006年に初めて日本でも採用された申告官署の自由化により、AEO(Authorized Economic Operator制度)事業者(税関長が貨物のセキュリティ管理と法制遵守体制が整っていると承認・認定した事業者)に限り、どの税関でも通関申告が可能になりました。

参考:税関 Authorized Economic Operator制度

その結果、通関業務が簡素化されスムーズになった反面で、事業所によっては取扱件数が増加するため通関士の負担も増加しているようです。

通関士の将来性

貿易業界は今後さらなるグローバル化が進むといわれており、取扱量も取扱品目も増加していくでしょう。

それに加え、申告官署の自由化によって通関業務も増加していくため、今まで以上に通関士のニーズは高まるでしょう。

そのため、通関士資格を取得しておくと貴重な人材として企業内外で重宝されるでしょう。

ただし、業務が増えたからといってミスが許されるわけではないため、確かな審査能力と広い専門知識が必要になります。

また2014年には輸出入申告の24時間化がはじまり、開庁時間に関わらずいつでも通関申告ができるようになりました。

急ぎ案件であれば時間に関係なく通関申告するケースも考えられますが、その際でも通関審査は通関士が行わなければいけません。

そのため9:00~18:00というような勤務体系だけでなく、午後から出社し夜中に帰るといった不規則な勤務を行う場合もあるかもしれません。

通関士の今後の活躍の場

貿易業界の活発化、通関申告の緩和など通関業者での通関士はますます活躍が期待されているほか、倉庫業、商社、メーカーなど貿易に関わる業界でも通関士の採用が進んでいます。

そうした現場では審査や申告書類の作成といった本来の業務に加え、通関士の専門知識と経験を頼りに、他部門からの質問や相談を受ける機会もあり、貿易のプロフェッショナルとして活躍が期待されるでしょう。

またグローバル化が進む貿易業界において、海外に支社を構えたり、国際物流業務を行ったりする通関業者もあります。

当然語学力は必要ですが、海外への出張や赴任を行い現地で通関業務を行う機会もあり、世界を相手に活躍するチャンスも広がっています。