測量士の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
測量士の平均年収・給料の統計データ
測量士は、業務を行うために国家資格が必要になるうえ、求められる知識やスキルも高度であり、かなり専門性の色濃い技術職といえます。
さらに、重い機材を担いで、雑草地や山の中を1日中歩き回るなど、測量士の仕事内容は肉体的にも非常にハードです。
しかし、給料面については、一般的なサラリーマンとほぼ同じくらいであり、そうした業務の難しさ、厳しさの割には、さして恵まれているとはいえない水準に留まっています。
測量士が高給を得るには、特殊なスキルを磨いてほかの測量士との差別化を図るか、あるいは土地家屋調査士などの国家資格を取得して活躍の場を拡げるといった、なんらかの努力が必要です。
測量士の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、測量技術者の平均年収は、43.6歳で489万円ほどとなっています。
・平均年齢: 43.6歳
・勤続年数: 14.1年
・労働時間/月: 167時間/月
・超過労働: 10時間/月
・月額給与: 328,500円
・年間賞与: 948,900円
・平均年収: 4,890,900円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
測量 (Indeed) |
4,031,097円 | 月給285,408円 |
日給17,657円 | ||
時給1,417円 | ||
測量/積算 (DODA) |
414万円 | 20代:359万円 |
30代:432万円 | ||
40代:493万円 | ||
50代以上:565万円 | ||
測量士 (求人ボックス) |
448万円 | 月給37万円 |
初任給21万円 | ||
派遣時給1,567円 | ||
アルバイト時給1,079円 |
各社の統計データをみると、測量士の年収は400万円代に集中していることがわかります。
各社のデータにややばらつきがあるのは、職業名からもわかる通り、測量士単体で集計しているか、測量業務に就いている人全体で集計しているかという違いによるものです。
後者のほうが低くなっているのは、測量士補という下位資格が含まれるという事情もありますが、それ以上に、測量士の資格取得方法に大きな要因があると推察されます。
測量士になるルートは複数ありますが、資格を得るまでに数年程度の実務経験が必要になるケースが多いため、新人や若手のうちは、無資格や測量士補で働く人が大半を占めます。
このため、2つのデータの差は、資格の差というよりも、年齢の若い人と数年程度のキャリアを積んだ人の差とみるほうが、実状に近いでしょう。
測量士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
賃金構造基本統計調査の結果をみると、測量士のボーナスはおよそ月給の2ヵ月分です。
一般的な測量士の年収を450万円と仮定すると、額面の月給は約32万円、ボーナスは約64万円という計算になります。
そこから、所得税や住民税、年金などの社会保険料を差し引くと、独身者の場合、月々の手取りは約24万円~25万円、ボーナスの手取りは約50万円です。
測量士の初任給はどれくらい?
測量士の初任給は、およそ20万円くらいが相場であり、一般的な大卒の新卒者とほぼ同じくらいの水準です。
上述したように、新卒の時点では、実務経験がないために、測量士資格のない状態で就職する人がほとんどです。
専門的な知識とスキルを身につけて就職したのに、割に合わないと感じる人もいるかもしれませんが、資格がない以上、ほかの大卒者と同じ給料でも仕方がないといえるでしょう。
その代わり、資格を取得した時点で、基本給に加えて資格手当が付くなど、ある程度収入がアップするケースが多いようです。
測量士の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
測量士の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、50~54歳の589万円です。
全年代の平均年収は489万円となっています。
測量士の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
測量士の年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。
10〜99人規模の事業所に勤める測量士の平均年収は476万円、100〜999人規模は502万円、1,000人以上の規模では643万円、10人以上規模の事業所平均は489万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
測量士の福利厚生の特徴は?
測量士の福利厚生は、給料と同じく、勤務先の業種や規模による差がかなり大きいことが特徴です。
事業規模の大きな建設コンサルタント会社では、通勤手当や住宅手当はもちろん、家族手当や資格手当が支給されたり、専用の財形貯蓄制度を利用できるなど、かなり手厚いところが目立ちます。
駐車場が無料で自動車通勤ができたり、出張手当や現場手当が付くなど、移動の多い測量士にメリットの大きい制度を整えている企業もよくあります。
一方、測量事務所や測量会社は、小規模な企業が大半であり、最低限の社会保障制度はあるものの、総じてあまり恵まれているとはいえません。
有給休暇の取得しやすさなども含め、福利厚生を重視するなら、就職先の業種についてはよく検討してみるべきです。
20代で正社員への就職・転職
測量士の給料・年収の特徴
途中から昇給率が鈍化する
測量士の給与体系は、入社からおよそ10年目くらいまでは、勤続年数に従って着実に昇給していきます。
しかし、30代半ばごろから伸びが徐々に鈍くなり、40歳前後、金額にして500万円あたりで頭打ちとなるケースが目立ちます。
サラリーマンの場合、40代を超えて役職が付いた時点で大きく昇給するケースが一般的ですが、測量士については例外的で、管理職になってもそこまで大きく変わらないのが特徴といえます。
若い世代の昇給スピードが早い一方、40代や50代のいわゆる「稼ぎ時」の給与水準の低さが、測量士という職業の平均年収がさほど高くならない主因であるといえるでしょう。
なお、こうした事情は、人口の少子高齢化によって国家財政がひっ迫し、公共工事に回す予算が減少していることが大きく影響しているといわれています。
残業代の比率が高い
職場によって多少の差はあるものの、測量士はかなり残業の多い部類に入る職業です。
測量対象地は広大であることが多く、測量作業に時間がかかるうえ、往復の移動時間も長くなりがちです。
さらに、近年は扱うデータ量が膨大になっていることもあり、デスクワークの負担も年々増しています。
こうしたことから、測量士の勤務先では、ある程度の残業が常態化しているケースが大半となっており、月々の給料に占める残業代の割合がかなり高くなっています。
とくに年度末の繁忙期は、残業代の支給額がボーナス並みに達することも珍しくないようです。
なお、職場によっては、最初から基本給に「みなし残業」として20時間~30時間前後の残業代を含んでいるところもありますので、雇用条件はよく確認したほうがよいでしょう。
専門性の高い職場は高給を得やすい
測量は、あらゆる工事の前段階に必須となる作業であり、需要はかなり底堅いものの、上述したように公共工事の予算が減少していることもあって、報酬単価は下落傾向にあります。
道路測量などの単純な案件ほど、競争相手の数が多いぶん、単価の落ち込みも顕著であり、下請けの場合は、赤字覚悟で受注しているケースさえ散見されます。
その一方、飛行機やヘリコプターを使って上空から地形データを集める「航空測量」や、船を使って海底のデータを集める「海洋測量」など、専門的な技術を要する測量は、高単価を維持しています。
そうした専門測量を手掛ける企業では、社員の給料水準も高く、年収800万円を超えている企業もあるようです。
近年、ドローンの普及によって航空測量が一般化したように、今後についても測量技術の専門化がより一層進展すると思われます。
最先端の技術についていけるよう努力し続ければ、企業規模に関わらず、平均以上の給料を稼ぐことも十分に可能です。
勤務先別に見る給料・年収
測量事務所で働く測量士の給料
測量事務所で働く測量士の給料は、年収300万円~450万円前後が相場であり、それほど多くを期待できるわけではありません。
ただし、未経験可という事務所も多く、またなかには測量士の資格取得をサポートしてくれるところもありますので、測量事務所は、キャリアをスタートさせるには最適の職場です。
建設コンサルタント会社で働く測量士の給料
建設コンサルタント会社で働く測量士は、年収400万円~800万円前後が相場です。
資格や実務経験はほぼ必須であり、また実力による個人差が大きいうえ、労働時間も長めですが、測量事務所や測量会社よりもかなり高水準といえます。
地方自治体で働く測量士の給料
測量士には、都道府県や市町村の土木課・上下水道課など、地方公務員として働ける職場もあります。
その場合の給料は、一般行政職俸給表に則って支給され、自治体によって多少の差はあるものの、おおむね年収600万円前後が相場です。
20代で正社員への就職・転職
測量士が収入を上げるためには?
測量士が収入を伸ばすためには、スキルを磨いて建設コンサルタント会社などに転職するか、あるいは独立開業することが必要です。
ただし、測量士は、資格保有者だけが行える「独占業務」がないなど、決して独立向きの資格ではありません。
このため、土地家屋調査士や司法書士、行政書士など、独占業務をもち、なおかつ測量士の仕事と関連性の高い国家資格のいずれかを取得することがほぼ必須条件となります。
これらの資格を取得するのは大変ですが、ダブルライセンス、トリプルライセンスで働けば、サラリーマン測量士ではまず届かない、年収1000万円台も十分視野に入ってくるでしょう。