薬剤師はキャリアアップできる? 認定薬剤師・管理薬剤師とは?
認定薬剤師とは?
薬剤師のなかには「認定薬剤師」という肩書きを持っている人がいます。
認定薬剤師とは、一定期間内に薬学に関する研修に参加して単位を取得することで、薬学に関して自己研さんし続けている薬剤師であることを証明してもらえる制度です。
もう少し具体的に説明すると、認定薬剤師は、研修認定薬剤師制度のもと、倫理、基礎薬学、医療薬学、衛生薬学及び薬事関連法規・制度など、良質の薬剤師業務を遂行するために自己研さんします。
そして、得た成果について一定期間内(新規4年以内、更新2年ごと)に所定の単位を取得したと申請した後、認定される薬剤師のことをいいます。
認定されると、他の医療従事者や患者様からの信頼を高め、常に時代に即した薬学的ケアが行える薬剤師であることを示せます。
→参考:公益財団法人日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師制度とは
実は、薬剤師の資格は一度取得してしまえば、あとは更新の際には試験を受けずに一生保持できます。
極端にいうと、資格を取ったあとも現場で働いたり学会に参加したりして薬学の勉強を続けている人と、資格を取ったあとは現場で働くこともなくまったく勉強もしていない人とが、同じ「薬剤師」の資格の保持者になるということです。
医薬品の進歩はめざましく、薬局や病院で取り扱う薬も日々移り変わっていきます。
しかしながら、時代に即した知識を持っている薬剤師を見分ける術がないというのは不便なことです。
こうした状況のなかで、医師免許の「認定医」「専門医」などの制度と似たようなしくみで、薬剤師として自己研さんを続けている人を証明するための制度として、平成6年から「認定薬剤師」の制度が始まりました。
認定薬剤師になるには
認定薬剤師になるには、まず薬剤師研修手帳を入手し、薬剤師に対する集合研修や実習研修に参加することで研修受講シールを集めなくてはなりません。
このシールを手帳に貼り、一定期間内(新規4年以内、更新3年毎)に40単位以上取得できたら、各都道府県の薬剤師研修協議会に提出します。
このあと、研修認定薬剤師として登録され、認定薬剤師証が発行されることで、無事に「認定薬剤師」となることができます。
「認定薬剤師」を目指すかどうかは強制ではなく、「認定薬剤師」にならなかったからといって不利益が生じるわけではありません。
しかし、「認定薬剤師」を取得すれば自分が薬剤師として薬学の知識を更新し続けていることを示すためのひとつの手段になり、他の医療従事者や患者さんからの信頼を高められる効果があると期待されています。
管理薬剤師とは?
「管理薬剤師」とは、店舗や薬局などでの薬剤を管理し、さらにすべての業務や従業員の管理・指導を行う薬剤師です。
一般的な薬剤師が調剤業務をメインとしているのに比べると、事業全体に関わる業務が中心になるといえます。
病院や調剤薬局、ドラッグストア、製薬企業など、医薬品の製造・販売・取扱いを行う場所には、「管理薬剤師」を配置することが薬事法により定められています。
身近な例として、調剤薬局やドラッグストアの場合、経営者には薬剤師の資格は必要ありませんが、かならず1店舗に1人「管理薬剤師」を置かなければなりません。
管理薬剤師になるには
現場での管理能力が求められる
管理薬剤師になるには、薬剤師以外の特別な資格は必要ありませんが、薬の知識だけでなく管理する能力も必要です。
薬事法に関する法律や保険医療に関する専門的な知識も要求されます。
また患者さんや従業員、経営者ともコミュニケーションをとらなければならないため、総合的なバランス感覚やコミュニケーション能力をもつことが重要です。
職場での昇進や、経営者から声をかけられて管理薬剤師になることが通常のパターンのようです。
管理薬剤師に必要なスキル・知識
1店舗に薬剤師1人のドラッグストアでは、雇用された薬剤師が、そのまま管理薬剤師となるパターンも多いようです。
管理薬剤師に必要なスキルを考えると、管理薬剤師の業務は、大まかには医薬品の管理と従業員の監督に分けられます。
つまり職場の管理職のような立場ともいえるでしょう。
それぞれの医薬品に関して十分な知識をもち、適切な管理と保管をするため、管理薬剤師には医薬品に対する知識と経験が第一に必要とされます。
また正しい情報を集め、他の薬剤師と共有するなど、情報の管理も担当することから情報収集能力も重要です。
薬事法など薬に関連する法律に対する理解や、保険請求に関しても詳細な知識が求められます。
そのほか、従業員が適切な仕事をし、患者さんへ適切な情報提供を行っているか、法令が遵守されているかも監督します。
こうした業務には、知識や経験だけでなく、人間性やコミュニケーション能力も不可欠です。