精神保健福祉士の年収はいくら? 給料についてくわしく解説

精神保健福祉士の平均年収・給料の統計データ

精神保健福祉士は、心に病を抱えた人のために働くという、非常に公共性の高い職業であることもあって、その給料については、国家公務員に準じた金額に設定されている職場が多くなっています。

月々の給与はそれほど高額ではありませんが、その代わりにボーナスの支給額が大きかったり、福利厚生面が充実しているケースが目立ちます。

このため、統計上の平均年収としては、一般的サラリーマンをやや下回る水準であるものの、精神保健福祉士の実際の生活は、額面以上に安定しやすいといえるでしょう。

精神保健福祉士の平均年収・月収・ボーナス

求人サービス各社の統計データ

職業・出典 平均年収 年収詳細
精神保健福祉士
(転職ステーション)
377万円 -
精神保健福祉士
(Indeed)
291万円 月給22.1万円
時給1,290円
精神保健福祉士
(キャリアピックス)
400万円 月収26万円
ボーナス80万円
精神保健福祉士
(求人ボックス)
330万円 月給27万円
時給1,064円

各社の統計をみると、精神保健福祉士の給料は、300万円~400万円前後が実態であると推察されます。

しかし、数字が低いのは、精神保健福祉士という職業自体が比較的新しいこともあって、年収データが30代以下の若い世代にかなり偏っているという事情も少なからず影響しています。

精神保健福祉士の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

上記のデータから、一般的な精神保健福祉士の年収350万円、ボーナスを月給の3ヵ月分と想定すると、平均月収は約23万円、ボーナスは約70万円という計算になります。

そこから、所得税などの税金や、社会保険料などを差し引いた手取りの金額は、独身者の場合で月額約17万円~19万円、ボーナスが約58万円です。

独身者でも、月々の収支にはあまり余裕があるとはいえませんが、結婚して家族がいると、なおさら厳しくなると想定されます。

子どもの学費や自身の老後など、将来的なことを考えると、配偶者と共働きすることが必要になる可能性はかなり高いでしょう。

精神保健福祉士の初任給はどれくらい?

精神保健福祉士の初任給は、就職先によって多少の差がありますが、大卒者の場合で約17万円~20万円が相場です。

一般的な民間企業の大卒初任給が20万円前後であることを考えると、国家資格を取った意味があまりないように感じられるかもしれません。

しかし、スタートラインの給料が低くても、その後は勤続年数に従って着実に昇給していきますので、国家資格のメリットは、キャリアを積むにつれて感じられるようになるはずです。

ただ、その昇給スピードはかなり緩やかですので、精神保健福祉士の職場選びについては、初任給はかなり重要なポイントといえるかもしれません。

精神保健福祉士の福利厚生の特徴は?

精神保健福祉士は、月々の給料が低い代わりに、福利厚生面はかなり整っているケースが多いといえます。

通勤手当や住宅手当をはじめ、家族がいる場合は扶養者手当なども支給されますし、有給休暇や出産休暇、育児休暇などの制度利用も、積極的に推奨されている職場が目立ちます。

ただし、精神保健福祉士の職場は、医療や福祉、行政など、複数の分野にまたがっていることもあって、福利厚生の充実度合いは施設ごとのばらつきが大きいのが実状です。

就職先を選ぶ際には、給料やボーナスだけでなく、各種手当などもきちんと確認し、比較検討してみることが大切です。

精神保健福祉士の給料・年収の特徴

管理職になってもあまり給料があがらない

民間企業に勤める一般的な会社員の場合、年齢を重ねることで毎年少しずつ昇給するとともに、課長や部長といった役職が就いた時点で、大きく給料がアップします。

しかし、精神保健福祉士の場合は例外的で、管理職に昇進しても、そこまで高給とはなりません。

精神保健福祉士の給料を年齢別にみても、多くが役職者となる50代にピークが訪れているものの、それでも年収500万円に届かない水準です。

福祉職は、給料の源泉となる国からの補助金などの財源が限られていることもあって、そもそも給与体系が低い水準に固定されていることが、その要因として挙げられます。

少子高齢化などにより、日本の財政事情がひっ迫していることのしわ寄せが福祉職に来ているとみることもできますので、精神保健福祉士の給料が低いのは、社会全体の構造的な問題なのかもしれません。

熱心な人ほどサービス残業が増えがち

精神保健福祉士は、精神障がいなどで日常生活や就労などに困難が生じている人を支援することがおもな役割です。

ただ、そうした仕事は、一般的な事務作業などとは違って明確な「終わり」がなく、それぞれの相談者のためにできることは、極端にいえばほとんど無限にあります。

このため、精神保健福祉士の仕事に熱心であればあるほど、各種施設との連携や情報共有、相談者との面談や家庭訪問など、仕事に多くの時間を費やすことになります。

しかし、精神保健福祉士の仕事は営利目的ではなく、施設側からすれば収入が増えるわけでもありませんので、そうした業務すべてに残業代が支払われるわけではありません。

結果的に、精神保健福祉士はサービス残業が増えやすい傾向にあり、労働時間に対する給料がますます見合わなくなるという可能性もあります。

非正規雇用の時給はかなり低い

精神保健福祉士の求人には、パートやアルバイトなどの非正規雇用の募集も数多くあります。

その場合の時給は800円~1000円前後が相場となっており、ほかの一般的な非常勤の仕事と同じ程度の単価です。

このため、非常勤の精神保健福祉士は、国家資格保持者であるにもかかわらず年収200万円以下という職員も見受けられます。

非常勤の給料で十分に生活していくことは困難といえますので、精神保健福祉士の職場は、近年政府が推奨しているダブルワークや副業を容認するケースが多いようです。

施設別に見る給料・年収

医療施設で働く精神保健福祉士の給料

精神病院や、精神科・心療内科クリニックで働く精神保健福祉士の給料は、年収380万円~440万円が相場とされています。

ただし、給料は施設の規模と比例する傾向にあり、数百の病床数をもつ大病院ほど高給となる一方、小規模な診療所では給料はボリュームゾーンの下限に近くなります。

行政施設で働く精神保健福祉士の給料

地域の精神保健福祉センターや保健所など、行政機関で働く精神保健福祉士は、地方公務員の給料規定が適用されます。

自治体によって多少の差があるものの、年収420万円~430万円が相場とされており、商業全体の平均とほぼ同じ水準です。

ただし、公務員は俸給表に則って、勤続年数に応じて少しずつ昇給していきますので、ある程度のキャリアを重ねた後には、年収は平均以上に達します。

福祉施設で働く精神保健福祉士の給料

障がい福祉サービス事業所などの福祉施設で働く精神保健福祉士の給料は、年収390万円前後が相場です。

ほかの施設をやや下回る水準ですが、福祉施設は、困っている人を助けるという福祉職の本分を全うできる職場であり、やりがいという面においては、給料以上のメリットがあるかもしれません。

精神保健福祉士が収入を上げるためには?

精神保健福祉士は、手掛けられる業務領域が精神障がいの分野に限定されていることもあって、キャリアを重ねたり、別の職場に転職しても、劇的に待遇が改善されるケースはまれです。

たとえ役職者に昇進できたとしても、年収500万円に届かないという可能性も十分にあります。

精神保健福祉士のまま、収入を上げることはやや難しいので、より高給を得る方法としては、同じ福祉系国家資格である社会福祉士にステップアップするという道が考えられます。

社会福祉士は、精神保健福祉士よりもより広範な知識が求められる職業であり、資格の取得難易度は高めですが、支援対象が拡がることで、就職先の選択肢が増え、給料アップが期待できます。

なお、精神保健福祉士の資格があれば、社会福祉士国家試験の一部が免除されますので、精神保健福祉士は、ほかの職業からの転職者よりもかなり有利です。