動物園の飼育員になるには? 資格は必要?

動物園の飼育員になるには、必須の資格はありません。

高卒から動物園の飼育員になることも可能ですが、専門学校や大学で学んでから動物園に就職する人も多いです。

必須ではないものの、持っておくと動物園への就職に役立つ資格もあります。

この記事では、動物園の飼育員になるための方法や、持っておくと便利な資格を解説します。

動物園の飼育員になるには?資格は必要?


動物園の飼育員になるために必須の資格は特にありません。

動物園の飼育員になる方法は様々ですが、多くの人は高校卒業後に動物の専門学校や大学で学んでから動物園への就職を目指します。

公立の動物園では公務員採用募集を受ける必要があり、受験資格として「大卒」もしくは「高卒」の学歴が求められます。

この章では、動物園の飼育員になる方法や、就職活動の時にアピールになり就職後も役立つ資格を紹介します。

動物園の飼育員になるためのルート【正社員は狭き門】

動物園の飼育員になるには

動物園の飼育員になるための絶対に必要な資格などはないので様々な目指し方があります。

一般的には、上の図のように高校卒業後に公務員試験や就職試験を受けたり、アルバイトで経験を積んだりして飼育員になるか、大学や専門学校で学んでから飼育員になる方法があります。

公立の動物園に勤めるには各地で実施される地方公務員試験を受けなければならず、受験資格として「大卒」もしくは「高卒」の学歴が必要になります。

難易度は自治体によってばらつきがありますが、5倍〜12倍ほどの倍率が一般的のようです。

地域によっては動物園の飼育員は「高卒」の募集があり、大卒だと応募ができない場合があるので注意が必要です。

また、学芸員の資格が必須の場合もあり、その場合は大学または短期大学で資格取得を目指すことになるので、進学前にどちらがいいかをよく検討することをおすすめします。

正職員や正社員の採用は狭き門で、即戦力が求められる傾向にあるため、未経験者が動物園で働きたい場合は、アルバイトとして現場に入り、経験を積むという道を考えてもよいかもしれません。

アルバイトをする人の多くは本格的に動物飼育員として働くことを目指しており、働きぶりがよかったり、職場の経営状態がよければ、そのまま正社員として登用されることもあります。

飼育員の就職には動物飼育の資格や専門知識を学んだ人が有利になりがちですが、それ以上にアルバイトでの業務経験が評価されることもあります。

飼育員を目指すなら専門学校、大学どちらが良い?

飼育員を目指す人が専門学校・大学に進学するメリットとデメリットをそれぞれ見てみましょう。

飼育員を目指す人が専門学校・大学に進学するメリット・デメリット

【専門学校】

  • 動物園への就職を前提に実習などのカリキュラムがある
  • 2年制が多いため大学よりも短期間で就職を目指せて学費も安い
  • 一般教養や語学などは学校の授業に含まれないことが多い

【大学】

  • 農学や畜産など深い専門知識を身に着けることができる
  • 動物園の飼育員になるための実習はないが一般教養など幅広く学べる
  • 4年~6年と在学期間が長く学費や生活費等の金銭負担が大きい

動物園の飼育員は専門知識が求められる仕事で競争が激しいため、専門学校や大学で動物飼育のことを学んでから就職を目指す人が多いのが実情です。

しかし採用募集数が非常に少なく、未経験や経験の浅い人が採用されるのは困難なため、まずはアルバイトや臨時職員として経験を積み、正規採用を目指す人が大勢います。

専門学校では「動物管理科」や「動物飼育科」など、動物飼育員になることを前提としたカリキュラムを持つ学校がいくつもあるので、通いやすい学校が選びやすいでしょう。

学費は初年度で65万円〜160万円ほどと、学校によって大きく差があるようです。

一方、大学であれば「農学」「畜産」「生物」などの学部や学科で学ぶことができますが、難易度の高い獣医学系大学に6年間通い、「獣医師免許」を取得する人もいます。

医師免許を取得したり、難易度の高い大学を出ることで、資格や学歴で多少有利になる可能性はありますが、いくら学歴が高くても残念ながら動物園への就職が約束されるものではありません。

大学・短大の学費は、初年度で135万円〜265万円ほどです。

動物飼育員になるためにはどんな学校にいけばいい?(大学・専門学校)

動物園の飼育員の資格【必須ではないが役立つ】

動物園の飼育員は、なるために特別な資格が求められる仕事ではありません。

ただし業務に生かせる資格はいくつかあり、持っていると就職や転職の際に有利になることが多いです。

動物園の飼育員が持っていると役立つ資格の代表的なものは以下の5つです。

動物園の飼育員の資格
  1. 獣医師
  2. 学芸員
  3. 愛玩動物飼養管理士
  4. 潜水士
  5. マニュアル車の運転免許

一つずつ見ていきましょう。

動物園の飼育員の資格1.獣医師

国家資格の「獣医師」は、動物飼育員として採用における必須条件としている施設もあります。

間口を広げる意味でもぜひ目指したい資格ですが、獣医系大学で6年間学び、獣医師国家試験を受けて合格しなければいけません。

獣医系大学の数は国内に17校と少なく、募集人員も少ないため難易度は高いです。また、学費も高めで私立大学だと6年間で1,000万円ほどかかることが多いです。

金銭的・時間的負担が大きいですが、動物生理学や薬学といった就職後も役立つ専門知識を身に着けることが可能です。

獣医になるには

→参考:農林水産省 獣医師免許について

動物園の飼育員の資格2.学芸員

学芸員とは、資料の収集、保管、展示などを担当する専門の職員のことで、国家資格です。

学芸員は美術館や博物館に勤務しているイメージがありますが、動物園においても、来園したお客さまに動物の生態について解説をしたり、ショーなどのイベントの企画をしたりといった業務に生かすことができます。

動物園の飼育員の募集においても学芸員の資格を必須としていることがあります。

学芸員の資格を取得するには、専門のカリキュラムのある大学や短期大学で必要科目を履修するのが一般的な方法です。

「学芸員」とは

参考:文化庁 学芸員資格取得方法

動物園の飼育員の資格3.愛玩動物飼養管理士

愛玩動物飼養管理士は動物飼育員に関する資格の一つで、動物に関わる法令や保健衛生、公害問題、動物の疾病予防、各種動物の飼養管理などの知識を体系的に習得・普及するために作られています。

6か月間の通信教育を受けた後、試験に合格すると得られる資格です。

有資格者は全国に約19万人いて、動物の飼育員はもちろん、会社員や学生など幅広い人が目指せる、取得しやすい資格といえるでしょう。

参考:日本愛玩動物協会 愛玩動物飼養管理士

動物園の飼育員の資格4.潜水士

潜水士とは、仕事として潜水作業を行う人に必要とされる国家資格で、水中で安全に作業を行うための知識があることを証明できます。

水族館に勤務する場合には必須となっていることも多いです。

合格率は8割前後と高く、実技試験はありません。独学でも取得が十分に可能な資格です。

似た資格にスキューバダイビングのライセンス「Cカード」がありますが、こちらは国家資格ではありませんので注意しましょう。

動物園の飼育員の資格5.マニュアル車の運転免許

動物園に勤務すると、館内整備やえさの運搬などのために軽トラック等を運転する機会があります。

就職後に取得することも可能ですが、時間のある学生のうちに取得しておくと良いでしょう。

文系からも動物園の飼育員になれる?

動物園の飼育員は文系からも目指すことができます。

生物についての知識が必要なので、理系向きと思われることもありますが、必須の資格はないため文系から動物園の飼育員を目指す人も多いです。

また、募集によっては「学芸員」の資格が必要になることがありますが、大学の文学部など文系学部で指定の科目を履修すると取得が可能です。

飼育員はお客さんへの動物の見せ方や、動物園の経営改善といった文系の視点が役立つこともあります。

飼育員は高卒からも目指せる?年齢制限はある?

動物園の飼育員になるには、必ず通わなくてはならない学校はありません。したがって、高卒からでも、十分に目指すことができます。

しかし自治体が運営する動物園で働きたい場合は、公務員採用試験を受ける必要があり「大卒以上」の学歴でしか受けられないものもあるので注意が必要です。

動物園の飼育員を目指すのに、年齢は「不問」の場合が多いですが、公営の動物園を目指すなら、地方公務員試験を受けるのに年齢上限があります。

都道府県によって違いはありますが、29歳〜35歳とされていることが多いため、若いうちに目指さないと受験の資格すらなくなってしまうので注意が必要です。

また体力が求められる仕事なので、年齢を重ねてから目指すよりも、若いうちに重労働に慣れておいた方が体への負担も減らせるかもしれません。

ただし動物飼育員は「経験」を重視される場合が多く、定年退職した人が再雇用されることもあるようです。

飼育員は年齢に関わらず、動物飼育に関わった経験がある人が即戦力として有利になる可能性も高いので、タフに働ける人材が求められているといえるでしょう。

動物園の飼育員の仕事内容を具体的に知りたい!


動物園の飼育員・飼育スタッフと呼ばれる人たちは具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。

この章では、動物園の飼育員になった後についてイメージしやすいように、仕事内容を紹介します。

動物園の飼育員の主な仕事内容【動物のお世話だけではない】

えさやりや掃除といった動物の世話をイメージする人も多いですが、実は様々な仕事があります。

✅ 動物園の飼育員の仕事例

  • 動物のえさやりや健康状態チェック、園内の清掃
  • ショーや展示の企画、解説
  • 来園者の接客
  • 動物の研究・種の保存

動物園内を清潔に保ち、動物がストレスなく過ごせる環境を整えることは飼育員のメインの仕事です。

来園者に興味を持ってもらえるように、イラスト付きの解説を作成して展示したり、ショーを企画してその解説を行ったりします。

また、動物園にはエンターテイメントとしての機能だけでなく、動物の研究の場・種の保存という機能もあります。

近年では動物保護の観点から、野生動物をとらえるのではなく動物園内で繁殖を行うことに力を入れています。

担当する動物の出産の際には泊まり込みで見守ることもあり、肉体的にハードである反面、やりがいの大きな仕事でもあります。

動物園の飼育員になった後のキャリアの例は?

動物園の飼育員になるには、採用募集情報を見つけて応募することろから始まります。

動物園では最低限の飼育員で回しているところも多く、「定期的に新人を採用して育てる」といった職場は多くありません。

そのため人材採用も退職者が出た場合に、欠員補充としてすでに経験のある即戦力となれる人を求めることが非常に多い世界です。

そのため一つの手としてアルバイトや臨時職員としてスタートし、現場で仕事を覚えながら人脈を作るのも一つの方法でしょう。

園長に推薦をもらい、正規職員に昇格した経験を持つ人もいます。

晴れて動物園の飼育員になってからは、担当する動物の餌やりや掃除などの世話を中心にしながら、動物たちの観察・研究、繁殖を目指す仕事です。

担当する動物によってはショーの訓練をしたり、来園者に楽しんでもらえるよう園内のガイドツアーを実施したり、イベントの企画や運営も行います。

いくら学校で知識として習っていても、野生動物を目の前にすると一筋ではいかないため、常に勉強し経験を積む姿勢が求められる仕事です。

キャリアを積み重ねたその先には、専門知識を生かした講演活動、本の執筆、テレビ出演など幅広い活躍も期待できるでしょう。

動物園の飼育員を目指すなら知っておきたい3つのこと


動物園の飼育員になりたい人向けに、以下の3点を解説します。

  • 危険と隣り合わせの仕事であることを知っておく
  • 動物園の飼育員の給料・福利厚生
  • 動物園の飼育員の男女比は?女性も活躍できる?

危険と隣り合わせの仕事であることを知っておく

動物園の飼育員は野生の動物を相手にする仕事なので、常に危険と隣合わせです。

担当する動物がライオンなどの猛獣であったり、蛇などの毒のある動物である場合もあります。

実際に、飼育員が動物に襲われて死亡する事故が起きた例もあります。

動物が好きで自分になついていると思っていても、思わぬ事故になることがあることは常に意識しておく必要があります。

動物園の飼育員の給料・福利厚生は?

動物園の飼育員の年収は勤務先によって異なりますが、一般的な会社員と比べると少ない傾向にあります

✅ 動物園の飼育員の年収の目安

  • 民間の動物園:240~300万円
  • 公営の動物園:270万円〜400万円

公営の動物園で正職員として働く場合には、公務員として勤務するため比較的安定した給料がもらえ、福利厚生も整っているといえます。

ただし、肉体的にハードな仕事であることを考えると、決して高い給与がもらえるわけではありません。

収入よりも、動物園とかかわる仕事に魅力とやりがいを感じられる人が向いている仕事です。

動物園の飼育員の男女比は?女性も活躍できる?

動物園の飼育員は職場によっては男女の割合が半々となるなど、多くの女性たちが活躍しています。

動物園で働くとなれば、日々の業務では思いエサを持ち運んだり、全身を動かして園舎の掃除をしたりと、体力を要する面も多々あるのが特徴です。

しかし動物が好きで、何より「この仕事をやりたい!」という強い気持ちがあれば、男女関係なく働くことができるでしょう。

最近では労働環境が改善し、産休や育児休暇を取りやすくなり、長く働き続けてベテランの域に達する女性飼育員も増えているようです。

女性の動物飼育員のキャリアパス・結婚後の生活

動物園の飼育員に向いている人の3つの特徴


動物園の飼育員に向いている人の特徴は次の3つです。

動物園の飼育員に向いている人の3つの特徴
  1. 忍耐力がある人
  2. 体力に自信がある人
  3. 好奇心・探究心が旺盛な人

忍耐力がある人

動物園の飼育員は、勤務時間の大半を動物と一緒に過ごしますが、動物は人間が思ったとおりに動かないことも多々あります。

そのためいつでも言葉を発さない動物の感情を読み取ろうとする気持ちや、ちょっとうまく行かないことがあっても、簡単には諦めない忍耐力が必要です。

体力に自信がある人

飼育員の業務の大半は立ち仕事で、モップやブラシなどで時間をかけて園舎の掃除をしたり、バケツに入った思いエサを与えたりと、肉体を駆使する重労働です。

また動物の生態に合わせて対応しなければいけないので、労働時間は不規則な傾向にあり、体力が求められるでしょう。

好奇心・探究心が旺盛な人

動物園の飼育員は世話をするだけでなく、動物の生態を研究することも重要な任務です。

動物たちのことを日頃から「もっと知りたい!」と好奇心や探究心を持てる人、研究熱心な人は飼育員に向いているといえます。

動物飼育員に向いている人・適性・必要なスキル

動物園の飼育員になるには|まとめ

動物園の飼育員になるには、特別必要な資格はありませんが、公営の動物園の飼育員になるには地方公務員試験を受けるので、「高卒」「大卒」の学歴が受験資格として必要になることがあります。

動物園の飼育員の正社員・正職員の募集は少なく狭き門です。

アルバイトなどで経験を積み、働きぶりが認められて正社員として採用されることもあるようです。

獣医師や学芸員といった専門知識を求められる動物園もあります。

動物園の求人情報をよく確認しておくようにしましょう。