社会保険労務士と中小企業診断士の違い

社会保険労務士と中小企業診断士の仕事内容の違い

社会保険労務士と中小企業診断士は業務内容が大きく異なる資格ですが、ときに両者の比較ポイントや、どちらを取得すればいいのかといった点が話題になることがあります。

まず社会保険労務士ですが、「社会保険労務士」という名称のとおり、社会保険や労務の分野の専門家としての役割を持ち、それに関する書類作成や代行業務をおこなう仕事です。

一方、中小企業診断士は、中小企業の経営課題に対応するための診断・助言をおこなうプロフェッショナルのことをいいます。

中小企業が成長戦略を考えるうえで、それを実行する際の具体的な計画を立て、専門家として適切なアドバイスをおこなうことが中小企業診断士の仕事です。

社会保険労務士は会社運営上の「労務・社会保険・年金」に関する法律や制度を専門としていますが、中小企業診断士は「中小企業経営」に関する全般的な知識で企業をサポートする役割が求められています。

中小企業診断士の仕事

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社会保険労務士と中小企業診断士のなる方法・資格の違い

社会保険労務士と中小企業診断士のなる方法についてですが、どちらも国家試験の合格が必須です。

まず、社会保険労務士になるには試験に合格後、実務経験2年以上もしくは指定の講習を修了したのちに「全国社会保険労務士会連合会」に登録する必要があります。

参考:全国社会保険労務士会連合会 社労士の登録申請について

一方、中小企業診断士は試験が第1次試験・第2次試験に分かれており、第1次試験は筆記試験(多肢選択式)、第2次試験は筆記試験と口述試験がおこなわれます。

試験合格後には15日間の「中小企業診断士実務補習」が実施され、それも修了すれば晴れて中小企業診断士として登録することができます。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会 中小企業診断士試験から登録まで

どちらの資格においても、「試験に合格しただけ」では活動できない点に注意が必要です。

社会保険労務士と中小企業診断士の資格・必要なスキルの違い

社会保険労務士と中小企業診断士は「試験の難易度」にも違いがあります。

まずは、社会保険労務士試験の過去5年間の合格率は以下の結果となっています。

・社会保険労務士試験の合格率
2015年度 2.6%
2016年度 4.4%
2017年度 6.8%
2018年度 6.3%
2019年度 6.6%

続いて、中小企業診断士試験の過去5年間の合格率は以下のとおりです。

・中小企業診断士試験(1次試験)の合格率
2015年度 26.0%
2016年度 17.7%
2017年度 21.7%
2018年度 23.5%
2019年度 30.2%

・中小企業診断士試験(2次試験)の合格率
2015年度 19.1%
2016年度 19.2%
2017年度 19.4%
2018年度 18.8%
2019年度 18.3%

参考:一般社団法人 中小企業診断協会

一見すると中小企業診断士試験のほうが合格率は高いように感じるかもしれませんが、1次試験と2次試験の両方を突破しなければならない点に注意です。

つまり、2019年度の1次試験と2次試験を掛け合わせた合格率は「1次試験合格率30.2% × 2次試験合格率18.3% = 5.5%」となり、こちらの数字が最終的な合格率の目安です。

過去の年度においても全体の合格率はおおよそ「4%〜5%」程度であり、試験の難易度は「中小企業診断士のほうが高い」と考えてよいでしょう。

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社会保険労務士と中小企業診断士の学校・学費の違い

社会保険労務士と中小企業診断士では、必要とされる学歴にも違いがあります。

まず、社会保険労務士試験は「大学」「短期大学」「高等専門学校」のいずれかを卒業していることが、受験資格を得るための条件となっています。

参考:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

一方、中小企業診断士試験は学歴や年齢に関する制限はないため、基本的には誰でも受験が可能です。

参考:一般社団法人 中小企業診断協会 中小企業診断士試験

そのため、たとえ最終学歴が高卒や中卒の場合でも試験を受験することは可能ですが、中小企業診断士試験は「合格率4%〜5%」とかなりの難関試験です。

独学で合格するのは簡単なことではないため、実際には資格学校などで試験対策をしてから受験をする人が多いようです。

社会保険労務士と中小企業診断士の給料・待遇の違い

社会保険労務士と中小企業診断士の給料や待遇については、「企業や事務所に就職」を選ぶ場合と「独立開業」を選ぶ場合で大きく変わる部分でしょう。

企業や事務所に就職する場合であれば、当然ながら給料や待遇はその就職先次第で大きく異なります。

どちらも簡単に取得できるような資格ではないため、通常の給料に加えて資格手当がつく場合が多いようです。

独立開業を選ぶ場合は、本人の努力次第で収入を大幅に上げることも可能ですが、継続的に顧客を獲得できなければ「会社に属していたほうが年収は良かった」という状況も十分に考えられます。

収入面については、社会保険労務士・中小企業診断士の資格そのものの問題ではなく、本人の「営業力」や「コミュニケーションスキル」などが大きく影響するといえるでしょう。

社会保険労務士と中小企業診断士はどっちがおすすめ?

働き方にも違いがある

社会保険労務士も中小企業診断士も、いわゆる「士業」といわれる部類の専門職です。

どちらの国家資格も独立開業を目指すことができますし、一般企業でそれぞれの知識やスキルを生かすことも可能です。

たとえば、「保険や年金、労務管理のプロフェッショナル」である社会保険労務士の場合は、総務部や人事部で活躍する人が多くいます。

これらの部門では労務や人事についての業務に日常的に携わることから、社会保険労務士の資格を取得することで、より仕事の幅が広がったり難しい内容にも対応できるようになります。

一方、中小企業診断士であれば、経営に関わる分野について幅広く知識を備えられることから、経営企画部などで働く人が取得を目指すケースがあるようです。

ダブルライセンスで仕事の幅を広げる人も

社会保険労務士や中小企業診断士などの国家資格は、複数を取得すること、いわゆる「ダブルライセンス」で活躍する人もいます。

たとえば、社会保険労務士が企業の労務に関するコンサルティングをおこなう際に、中小企業診断士の知識も併せ持っていることで「経営全般」を見渡すことができ、より多角的なアドバイスができる可能性が高まります。

両者は別の資格ではありますが実務上関わってくる部分も多いため、ダブルライセンスを目指すことは決して無駄にならないでしょう。

ただし、どちらも簡単に取得できるような資格ではなく、試験を合格するためにはそれなりの勉強時間の確保や、資格学校に通う場合はその費用も準備しなければいけません。

軽い気持ちで勉強を始めてしまうと挫折する可能性が高いため、ダブルライセンスを目指す際にはしっかりと計画を立てていくことが必要だといえるでしょう。

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