薬剤師と登録販売者の違い
薬剤師と登録販売者の仕事内容の違い
薬剤師と登録販売者の違いは、大きく2点挙げられます。
ひとつめは、処方せん調剤ができるかどうかということ。ふたつめは、販売できる医薬品の種類が異なることです。
薬剤師と登録販売者では、役割や扱える薬の種類に大きな違いがありますので十分に理解しておきましょう。
薬剤師のおもな仕事内容は、医薬品のプロとして調剤・医薬品の提供販売、服薬指導、創薬の研究、医療情報の提供などです。
医薬品の種類に関係なくすべての医薬品を取り扱うことが可能です。
薬剤師が働ける職場は、調剤薬局・ドラッグストア、医療機関、製薬会社、官公庁などさまざまです。
働く職場によって、業務内容も大きく異なります。
一方、登録販売者とは、ドラッグストアや薬局などで一般医薬品を販売できる人のことです。
しかし、登録販売者が扱える医薬品の種類には限りがあります。
人々が普段、医師の処方せんをもとに提供を受ける薬や自身で購入する一般薬は、副作用の可能性やそのリスクに応じて、「第1類医薬品」「第2類医薬品」「第3類医薬品」の3種類に分かれています。
とくにリスクが高いものとして分類される第1類は、薬剤師でなければ販売ができません。
登録販売者が販売可能な医薬品は、第2類と第3類のみと定められています。
また、登録販売者は調剤を行うことも認められていません。
薬剤師と登録販売者のなる方法・資格の違い
薬剤師になるには、大学の薬学部薬学科で6年間専門知識を学び、薬剤師国家試験に合格する必要があります。
一方、登録販売者には必ず通うべき学校はありません。
登録販売者になるための試験は、薬剤師国家試験とは異なり受験資格がなく、誰でも試験を受けることが可能です。
ただし試験合格後、登録販売者として登録するには薬剤師または店舗管理者・管理代行者の要件を満たした登録販売者の管理および指導の下、2年間の実務経験が必要になります。
近年ではドラッグストアや薬局の店舗数拡大に伴って薬剤師が不足傾向にあり、医薬品販売に携われる登録販売者のニーズは、ますます高まっていくと予想されています。
薬剤師と登録販売者の資格・必要なスキルの違い
薬剤師は、薬のスペシャリストとして専門的な知識が必要とされる職業です。
それを身につけるために、大学の薬学科で6年間という長い時間をかけて専門的に学びます。
一方、登録販売者は取り扱う医薬品の知識や人の健康に関する基礎的な知識は必要ですが、薬剤師ほどマニアックな薬の知識は求められません。
その代わりに、店舗での接客販売業務に従事する機会が多くなるため、コミュニケーション能力や接遇能力、気遣いなどが必要になってきます。
薬剤師と登録販売者の学校・学費の違い
薬剤師になるには、まず大学の薬学部か薬科大学で6年間の薬剤師養成課程を修了する必要があります。
そのうえで薬剤師国家試験を受験し、試験に合格して申請すると厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、薬剤師免許が与えられます。
薬学部は全国各地にありますが、短期大学、専門学校、大学の夜間部、第二部は存在しません。
そのため、必ず6年間通学して勉強する必要があります。
学費については、国立と私立で大きく差があり、国立では400万円程度で卒業できますが、私立になると1000万円以上かかることもあります。
一方、登録販売者になるにあたっては、必ず通わなくてはならない学校はありません。
登録販売者になるための試験は誰でも受験できるため、必ずしも大学を出ている必要はなく、実際に高卒の受験者もいます。
実際にドラッグストア等へ就職する際にも、登録販売者は学歴制限がかけられることはほとんどないようです。
薬剤師と登録販売者の給料・待遇の違い
薬剤師と登録販売者を比較すると、より難易度が高く、なるのもハードルが高い薬剤師のほうが給与水準は高めとなっています。
薬剤師も活躍の場によって平均収入に差が出てきますが、大病院の薬局や、大手企業が運営する調剤薬局に勤務すれば、比較的高収入が得られることもあります。
待遇面でも大手は安定していますので、その点は魅力です。
登録販売者も近年ニーズが増している職業であり、職場によってはわりとよい給与設定の下に働けます。
一方で、薬剤師に比べると専門性はないとみなされ、時給換算するとアルバイトに毛が生えた程度しかもらえない場合もあるようです。
薬剤師と登録販売者はどっちがおすすめ?
薬剤師と登録販売者は、どちらも医薬品に関わる職業ではあるものの、薬剤師のほうが、より医療現場に近いところで働けます。
とくに調剤業務は登録販売者にはできない業務であるため、医師の処方せんにもとづき患者さんのために調剤をしたいならば、薬剤師を目指しましょう。
一方、医薬品の販売業務に携わりたい気持ちが強いのなら、登録販売者になるのもよいでしょう。
薬剤師の資格取得には時間がかかり、しっかりと専門的な勉強をして国家試験の合格を目指さなくてはなりません。
もし社会人から転職を希望する人は、医薬品販売に携わることができる登録販売者の資格を取得してみることも検討してよいかもしれません。