水族館の飼育員・トレーナーになるには? 高卒でもなれる? 必要な資格は?

水族館の飼育員・トレーナーには、水生生物の生態などに関する専門知識が求められます。

そのため、動物系の専門学校や大学に進学して学んでから就職するケースが一般的です。

資格取得は必須ではないものの、「獣医師」「潜水士」「スキューバダイビングのCカード」「学芸員」の資格を持っていると、就職時に有利になることが多いといわれています。

この記事では、水族館の飼育員・トレーナーになる方法、学歴、資格について解説しています。

水族館の飼育員・トレーナーになるまでの道のり

水族館の飼育員になるまでの一般的な道のりは、動物系の専門学校や大学に進学し、専門知識を学んでから就職を目指すルートです。

水族館飼育員の求人数はきわめて少なく、ほとんどが欠員募集となっています。

現在、水族館飼育員として勤めている人のほとんどは獣医師免許を持っていたり、畜産・水産大学、あるいは動物関連の専門学校で海洋や動物の生態について学んでいます。

そのため早くから水族館で飼育員として働きたいという希望があれば、こういった大学や専門学校への進学を検討することをおすすめします。

卒業後は、民間の水族館を志望する場合は各施設の採用試験、公営の水族館を志望する場合は地方公務員試験を受けます。

なお、水族館のトレーナーになるのは、大学卒の人よりも、専門学校でトレーナーとして基礎的な技術を学んでいる人のほうが多いようです。

トレーナーは、飼育員と比べると学術的な知識を問われることはあまり多くなく、それよりもトレーニングの実践的なスキルが求められる傾向です。

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水族館の飼育員・トレーナーの資格・難易度

水族館の飼育員やトレーナーになるのに、必須の資格はありません。

しかし、取得しておくと有利になるといわれているのが、以下の4つの資格です。

  • 獣医師
  • 潜水士
  • スキューバダイビングの「Cカード」
  • 学芸員

水族館によっては、このような資格を所持していることが応募条件になっていることもあります。

なお、「獣医師」の資格を得るには獣医学部にある大学に通い、6年間勉強した上で、国家資格に合格しなくてはなりません。

獣医学部がある大学は国公立・私立合わせても20校もないため、難易度は高いといえるでしょう。

参考:農林水産省 獣医師免許について

「潜水士」は厚生労働省が認定する国家資格で、18歳以上の人が受けることができます。

難易度は合格率80%ほどと高く、試験は筆記試験のみとなるため、しっかりと勉強していれば合格できる可能性が高いでしょう。

参考:安全衛生技術試験協会 潜水士資格について

スキューバダイビングの「Cカード」は、民間団体が発行しているので資格ではなく、認定証と呼ばれます。

安全にダイビングができる知識や技術があることの証明なので、実際に水族館の飼育員に採用された場合でも水中での作業が可能だということをアピールできるでしょう。

学科の難易度はそこまで高くないといわれますが、取得を目指す前に、一度スキューバダイビングを体験してみることをおすすめします。

参考:Cカード協議会

「学芸員」は資料の収集、保管、展示などを担当する専門職員をするための資格です。

学芸員というと博物館や美術館で活躍するイメージを持たれがちですが、じつは水族館でも採用があります。

学芸員資格を得るには、大学で博物館などの科目の単位を修めて、認定試験を受験します。この試験は半数以上が合格しているため、難易度が高いわけではありません。

ただし水族館に学芸員として採用された場合は、飼育員ではなく学芸員としての仕事になることに注意が必要です。

採用は激戦で、とくに水族館の求人はきわめて少なく、欠員補充のための採用が一般的となっています。

文化庁 学芸員資格について

水族館の飼育員・トレーナーになるための学校の種類

水族館の飼育員・トレーナーになるために学歴は求められませんが、未経験採用はほとんど実施されていないのが実情です。

そのため、必要な知識を深め、資格取得をするなど前向きな努力をする必要があるでしょう。

水族館の飼育員・トレーナーになるための学校は、大きく分けて「大学・短大」と「専門学校」の2種類です。

「大学・短大」では動物の飼育に関する知識や野生動物と自然環境との関係性について、アカデミックに学ぶことができ、学費は初年度で80万円〜180万円ほどと学校によって大きな差があります。

水族館の仕事と関連する大学学部・学科の例

「獣医師免許」の取得を目指す場合には、獣医学部に進学して国家資格を取得しなくてはいけません。

一方、「専門学校」では、基本的に2年制で就職を前提としたカリキュラムが組まれており、学費は初年度80万円〜160万円ほどとなります。

水族館の仕事と関連する専門学校の専攻の例
  • 生命科学
  • 海洋生物学科
  • 水族館プロデュース専攻
  • 水族館・アクアリスト専攻

水族館で働く職業のなかでも、「ドルフィントレーナー」など、特定の仕事や業務に特化した勉強ができる学校もあります。

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水族館の飼育員・トレーナーに向いている人

水族館の飼育員やトレーナーの仕事では、まず肉体的なタフさが要求されます。

どちらの仕事もメインは給餌と館内の水槽内の清掃で、水に触れる作業が多いため、冬になると極寒の環境で非常にきつい仕事だからです。

魚や動物たちが快適な環境で生活できるよう、いつでも生物に愛情を持って接することが求められます。

また、来園してくれるお客さまに対して笑顔で接することができ、海洋生物の特徴や素晴らしさを伝えるコミュニケーション能力も大切です。

不規則な勤務時間になることも多い仕事ですが、生物についての知識を掘り下げる努力を欠かさず、情熱を持って仕事ができる人に向いているといえます。

水族館の飼育員・トレーナーのキャリアプラン・キャリアパス

飼育員の場合

水族館の飼育員・トレーナーとして採用され、一人前になるまでは、先輩に教えてもらいながら割り当てられた日々の業務を担当します。

飼育員は餌やり、水槽の掃除をしながら生物たちの健康チェックを行い知識・技術を深めていきます。

経験を重ねても、勉強する努力は継続し続けなければいけません。

現在、飼育員の仕事は多様化しており、それぞれの才能や得意分野を生かした仕事を深めていくことができるでしょう。

水族館飼育員の仕事内容の例
  • イベントの企画・運営
  • 展示方法の工夫
  • 野生動物の保護活動
  • 稀少性の高い海獣や魚を飼育・展示
  • 研究活動
  • 繁殖活動
  • 講演会や教育活動

このように、水族館飼育員は多様な業務に携わっており、生物に対する深い知識や経験を生かしながら活躍できます。

トレーナーの場合

水族館のトレーナーは、職種限定の採用ではなく、水族館の飼育員やスタッフとして採用される場合もあります。

したがって、トレーニングだけを担当するとは限らず、一般的な飼育員やスタッフの仕事を任されるケースもあると考えておいたほうがよいでしょう。

トレーナーとしての仕事がスタートしたら、動物のエサやりや健康管理、掃除などの世話はもちろん、動物たちと信頼関係を作ることが大切になります。

ショーに出るイルカなどの動物と長く過ごし、トレーニングを重ねて、ショーで演じたり、水族館の魅力を伝えられるための演出も手がけたりします。

また、海獣のことを知り尽くした専門家として繁殖などに携わったり、昇進して管理業務に従事したりすることもあります。

水族館の飼育員・トレーナーを目指せる年齢は?

水族館の飼育員・トレーナーは何歳でも目指すことができます。

しかし、現実的に初めてこの職に就くとなると30歳前後までが一つの目安になると考えておくとよいでしょう。

民間・公立問わず、水族館では欠員が出るたびに不定期で採用募集を行っていますが、採用募集では年齢や学歴、資格が問われる場合があります。

なお、公立の水族館で働く場合は公務員採用試験を受け必要があり、自治体ごとに年齢上限が定められています。

25歳~35歳程度を上限とする場合が多いため、若ければ若いほどチャレンジするチャンスは多いといえるでしょう。

ハッキリとした年齢制限が設けられていなくても、この仕事は体力勝負であり、年齢を重ねるほどきつく感じるかもしれません。

逆に体力に自信がある人はアピールポイントとして捉えながら、年齢上限に気をつけて目指しましょう。

水族館の飼育員・トレーナーは高卒から目指せる?

水族館の飼育員・トレーナーは、高卒からでも目指すことが可能です。

ただし飼育員やトレーナーの募集人員は不定期で、採用人数は「若干名程度」と少ないにも関わらず、海洋生物へ深い知識がある人や経験者、難関の獣医師免許を取得した人まで応募が殺到します。

未経験の高卒者では、書類選考や面接ではなかなか目に留めてもらえない可能性も考えられます。

「大学や専門学校で学ぶことは難しいけれど、どうしても水族館で働きたい」という人は、アルバイトや臨時職員としてまず現場に入ることから考えてみるとよいでしょう。

未経験者の就職の可能性を広げるための現場の実務経験がつくだけでなく、実際の飼育の現場に携わりながらその仕事ぶりが認められれば、正社員として登用されることもあるかもしれません。

もちろんそのためには積極的に人脈を作ったり、真剣に日々の仕事をこなしたり、新しい知識を得ようとする姿勢が不可欠です。

水族館の飼育員・トレーナーは女性でもなれる?

水族館の飼育員・トレーナーは、女性でもなることができます。

ひと昔前までは、女性は結婚や出産を機に退職するケースが多く、定年まで働くことが難しかったようです。

しかし近年では、多くの民間や公営の水族館で育児休暇制度を利用し、結婚し、子育てしながらも働くことができるようになりました。

飼育員・トレーナーの仕事はどちらも、重い餌を運んだり、寒い冬でも潜水して清掃作業をしたり、何百キロもある海獣たちと訓練するなど体力的にはきつい面もありますが、「好き」な気持ちが勝る人の方が多いようです。

日々生物たちの健康管理や観察、繁殖、赤ちゃんの育成する場面では、女性ならではの細やかな気遣いが強みとして生かされることもあり、今後も女性の活躍が期待されています。

水族館の飼育員・トレーナーになるには?のまとめ

水族館の飼育員・トレーナーは、採用人数が少ないことから、大学や専門学校で動物・水生生物に関して専門的に学んでから就職をするほうが有利といわれています。

年齢制限はとくにありませんが、体力勝負の仕事でもあるため、できるだけ若いうちに就職して、現場でキャリアアップを目指していくに越したことはありません。

正規職員としての採用が難しい場合には、アルバイトや臨時職員としてまず現場に入り、経験を積むことも一つの方法です。