司書と学芸員の違い
司書と学芸員の仕事内容の違い
司書と学芸員の仕事にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、司書は、おもに公立図書館や小・中・高の学校の図書室や大学の図書館にて本を管理し、図書館の各種サービスを担当するのが仕事です。
利用者に対して館内の利用方法の説明や貸出・返却の対応をしたり、書籍などの資料を管理して、図書館の運営に中心的に携わっていきます。
一方、学芸員は、博物館法に基づくさまざまな文化施設(美術・科学・動物・植物等々)の専門職員として施設内に保管する資料などの収集・研究・展示準備などを行うのが仕事です。
各文化施設が扱う分野に対する専門知識を持ち、資料を適切に保管したり利用者にその魅力を伝えるための展示を考えたりしながら、学術振興や文化向上に貢献していきます。
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司書と学芸員のなる方法・資格の違い
司書になるために必ず求められる国家資格などはありませんが、司書の資格を取っていると採用時に優遇されることがよくあります。
司書の勤務先は全国各地にある地域の図書館や学校の図書館に限定されます。
求人はさほど多くなく、正規雇用が狭き門であることからアルバイトやパートなど非正規雇用で働いている人も少なくありません。
これに対して、学芸員になるには「学芸員」の国家資格が必要となり、大学で博物館に関する科目を履修するなどの決まったルートをたどる必要があります。
学芸員の主な勤務先は、美術館や水族館、動物園といった広義の博物館となります。
正規雇用で働く人もいれば、臨時職員や嘱託職員などの非正規雇用で働く人もいます。
司書と学芸員の資格の難易度の違い
司書と学芸員の大きな違いは、資格の難易度でしょう。
学芸員には国家資格があり、この資格を取得しないと学芸員として働くことはできません。
学芸員の資格を得る方法として最も一般的なのは大学での単位取得です。
文部科学省令の定める博物館に関する科目を修得した後、大学を卒業し、学士の学位を取得すると、学芸員の資格が授与されます。
これ以外の方法としては、大学に2年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得し、3年以上学芸員補の職に就いた場合においても学芸員の資格が授与されます。
ただし、学芸員は国家資格ではありますが、採用人数が多くないため正規雇用で働ける人は限られています。
国家資格の必要な仕事だから就職しやすい、高待遇が望める、生活が安定する、というわけではないことは理解しておきましょう。
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司書と学芸員の学校・学費の違い
司書を目指す人と学芸員を目指す人は、どちらも大学で学ぶ道を選ぶことが多いようです。
司書の資格を目指す学生の多くは、文学部や法学部などの学部に所属して各学部の専門分野を学びながら、同時に司書資格取得のための科目を履修しています。
「司書になるためだけの大学」という限定的な学校はないので、司書養成課程のある大学や短期大学(部)で所定の科目を履修して単位を取得します。
一方で学芸員の資格を目指す学生の場合は、大学で博物館に関する科目を履修して単位を取得することになります。
ちなみに博物館に関する科目というのは、生涯学習概論2単位、博物館概論2単位、博物館経営論2単位、博物館資料論2単位、博物館資料保存論2単位、博物館展示論2単位、博物館教育論2単位、博物館情報・メディア論2単位、博物館実習3単位です。
司書と学芸員の給料・待遇の違い
司書と学芸員では、給料や待遇に違いがあるのでしょうか。
これに関しては勤務先や雇用形態によるので、一概にはいえません。
たとえば、司書の場合は地方公務員として公立の図書館で働くことができれば給料や待遇は安定します。
また、学芸員の場合は、有名な博物館や人気のある美術館などで正規雇用として働くことができれば給料や待遇は安定します。
しかしながら、両者ともに採用数は非常に少なく、狭き門であることで知られています。
実際には司書も学芸員も非正規雇用で働いている人が多いので、給料が時給制であったり、雇用契約が期限付きであったりすることは珍しくありません。
どちらの道を選んでも、安定した雇用と生活を手に入れるためには厳しい競争を勝ち抜かなければいけないのが現実です。
司書と学芸員はどっちがおすすめ?
司書と学芸員、どちらになるか決め切れないのであれば、一番にどのような仕事をしたいのかをじっくり考えていくとよいでしょう。
両者は、図書館と博物館・美術館といったように働く場所や環境も違いますし、求められる知識や専門性も異なります。
司書であれば学校の教員として働く道が開けることがありますし、学芸員の場合は専門分野の研究を深めていくような道も考えられます。
また、需要や求人の状況を踏まえて考えていくのもよいでしょう。
特に図書館司書は、最近では外部委託が進んでいることもあり、正規雇用はさほど多くありません。
派遣や契約社員、アルバイトといった非正規雇用の求人が目立つため、正規雇用で採用されるチャンスは限られていると考えておいたほうがよいでしょう。