社会保険労務士の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
専門性を生かして安定した収入を得やすい職業ではありますが、働き方はさまざまであり、勤務先によっても給与水準は大きく変わることがあります。
この記事では、社会保険労務士の年収・給料事情について詳しく説明します。
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社会保険労務士の平均年収・給料の統計データ
社会保険労務士はその高い専門性を生かし、就職先は社会保険労務士事務所だけでなく、法律事務所、一般企業の総務部や人事部、コンサルティング会社など、活躍の場はさまざまです。
ここでは、社会保険労務士の平均年収・月収・ボーナスの実情を紹介します。
社会保険労務士の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると社会保険労務士(その他の経営・金融・保険専門職業従事者)の平均年収は40.7歳で948万円となっています。
出所:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
求人サービス各社の統計データ
職業・出典 | 平均年収 | 年収詳細 |
社会保険労務士 (求人BOX) |
450万円 | 月給 37万円 |
初任給 21万円程度 | ||
派遣社員 時給1,483円 | ||
アルバイト 時給1,094円 | ||
社会保険労務士 (転職ステーション) |
530万円 | - |
社会保険労務士 (給料バンク) |
490万円~645万円 | 平均給料:40万円 |
20代の給料:25万円 | ||
30代の給料:35万円 | ||
40代の給料:45万円 | ||
初任給:15万円 |
各社の統計データをまとめると、社会保険労務士の年収は、厚生労働省の調査結果よりも低く400~650万円ほどとなるようです。
全体の給与幅は比較的広い傾向があり、勤務先や経験・求められるスキルによって実際にもらえる金額には大きな差が出るといえるでしょう。
社会保険労務士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは
賃金構造基本統計調査から、社会保険労務士の平均的なボーナスは月収の約2.5か月分と推定できます。
平均年収を仮に480万円とした場合、月収は約33万円、ボーナスは約83万円です。
そこから所得税や住民税、社会保険料などを差し引くと、月々の手取りは、独身の場合で26万円~28万円、ボーナスの手取りは60万円〜70万円程度という計算になります。
特段高い年収というわけではありませんが、仕事の専門性もあり、安定した働き方をしやすい職業といえるでしょう。
社会保険労務士の初任給はどれくらい?
各社の統計データにおいても、社会保険労務士の初任給は15万円〜22万円程度とかなり幅があります。
これは、社会保険労務士の就職先が社会保険労務士事務所や法律事務所、一般企業など多岐にわたるためです。
就職先の違いに加えて、資格手当が出るかどうかも初任給の金額を大きく左右するポイントです。
社会保険労務士の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
社会保険労務士の年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。
10人〜99人規模の事業所に勤める社会保険労務士の年収は723万円、100〜999人規模は1,254万円、1,000人以上規模は895万円、10人以上規模平均は948万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」で証券アナリスト、アクチュアリー、経営コンサルタントなど他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
社会保険労務士の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
社会保険労務士の年収を年齢別に見ると、ばらつきがありますが、総じて年収は高めです。最も年収が高い世代は、45~49歳の1,580万円です。
全年代の平均年収は948万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「その他の経営・金融・保険専門職業従事者」で証券アナリスト、アクチュアリー、経営コンサルタントなど他職業を含むデータです。
20代で正社員への就職・転職
社会保険労務士の福利厚生の特徴
社会保険労務士の福利厚生については、勤務先となる企業や事務所次第で大きく変わります。
たとえば、大手企業の総務部や人事部、もしくは大手コンサルティング会社などで勤務する場合には、各種休暇制度や研修制度などについては充実している可能性が高いでしょう。
一方、社会保険労務士事務所や法律事務所の場合は数人〜数十人程度の事務所が多いため、福利厚生面は大手企業ほど整っていないケースもあります。
このように、社会保険労務士は就業先によって働きやすさが大きく変わるため、求人内容を含めて事前にしっかりチェックしておきましょう。
社会保険労務士の給料・年収の特徴
ここからは、社会保険労務士の給料・年収の特徴を詳しく説明します。
特徴1.安定した収入を得やすい
社会保険労務士は、数ある国家資格のなかでも「難関」といわれる資格のひとつであり、その専門性の高さから安定した収入が得やすい職業となっています。
ただし、人によっては社会保険労務士以外の資格も含めてダブルライセンス、トリプルライセンスで活躍している人もいますし、勤務先は一般企業から法律事務所などさまざまなです。
実際の年収は、人によって大きく異なると考えておいたほうがよいでしょう。
特徴2.全体の求人数は多くない
社会保険労務士は高い専門性を持った魅力的な職業である一方で、代表的な就職先である社会保険労務士事務所は規模の小さい事務所が多く、資格があるからといって簡単に就職できるわけではありません。
また、資格を生かして民間企業への就職を目指す場合であっても、総務部や人事部などで何らかの業務に携わってきた職歴がある人のほうが有利になりやすいです。
社会保険労務士は難関資格のひとつではありますが、「資格さえ取れば安心」というわけではなく、あまり待遇のよい勤務先を見つけられずに苦労する人もいるため、注意しておきましょう。
特徴3.勤務先によっては資格手当が付くことも
社会保険労務士のなかには、大手企業の総務部や人事部で働きながら社会保険労務士の資格を取得し、資格保持者として「資格手当」をもらっている人もいます。
毎月の基本給にプラスして資格手当がもらえる職場で働けば、年収を増やしやすいです。
また、資格を取得していることが早期の昇進につながることもあり、こういった働き方も、社会保険労務士の資格を活用するための有効な選択肢といえるでしょう。
20代で正社員への就職・転職
社会保険労務士の正社員以外の給料・年収
社会保険労務士は、正社員以外にも、多様な形態で活躍できる職業です。
ここでは、「派遣社員」「アルバイト」「独立・開業」について取り上げて、それぞれの特徴を紹介します。
派遣社員
一般企業の総務や経理スタッフとして、派遣社員の立場で働く社会保険労務士もいます。
冒頭で紹介した求人サービス会社のデータでは平均時給1,483円となっていますが、東京で働く場合はもう少し高い時給で雇用されるでしょう。
正社員に比べて待遇面は劣るものの、自分が希望する働き方を優先できるメリットがあります。
アルバイト
各都道府県にある「社会保険労務士会」で、労働問題や年金などに関する無料相談会のイベントが定期的に開催されており、そこで社会保険労務士のアルバイト募集が出されることがあります。
社会保険労務士のアルバイトは、日給1万円~2万円が相場となっているようです。
業務内容に社会保険労務士の資格がないとできない業務が含まれることから、一般的なアルバイトに比べて報酬は高めとなっています。
独立・開業
社会保険労務士の資格を生かし、独立・開業する人もいます。
独立開業して自分の社会保険労務士事務所を開いている人のなかには、年収1,000万円以上を稼いでいる人も珍しくありません。
コンサルティング業界に進出してよい顧客を獲得したり、テレビ出演や書籍の出版などで名の売れた社会保険労務士になったりすることで、より高い報酬を手にする人もいます。
一方で、顧客が獲得できない事務所であれば、年収200万円を下回ることもあります。
とくに開業したばかりの事務所は信頼を得ることが難しく、開業後2~3年の収入は低くなる可能性があります。
社会保険労務士が収入を上げるためには?
事務所や企業で働く社会保険労務士がさらに収入を上げるための代表的な方法は、独立し、社会保険労務士事務所を開業することといえます。
独立すれば、顧客からもらう報酬額や1日あたりの対応相談数などを自由に決定できるようになるため、安定して仕事を獲得することができれば収入を大きく伸ばすことが可能です。
また、「行政書士」や「中小企業診断士」などの資格も取得することで、さらに幅広い顧客層にアプローチしている社会保険労務士もいます。
ただし、独立は年収アップを見込める一方でリスクも伴うもので、常に自分を高めていく努力が求められます。
「社会保険労務士の年収・給料」まとめ
社会保険労務士の平均年収は、各種調査データから400~650万円程度と考えられますが、多様な勤務先や働き方があるため、人によって差が出やすいと考えておいたほうがよいでしょう。
独立し、自分で事務所を立ち上げた社会保険労務士は、事業が軌道にのれば収入を大きくアップさせることも可能です。
最近はこの資格保有者も増えていることもあり、資格を取っただけで必ずしも高収入が得られるわけではないという点は注意が必要です。