パン職人になるには

パン職人になるには

パン職人になるために、必要な資格や学歴はありません。

おいしいパンを作り、焼く能力があれば、中卒でも高卒でも一流のパン職人として認められます。

パン職人になるためのルートとしては、代表的な2つのパターンがあります。

専門学校に通ってパン作りを学ぶ

高校卒業後、パン作りを専門的に学ぶことができる製菓学校や、調理学校のパン学科・コースに進学する人も多いです。

こうした学校では製パン技術はもちろん、小麦粉や酵母などの素材の特性や、その扱い方を体系的に学びます。

パンは他の料理やお菓子に比べると、天気や湿度により材料および発酵時間の微調整が必要になるため、座学で習得する知識も役にたちます。

また、種類も製法も多様なパン作りを広く学べること、オーブンや生地こね機などの大型機材の扱い方を実践的に学べます。

加えて、卒業後に即戦力として就職できるようなカリキュラムを用意している専門学校も多くあります。

たとえば学校によってはパン屋や菓子店と連携していて、現場実習やアルバイトでの入店の求人を紹介してくれることもあり、幅広い経験を積むことが可能です。

また、一般公募ではなく学校を通じて採用を行うお店や会社もあるため、就職の門戸が広くなる可能性があります。

現場で修行する

「パンの専門学校に行くための金銭的・時間的な余裕がない」「住んでいる地域には専門学校がない」「早く現場に出て仕事をしてみたい」という人の場合、専門学校には進まずに、パン屋に就職して実際の店舗で修行をするという道もあります。

経験を問わず、アルバイトやパートなどでパン職人として働ける可能性もゼロではありません。

現場では、プロのパン職人による指導を直接受けることができたり、お客さまに対する接客術や売り上げ管理を学べたりするメリットがあります。

一方で、学校のように懇切丁寧に教えてもらえるわけではないので、働きながら技術を身につけるために積極的に勉強する姿勢が欠かせません。

また最初は見習いのため、清掃や調理器具の手入れ、販売業務などが中心となり、直接的にパン製造実務にかかわれないこともあります。

まずはアルバイトとして下働きをしながら信用を築き、徐々にさまざまな仕事を任せてもらえるようになり、実力や勤務態度が認められれば正社員として働けるようになることもあるので、地道な努力が大切です。

なかには昼にパン屋で働きながら、知識や技術を補完する目的で夜に専門学校に通う人もいます。

パン職人になるまでのルート

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パン職人になるための学校の種類

専門学校

パン職人には大学卒業などの学歴条件はなく、文系・理系は関係なく、誰もが目指すことができる職業です。

学歴より技術やセンス、知識が求められるため、専門学校に通うことで必要な知識、技術を効率的に習得しようとする人が多いです。

全国各地に製パンの専門学校があります。

平均的には1~2年の履修期間で、実習や座学などさまざまな授業を経て、パンに関する基本的なノウハウを学ぶことができます。

さらに学校によっては、昼間働く社会人向けの夜学や週末コースを開講していることもあります。

費用はかかりますが、製パン技術から知識、就職まで一貫したサポートを受けたい人にはおすすめの進学先です。

パン教室や通信講座など

住んでいる土地にはパン作りを学べる専門学校がないという場合は、もっと気軽に通うことができるパン教室や通信講座でパン作りについて勉強することもできます。

パン教室は町のパン屋が主催していることもあれば、専門学校の講師や料理教室の先生が単独で教室を開いていることもあります。

通信講座の場合はテキストやDVD、タブレット端末での動画配信などでパン作りのコツを学ぶことになります。

パン職人になるためにはどんな学校に行けばいい?(専門学校・スクール)

パン職人に向いている人

パンが大好きな人

パン職人は、朝から晩までとにかくパンに囲まれて過ごすことになります。

パン屋は朝早く開店するため、まだ夜も明けないうちから職場に行き、すべての商品をお店に並べるまで一日中ひたすらパンを焼き続けなければいけません。

外回りや出張があるわけでもないので、毎日をお店の中で過ごすことになります。

また、パンは単価が低く、消費期限が短いので売れ残ったときのロスも大きいことから、売り上げや給料が不安定だったり低めだったりすることもあります。

「焼きたてのパンの香りのなかで働けることが何よりの幸せ!」と感じられるようなパンが大好きな人でなければ、長期間に渡ってこの仕事を続けていくのは厳しいのが現実です。

体力がある人

パン職人の仕事は、体力勝負です。

パンを作る際には朝から晩まで立ちっぱなしの作業が多いですし、小麦粉の袋を担いだり、焼きあがった大量のパンをオーブンから出したりするときには力仕事も避けて通れません。

最近では女性のパン職人も多く活躍していますが、いずれにしてもある程度の体力があり最低限の力仕事ができることが、パン職人になるためには大切なことです

食品科学に興味がある人

パン作りは、生地の「発酵」によってそのおいしさや食感が決まると言っても過言ではありません。

この「発酵」は、その日の室温や湿度に応じて臨機応変に時間や原料の量を調整する必要があるため、食品科学に関する知識を持ち技術を身につける努力が欠かせません。

パン作りを科学的にとらえることができる人ほど、こうした作業で力を発揮することができ、おいしいパンを追求していきやすいと考えられています。

パン職人に向いている人・適性・必要なスキル

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パン職人のキャリアプラン・キャリアパス

現場での修行は不可欠

専門学校でパン製造の体系的な知識や一通りの技術を学んだとしても、すぐに一人前のパン職人として現場デビューできるわけではありません。

最初は見習いの立場で修行という形になり、経験のなかから、製法の微調整、客足の予測、効率的な仕込み技術などを学びます。

そのため、専門学校卒業してすぐに独立開業ではなく、自分の理想とするパン屋で技術を磨き、自分の店を持つのが一般的です。

なかにはより高みを目指し、学校卒業後にドイツやフランスなどパンづくりの本場で修行する人もいます。

修行で大切なこと

パン職人の下積みは、朝の早さや体力的なハードさに加え、技術職ゆえ感覚やセンスの習得に時間がかかるため厳しいものです。

手取り足取り教えてくれる人がいることもありますが、多くの場合は技術を見ながら自発的に覚えていく必要があります。

技術職だけに、生地や焼き具合、成型など、教える側の立場からも説明だけでは伝えきれないことがたくさんあり、自分から学ぶ姿勢を持たなければ成長はありえません。

怒られてもくじけず、ふてくされることなく、「なにが悪かったのか」「失敗や学びを次回にどう生かせるのか」を自分自身で考えることが大切です。

また一見、直接的にパン作り関係ないと思われる清掃や接客も、チームワークが重んじられる現場においては欠かせない大切な仕事のひとつです。

将来一人前のパン職人となり、自分の店を持つときの糧となるため、基本を大切にしましょう。

パン職人のキャリアパス

パン職人として働くうえで、正社員の採用は狭き門です。

正社員の就職を希望しても、個人経営のパン屋ではとくに経営が苦しいため、アルバイトや契約社員での求人募集が多くなっています。

未経験者の場合は、まずはアルバイトや契約社員から始めて、能力や勤務態度などが認められれば正社員へとステップアップしていけることもあります。

正社員になるまでは給料が低く経済的に苦労することもありますが、経験を積み重ねながらチャンスを待つことが大切です。

パン職人のキャリアプラン

パン屋は人材育成に手間もお金もかける余裕はないというところも多く、即戦力重視の業界です。

経験を積んだパン職人は、その即戦力を武器に、さまざまなキャリアプランを選択できます。

より給料や待遇がいいパン屋、ブランドチェーンに転職するほか、自分で独立開業する人もいます。

独立開業には、パン職人としての技術だけでなく、集客、原価管理など経営者感覚も求められますが、成功すれば自分の理想のパン屋を作ることができます。

家事や育児との両立のため、一時的に現場から離れても、技術職のため復職しやすいほか、ライフスタイルの変化にあわせ雇用形態を変えることも可能です。

パン職人を目指せる年齢は?

パン職人には必須の学歴はないため、義務教育が終了していれば中卒や高卒の人でも目指せます。

実際、「学歴不問」で見習いを募集するパン屋や実家のパン屋で修行し、パン職人を目指す人もいます。

また専門学校も、義務教育を修了していれば入学資格を満たすところもあり、早ければ中卒から進学することが可能です。

パン職人になりたいという強い意思がある場合、早くからパン職人への道を歩むことは技術や知識習得に大きなメリットとなります。

一方で社会人になり、一度他の業界を経験したあとにパン職人を志し、未経験転職をしたり、専門学校に入学するような人もいます。

パン職人になるのに年齢制限はありませんが、パン職人には体力が必要です。

一般的に見習いの時はさらに下準備などで肉体労働も多いため、若いほうが健康管理や体力面では有利になるでしょう。

そのため30~40代にはパン職人になることが望ましいと考えられます。

パン職人は女性でもなれる?

近年では多くの女性がパン職人として活躍しています。

女性ならではの感性、流行へのアンテナの高さなどがあり、パン職人として、男性とは違う視点でパン作りができる点が強みです。

さらに親しみやすく笑顔の女性パン職人がいる店には入りやすいというお客さまの声もあり、店舗の雰囲気を左右する存在になることもあります。

一方で、パン職人は重い鉄板や材料を運ぶほか、長時間の立ち仕事など、肉体的にハードな仕事です。

一般的に女性は男性より体力面では劣っているため、女性がパン職人として働くのであれば健康管理や体力作りが課題となります。

女性のパン職人は、例えば結婚や出産などに伴って生活スタイルが変化することで、フルタイムでの就労が難しくなり離職するケースもあります。

職場によっては、正社員ではなくパートさんとして、労働可能な時間帯や曜日にて引き続き働くことも可能となっています。

育児をしながら仕事を続けたい女性も多く、ママさん歓迎のパート募集をしているお店や会社も多くあります。

女性のパン職人のキャリアパス・結婚後の生活

パン職人の求人・募集の状況

パン職人の就職先にはどんなところがある?

個人店(小規模店中心)

無添加にこだわった店、卵不使用の店など、オーナーの方針や特色が出やすいことが個人店の特徴です。

個人店の場合、家族経営をしている場合が多く、慢性的に人手不足ということがよくあります。

加えてアットホームな雰囲気を大切にしているため、お客さまとのコミュニケーションが密で、製パンだけでなく、接客も担当すること多いです。

一人に任せられる仕事範囲が大きく、パン作りから経営まで学びたいという人におすすめの就職先です。

一方、正社員を採用する余裕がないというお店も多く、雇用形態はパート、アルバイトが多くなります。

チェーン店(中・大規模店中心)

チェーン展開している大手のパン屋の場合、働くパン職人も多いため、作業工程は分業化されています。

商品によっては、あらかじめ工場で作った生地が各店舗に配送され、店舗での作業は成形・焼成のみということもあります。

さらに店舗にはパン職人とは別にホールスタッフもいるケースが多いため、接客を担当することはほとんどないでしょう。

チェーン店は味のばらつきを出さないために、マニュアルがしっかりあるほか、教育体制も充実しています。

基本をしっかり習得したい人におすすめの就職先です。

また個人店に比べると、正社員採用が行われるケースが多く、最初はアルバイトからのスタートでも正社員登用制度があるところが多いです。

レストラン

イタリアンやフレンチなどのレストランで働くパン職人もいます。

レストランで働くパン職人は、提供する料理に合うパンを作ることが大切で、菓子パンや惣菜パンより、料理の味を邪魔しないシンプルなパン製造の技術が求められることが多いようです。

職場によってはパン職人だけでなく、他の料理の調理や補助を行うことも多いです。

採用にあたっては、調理師免許やパティシエ経験などがあったほうが有利に働くこともあります。

また、勤務開始時刻は販売中心の個人店やチェーン店などと違い、ランチやディナー営業に合わせて遅めのスタートになることが多いです。

パン作りだけでなく他の料理にも興味がある人、将来パンをメインとするカフェ経営をしたい人などにおすすめの就職先です。

パン工場

大手パンメーカーや大手パンチェーンの工場で働くことも可能です。

各店舗で使うパン生地を製造する工場もあれば、スーパーやコンビニなどで並ぶパンを製造する工場もあります。

工場の多くは完全機械化されていることも多く、パン職人といっても製造に直接携わらないことも多いため、注意が必要でしょう。

ここではレシピ開発や生産管理などが仕事になるケースも見られるため、大学で発酵や栄養学を学んだ人が志望することもあります。

パン職人の求人の状況

パン職人の採用は不定期

パン職人の就職先は、ここで挙げてきたように個人経営の小さなパン屋から大手ベーカリーチェーン店、そして工場などまで多岐にわたります。

大手のパン屋であれば毎年新人を採用するケースもありますが、個人経営のパン屋では人手が足りなくなったときに若干名の募集をするのが一般的です。

毎年採用があるとは限りませんし、必ずしも4月採用と決まっているわけでもないので、就職を希望するパン屋があるのならば、年間を通して積極的に求人情報を集めておくことが大切です。

正社員としての採用は狭き門

パン職人としての就職を希望しても、誰もが正社員で採用されるわけではありません。

個人経営のパン屋ではとくに経営が苦しいため、アルバイトや契約社員での求人募集が多い傾向にあります。

未経験者の場合は、まずは期限付きの採用から始めて、能力や勤務態度を認められれば正社員へとステップアップしていけることもあります。

正社員になるまでは給料が低く経済的に苦労することもありますが、経験を積み重ねながらチャンスを待つことが大切です。

経験者のみの求人も多いのが現実

パン職人の場合は特別な学歴や資格が必要なわけではありません。

何よりも実力や経験を重視していることが多く、現場経験があることで待遇がぐっと良くなることもあります。

小規模なパン屋では一人ひとりが即戦力として働くことが求められるため、未経験者をゼロから育てる余裕がない店舗も多いのが現状です。

求人募集をチェックする際には「未経験者OK」なのか「経験者のみ」の募集なのか、そして経験者の場合は何年以上の経験が必要なのか、事前にしっかりと確認したほうがよいでしょう。

パン職人の就職先の選び方

経営方針、接客方針から選ぶ

自分にあったパン屋、将来なりたいパン職人像に近づけるお店に就職するのもいいでしょう。

たとえば、パン屋のなかには国産小麦、地元野菜など原材料にこだわる方針のお店やレシピ開発に力をいれているお店などがあります。

自分がパン職人として大切にしていきたいことを考え、その部分に強みがあるお店で働くと楽しく働けるかもしれません。

さらに「パン作りは好きだけど、接客は苦手」「パンを作るだけでなく、おすすめをお客さんに直接おすすめしたい」など、接客に関しては、得意不得意が分かれるポイントです。

パン職人の仕事内容に接客が含まれているかも就職前に確認しておきましょう。

運営母体から選ぶ

個人店に勤務する場合、人手が足りてない場合が多く、パン作りから接客、レシピ開発、発注業務まで幅広い仕事を任せられる傾向にあります。

気候から客足を予想するなど、学校では学べないスキルを現場で鍛えられていきます。

経営者であるオーナーの近くで経営ノウハウを学べるのも、将来開業を考えている人には魅力でしょう。

一方、大手企業では分業制がとられているケースが多く、職人としての業務に集中しやすいかもしれません。

雇用形態から選ぶ

パン職人の場合、正社員の求人数は少なく、未経験から正社員への就職は難しいのも事実です。

即戦力になれる人が優遇されやすい業界のため、まずはパート・アルバイトなどでも実際の現場で働いてみることが大切です。

パート・アルバイトでスタートしても正社員登用制度がある店であれば、経験と実力が認められ正社員になれることもあります。

また育児などで働く時間が制限されている場合、あえてパート・アルバイトで経験を活かして働く人も多いです。

パン職人の志望動機・面接

志望動機・自己PRの注意点

パン職人として就職したいのであれば、まずは「パンが好き」ということを熱く伝えることが大切です。

その時、なぜパンが好きなのかということを掘り下げ、具体的なエピソードをそえていくと志望動機に説得力が生まれます。

またパン職人は朝が早く、体力的にもきつい仕事です。

そのため採用する企業やオーナーとしては、長く働くことができる人物かということも見るポイントです。

自己PRには体力に自信があること、少々の失敗にはくじけない精神力があることをいれておくとよいでしょう。

面接の注意点

食べ物を扱う仕事のため、清潔感は大切にしなければなりません。

ぼさぼさの頭、伸びた爪や髭の状態で面接に臨むことは絶対に避けましょう。

女性の場合、髪はすっきりとまとめ、ネイルアートはしないようにします。

実際働きだした場合、仕事中の化粧NGというところもありますが、面接では社会人のマナーとしてナチュラルメイクで行くとよいでしょう。

パン職人の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらよい?

個人店の場合、店の店頭などに張り紙で求人が出されることが多いです。

決まった時期の採用ではないため、就職を希望するお店があるのであれば、日頃からこまめな情報収集をしましょう。

また、どうしてもそのオーナーのもとで修業したいのであれば、直接交渉して雇ってもらうよう頼み込むのもひとつの方法です。

また、企業やベーカリーショップのHPにも採用情報が載っていることもあります。

パン作りを学べる専門学校のなかには、就職サポートに大きく力を入れているところもあり、学校に直接求人がくることもあります。

求人を見る時に大切なことは、自分のスキルと会社側の求めるスキルレベルが同じかということです。

求人によって未経験者OKなものもあれば、即戦力を期待しているもの、マネジメントに携わる店長候補を求めるものなどさまざまなので、自分の目標や価値観に合ったものを選ぶと採用されやすいでしょう。

パン職人に必要な資格はある?

パン職人になるために必須の資格はなく、資格以上に経験やセンスが求められる業界です。

「調理師免許」も必要ではありません。

一方で客観的な技術・知識水準を示すことで就職の間口が広がったり、給与がアップしたりと有利になることもあり、資格を取得する人も多いです。

たとえば「パン製造技能士」や「製菓衛生士」などの資格を取得しておくと実務で役立つことがあります。

参考:厚生労働省 技能検定制度について
参考:厚生労働省 パン製造技能検定試験の試験科目及びその範囲並びにその細目

参考:厚生労働省 製菓衛生士試験

なお、製菓衛生師の資格を取得していると、開業する場合など食品を取り扱う施設で必ず必要となる「食品衛生責任者」に、講習なしでなることが可能です。

パン製造技能士や製菓衛生師といった国家資格は、専門学校に通いながら取得を目指す人も多いです。

このほか、「パンシェルジュ検定」や「パンコーディネーター」などの民間資格もあります。

パン製造技能士の資格とは?

パン製造技能士の概要

パン職人に関する資格に「パン製造技能士」という国家資格があります。

パン製造技能士とは、パンの種類や栄養、パン生地の発酵方法など、パンを作る上で欠かせない知識と技術を持つことを証明する国家資格です

知名度が高く、業界でも信頼されている資格で、「特級」「1級」「2級」と3つの等級があります。

実技試験と学科試験に合格することで厚生労働大臣名にて合格証書が交付され、国家資格としてパン製造に必要な技術を持つ技能士を名乗ることができるようになります。

受検手数料は都道府県ごとに定められています。

なお、パン製造技能士の有資格者は「職業訓練指導員 (パン・菓子科)」の実技試験を免除されます。

受験資格

パン製造技能士を受験するには、2級が2年以上、1級が7年以上の実務経験を必要とします。

また特級を受験するためには、1級合格かつ5年以上の実務経験が必要です。

パン製造技能士の受験資格を得るために、おのおのの級に必要な受験資格が得られる期間まで現場で働く方法があります。

この方法は費用的には安いものの、2級受験までに最低2年かかるほか、働きながらの勉強になるため、大変です。

2級の場合は専門学校の指定学科や厚生労働大臣指定の学校などに通い、必要な過程を修了すれば、卒業時に受験資格を得ることができるとされています。

2級合格者は2年以上の実務経験で1級を受験することもできるため、受験資格で実務経験が免除される学校に通うことが、資格取得の早道となります。

試験内容

パン製造技能士試験は、学科試験と実技試験で構成されています。

1級と2級の学科試験は、「食品一般」「パン一般」「パン製造法」「材料」「関係法規」「安全衛生」などの内容が出題されます。

実技試験は、決められた時間内に指定の作業を行うという内容です。

2級の場合は材料の選定からスタートして、生地の調整・発酵、仕上げ、製品検査などを行います。

1級の場合は、2級の実技試験の内容にプラスして、精算や見積もりができるかどうかがチェックされます。

たとえば1級は水の配分割合を決定したうえで、各材料の使用量を算出します。

そして、支給された強力粉及び中力粉の2種類の小麦粉のうちから強力粉選び、各材料秤量を行った後、焼成を行い、食パンを4本作ります

一方、2級では、強力粉及び中力粉の2種類の小麦粉から強力粉を選択し各材料を秤量、直捏生地法にてミキシング、発酵及び焼成を行い、食パン3本作るという内容になります。

特級になると、学科試験は「工程管理」「作業管理」「品質管理」「原価管理」「安全衛生管理」「作業指導」「設備管理」などの内容が出題されます。

そして実技試験ではパンを作るのではなく、パンを作る工程を管理できるか、品質の管理ができるかなどの内容のペーパーテストになっています。

1級、2級は職人としてのスキル、特級は管理職としてのスキルが求められるといえます。

難易度

合格ラインは原則、実技試験60点以上、学科試験65点以上(100点満点)となっています。

パン製造技能士の合格率は2級が60%、1級が45%と難易度はそこまで高くはなく、しっかりと対策をとることで十分合格は可能でしょう。

学科試験に関しては、過去問題集から8割ほど同じ問題が出題されます。

実技試験に関しては、試験日に先だち問題が公表されます。

時間内に仕込みから成形、そして焼成までひと通りできれば、まず落ちることはないでしょう。

手洗い、焼成の色などいくつか減点ポイントがあるため、その部分を押さえて1つ1つの工程を丁寧にこなすことを意識しましょう。

特級に関しては1級より少し難易度が上がるものの、実務経験がある人であれば合格の可能性は十分にあるでしょう。