小学校教師の需要・現状と将来性

小学校教師の現状

採用試験の倍率は減少傾向

かつて「学校の先生」というのは、人気職業のひとつでした。

とくに就職氷河期は、安定している地方公務員である公立学校の教員は志望者が多かったものです。

しかし2000年度以降、教員採用試験の競争倍率は減少傾向にあるとされます。

小学校教員の競争倍率は2018年度に3.2倍と過去最低となるなど、その低下が深刻化しているようです。

倍率3倍をきると、現場の教師の質を保つのが難しいとされています。

小学校は児童の人間形成にとって大事な時期です。

児童を導き、育んでいく存在の教師の質の確保は、日本にとって大きな課題といえるでしょう。

待遇は良い一方、ハードワークになりがち

公立小学校の教師であれば地方公務員として働くことができるため、給料や待遇面において心配することはないでしょう。

自身が問題を起こさない限り、定年まで安定して働き続けることができます。

しかし、決して楽な仕事ではありません。

授業の準備、宿題やテストの採点、児童のフォロー、学校行事の準備、保護者との関係構築など、日々やることは山積みです。

勤務時間が過労死ラインに届くことも珍しくありません。

教師の職場環境を改善するために教員の働き改革も着手されはじめており、業務アシスタント制度を導入し、学級担任の負担を軽減する取り組みもみられます。

教師の病気離職が増加

小学校教師の病気、とりわけ精神疾患による休職、離職は年々増加傾向です。

もともと教師は多忙でしたが、最近は昔に比べ、生活面での指導比重が高まり小学校教師の負担がさらに増えています。

また小学校は家庭との距離が近いことが特徴ですが、理不尽な要求をする保護者も増加しています。

これらの保護者はモンスターペアレントと呼ばれます。

教師はその対応に時間を割かれるほか、暴言、暴力に耐えなくてはいけないこともあり、精神的に疲弊します。

さらに現場は忙しく、新人教師のフォローも十分にできない状況です。

そのため、せっかく採用され、教師についても離職してしまう人も多いのです。

小学校教師の需要

 
少子化が続くなか、小学校教師の将来性については心配されることが多いようです。

しかし、小学校は児童の人間形成にとって大事な時期となり、子どもが存在する以上、この仕事が完全になくなるということは考えられません。

現在、採用試験の倍率は減少傾向にあります。

倍率低下の原因は2点考えられます。

まず80年代に大量採用した教員が一斉退職を迎えたため、採用数自体が増加したことです。

次に就職氷河期が終わって売り手市場となり、民間企業の採用が活発化してきたことです。

教師の時間外労働の多さ、モンスターペアレント問題などを知って、教職に憧れや魅力を感じられず、民間企業を志望する人が多くなっています。

小学校教師になりたいと思う人にとっては、今はチャンスの時といえるでしょう。

小学校教師の将来性

 

少子化による影響は?

内閣府の高齢社会白書によると、2016年に1578万人いた0~14歳人口は、2020年に1507万人、2025年に1407万人、2030年に1321万人まで減ると予測されています。

現在は大量採用時代の教師の一斉退職の補充により、採用数が増加しています。

小学校教師を志望する人も減少しているため、現在は小学校教師になりやすい時です。

しかし、このまま少子化が続くことを考慮すると、教員数は全体的に減少するでしょう。

10年後には小中学校の教職需要は半減するという有識者会議の報告もあります。

英語力の重要性が増す

国際競争力向上のために、2020年から小学校での英語が必修化されます。

これをふまえ、英語力をもつ教師を小学校に配置する動きは加速すると予想されます。

実際に中学校や高校の英語教員免許を持つ受験者や、英語力検定・能力試験で一定の成績やレベルに達している受験者に加点したり、特別枠を設けたりするなどの優遇措置をとる自治体もあります。

現職の小学校教師で基準の英語力を満たす人は少なく、先生向けに対策セミナーなどが開催されています。

今後、小学校教師を目指すのであれば、英語力は必須能力といえるでしょう。

教科担任制の拡大

現在でも高学年の音楽、体育などを中心に専任の教師が配置される小学校もあります。

今後は小学校5、6年生を対象に、さらに教科担任制を拡大する動きがあります。

小学校教師も中高同様に専門の科目をもち、複数のクラスを担当することで、教師の労働環境を改善し、教育の質を高める狙いがあります。

今後小学校教師を目指す人は、英語・プログラミング・理科などの分野を中心に、自分の強みを伸ばしていくとよいでしょう。

小学校教師の今後の活躍の場

 

「児童支援専任教諭」としての活躍

現代の教育現場では、「いじめ」や「不登校」といったさまざまな問題が発生しており、小学校教師にこれらの問題の解決を期待する声も大きいです。

かつてのような「精神論」「根性論」のようなものだけで児童と向き合うことは難しく、一人ひとりの児童に対するきめ細やかなフォローが必要になっています。

そのため、これらの問題に専門的に対処する「児童支援専任教諭」が配置されています。

「児童支援専任教諭」は、学級担任はせず、学校内もしくは他の学校との連携、児童相談所・警察などの関係機関や地域との連携の窓口となり、問題の深刻化を防ぐ役割を果たします。

児童一人ひとりの成長をきめ細やかに見守る存在として、その活躍の場は今後も増加すると予想されます。

「在外教育施設」で働く

在外教育施設とは、海外に在留する日本人の子どものために、学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として海外に設置された教育施設のことを意味します。

在外教育施設には、海外にある文部科学省が認定した日本人向けの学校と、私立学校が母体となっている日本人向けの学校があります。

そこでは日本の義務教育の学習要領に準拠した教育を提供するため、現地資格は不要で、日本の小学校教師が通用します。

通常の採用試験と比較して合格しやすいとされており、海外勤務に興味がある人にはチャレンジしてみる価値はあるでしょう。