パン職人の需要・現状と将来性

パン職人の現状

米離れが進み、パン文化が浸透

もともと日本人の主食は白米でしたが、最近は日本人の主食に大きな変化が表れました。

農林水産省の主食に占める割合調査によると、1983年に57.2%を記録していた白米類が、2003年には42.4%に下落した一方、パンは21.2%から31.4%へと大幅に上昇しました。

そして2011年の総務省の調査によると、日本の一般家庭におけるパンの消費額が米を上回ったとされています。

その背景としては、若年層を中心にした米離れ、パン食の浸透などが挙げられます。

朝食・昼食・軽食とシーンを選ばず、日本の食卓に上がるパンは、その手軽さから世代にかかわらず需要が高まっています。

最近では、お取り寄せブームがパン業界にも押し寄せており、遠方にあってもおいしいパンであれば売れる時代になってきました。

パン文化の浸透とともに、パン業界は今後もさらなる進化や発展が期待されている分野といえます。

安全志向の高まり

最近のパン業界は、素材そのものや製法にこだわる特徴があります。

背景には消費者の添加物への関心の高まり、健康意識の高まりによる糖質制限などがあげられます。

たとえば、パンの原材料となる小麦は、そのほとんどが輸入に頼っている現状があります。

外国産の小麦に対し、疑問を呈する消費者ニーズを反映し、国産小麦にこだわったパンをウリにするパン屋も珍しくありません。

今後も素材にこだわったプレミアム感を出すと同時に、健康志向にマッチしたパンづくりは、生き残りをかけた課題となるでしょう。

ただし、一般的に国産小麦など素材にこだわればこだわるほどに、パンの原価は上がります。

原価をお客さまの購入価格に反映させて、しっかり利益をとれていくようなラインナップをつくり、お客さまに選ばれるように、そのこだわりを発信していくことが大切です。

オリジナリティーあふれるパンづくりが課題

最近では都会でも地方でもコンビニエンスストアが増え、時間帯を問わずコンビニで手軽にパンを買うことができるようになりました。

比較的安い値段で豊富な種類のパンが手に入り、さらにその味も日々改良されているということもあり、コンビニのパンは高い人気を集めています。

こうしたコンビニのパンは、大規模なパン工場の機械化されたシステムの中で作られて配送されているのが一般的です。

手作りのパンで勝負する町のパン屋のなかには、このようなコンビニのパンと闘いながら売り上げを確保するのに苦戦しているところもあるようです。

抜群の味や香り、食材への高い信頼、商品のオリジナリティーなど、コンビニのパンにはない魅力を打ち出すことが、町のパン屋で働くパン職人にとって、これからの何よりも大切な課題となるでしょう。

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パン職人の需要

 
現在、パン業界は慢性的な人手不足の状態にあります。

その背景にはパン職人の長時間労働、肉体的にハードな仕事内容から離職・退職が多く、人が定着しないということがあります。

そのため、街のパン屋には常に求人広告をだしているところもあります。

また、コストカットを人件費の部分でせざるを得ない企業も多く、求人に占める正社員数が少なく、契約社員やアルバイトなど非正規雇用中心で雇用するパン関連企業やパン屋も少なくありません。

未経験者であれば、まずは非正規雇用職で採用され、見習いとして経験値をつみ、正社員にステップアップするというのが一般的な業界です。

しかし、手取り足取り教えてくれる職場は少なく、先輩や師匠から技と技術を盗むという職人的な扱いとなることもあります。

パン職人の将来性

パン文化が進行し、パン需要は拡大する一方で、パンを取り扱いするお店が増加しています。

パンに特別にこだわりがない人であれば、わざわざパン屋のパンではなく、コンビニのパンで済ませてしまうことも珍しくありません。

これらのパンは、機械化が進んだパン工場で大量生産されるため、パン職人手作りのパンより安価なことが多いです。

さらに最近では、人手不足を解決するために大手チェーンなどが冷凍パンに力をいれています。

店で粉から手作りするのではなく、冷凍パン生地を利用して、コストも時間も節約しながらパンを作ることができるため、最近はホテルやカフェでも取り扱いが増加しています。

このような背景のなか、パン職人の今後について楽観視はできない状況です。

もしパン屋を出すのであれば、パン職人としておいしいパンが焼けるのは当然で、いかにオリジナリティーあふれるパンを開発できるかが、ますます重要なポイントになってくるでしょう。

そして、販売戦略に長けた経営者感覚が求められてくるといえます。

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パン職人の今後の活躍の場

海外展開

パン需要は拡大しているとはいえ、日本国内では消費者の数そのものが今後減少していくことが予想されます。

そのため、生き残るためには海外市場の開拓がパン業界の課題となっています。

現時点では大手パンメーカー各社も海外進出には消極的ですが、さまざまな業界の企業のグローバル化が進むなかで、パン業界も海外を視野にいれていくことが求められるでしょう。

なお、パン職人は技術があれば海外での活躍も夢ではありません。

実際、ドイツやフランスなどの海外に留学し、その後、現地の有名店で修業する人もいます。

異業種とのコラボレーション

最近では夜のみオープンするお店や週末しか営業しないパン屋など、従来型の「毎日朝から開いているパン屋」のイメージを覆すお店も多いです。

同時に異業種とコラボして、新しい客層を掴むパン職人も出てくるでしょう。

雑貨屋、古本屋、自転車屋などの店内で焼きたてパンを販売することで、レア感を出すことができ、話題になり売上アップにつながる可能性もあります。

売るパン自体に独自性を持たせるのはもちろん、これからのパン職人はその販売方法にもキラリと何かが光るセンスが必要になってくるでしょう。