社会保険労務士と行政書士の違い

社会保険労務士と行政書士の仕事内容の違い

社会保険労務士と行政書士は、「なんとなく似ている職業」とイメージされることも多いようです。

どちらも国家資格をもって働く「士業」ですが、具体的な仕事内容や役割には違いがあります。

まず社会保険労務士ですが、こちらは「保険や年金、労務管理のプロフェッショナル」として、それに関する書類作成や提出代行、コンサルティング業務などにたずさわります。

雇用保険や健康保険をはじめ、労働者の権利を保障するあらゆる制度についての知識を有し、それに関するアドバイスや必要な手続きをサポートします。

一方、行政書士はしばしば「書類作成のプロフェッショナル」ともいわれるように、おもに行政機関に対して手続きをする際に必要な書類を作成する仕事です。

具体的には、飲食店営業許可、建設業営業許可、定款作成、、遺言書作成、など、幅広い種類の書類を作成していきます。

参考:日本行政書士会連合会 行政書士とは?

加えて、都道府県・市町村に提出する各種許認可申請の代理もおこないます。

両者ともクライアントとなる企業や個人から依頼を受けて、書類作成や提出手続きをおこなう点では共通していますが、社会保険労務士の場合は「保険・年金・労務管理」、行政書士は「各種許可申請」と専門分野が異なっています。

行政書士の仕事

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

社会保険労務士と行政書士になる方法・資格の違い

社会保険労務士と行政書士になる方法についてですが、どちらも国家試験の合格が必須となります。

そして、どちらも国家試験に合格しただけでは「社会保険労務士」「行政書士」と名乗ることはできません。

社会保険労務士の場合は国家試験に合格後、実務経験2年以上もしくは指定の講習を修了したのちに「全国社会保険労務士会連合会」に登録する必要があります。

参考:全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について

行政書士の場合も国家試験に合格後、「日本行政書士会連合会」の名簿に登録する必要がありますが、こちらは社会保険労務士とは違って実務経験などは求められていません。

なお、登録する際には各連合会の定める登録手数料や年会費などを納める必要があります。

社会保険労務士と行政書士の資格・必要なスキルの違い

社会保険労務士試験と行政書士試験の、過去5年間の合格率は以下の結果となっています。

・社会保険労務士試験の合格率
2015年度 2.6%
2016年度 4.4%
2017年度 6.8%
2018年度 6.3%
2019年度 6.6%

・行政書士試験の合格率
2015年度 13.1%
2016年度 10.0%
2017年度 15.7%
2018年度 12.7%
2019年度 11.5%

参考:一般財団法人行政書士試験研究センター 試験結果の推移

このように、それぞれの合格率をみる限りは「社会保険労務士試験のほうが難易度は高い」といえます。

なお、社会保険労務士試験と行政書士試験はどちらも法律系の国家資格ではありますが、「試験の出題科目はかぶらない」という点にも注意が必要です。

参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

参考:一般財団法人行政書士試験研究センター 試験の概要

ダブルライセンスを目指す場合であっても、同時並行でそれぞれの試験対策を進めていくのではなく、「1つずつ確実に」試験合格を目指していくほうが合格の可能性は高まるでしょう。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

社会保険労務士と行政書士の学校・学費の違い

社会保険労務士と行政書士では、必要とされる学歴に違いがあります。

まず、社会保険労務士試験の受験資格を得るためには、基本的には「大学」「短期大学」「高等専門学校」のいずれかを卒業している必要があります。

一方、行政書士試験には学歴、年齢、国籍などの受験資格は設けられておらず、誰でも受験ができる試験となっています。

そのため、法律について学んだことがない高卒者や中卒者であっても、しっかりと試験対策さえできれば行政書士試験に合格することは十分に可能です。

大学や短期大学を卒業する必要がない分、「学費」の面でみても行政書士のほうが安く済むといえます。

社会保険労務士と行政書士の給料・待遇の違い

社会保険労務士と行政書士の給料や待遇については、「どういった働き方を選ぶか」によって大きく異なる部分です。

社会保険労務士の活躍の場としては、「社会保険労務士事務所」「一般企業」「独立開業」などが挙げられます。

行政書士の場合も社会保険労務士と同様に、「行政書士事務所」「一般企業」「独立開業」などが働き方の選択肢として考えられるでしょう。

両者とも就職先次第で給料や待遇は違ってくるといえます。

ただ、社会保険労務士はクライアントと月々一定額を「顧問料」としてもらえる顧問契約を結ぶことが多く、この点で各案件ごとに報酬をもらう行政書士よりも経営が安定しやすいと言えるでしょう。

社会保険労務士と行政書士はどっちがおすすめ?

先ほどのご説明のとおり、社会保険労務士は一般企業の総務部や人事部、社会保険労務士事務所などへ就職して働く人もいれば、自ら独立開業して仕事をしている人もいます。

一方、行政書士の場合も同じような働き方を選ぶことができますが、一般企業に就職する場合は「行政書士」という立場ではないことに注意が必要です。

なぜなら、行政書士には社会保険労務士のように「勤務型、開業型」の区分が存在しないため、行政書士として登録する場合は必然的に独立開業することが求められるからです。

一般企業に就職する場合はあくまで「行政書士の知識を生かして働く」という意味であり、行政書士として活躍したい場合は独立開業や行政書士事務所に勤務する必要があります。

このように行政書士は独立開業が前提の資格であるため、「一般企業の社員として働きたい」と考える人は社会保険労務士のほうが適しているかもしれません。

なお、社会保険労務士も行政書士も国家資格であり、それなりの勉強時間を確保できなければ試験合格は難しいでしょう。

予備校やスクールに通って勉強する人も多く、時間とお金をかけて学ぶ必要があるといえます。

社会保険労務士と行政書士の資格を持った「ダブルライセンス」として活躍する人も少なくないため、将来的には両方の資格取得を視野にいれても良いでしょう。

社労士試験対策 通信講座(PR) 無料資料請求

社労士試験に合格するには、費用を抑えて、効率良く自宅で学習を進めることができる通信講座がおすすめです。
以下2つの講座の資料請求をして、じっくり比較検討してみましょう!