精神保健福祉士になるには? 必要な資格は?

精神保健福祉士になるまでの道のり

精神保健福祉士になるには、試験を受けて国家資格を取得することが必要ですが、試験には受験資格があります。

受験資格を得る方法は複数ありますが、おもなものは以下の通りです。

・福祉系4年制大学を卒業する
・福祉系3年制短期大学を卒業後、1年以上の実務経験を積む
・一般の4年制大学を卒業後、養成施設で1年以上学ぶ
・一般の3年制短期大学を卒業後、1年以上の実務経験を積み、その後養成施設で1年以上学ぶ

福祉系の大学や短大に進学する場合、受験資格を得るまでの期間は4年間で済みますが、それ以外のルートだと、学習期間や実務期間を通算すると5年以上かかります。

受験資格を得る条件はかなり複雑ですので、各ルートの詳細については、下記のリンクを参照してください。

財団法人社会福祉振興・試験センター 精神保健福祉士 資格取得ルート図

いずれかの方法で受験資格を得て、国家試験に合格すると、精神保健福祉士として仕事ができるようになります。

なお、精神保健福祉士資格は、同じ福祉系国家資格である社会福祉士介護福祉士と同じく「名称独占資格」と呼ばれるものであり、精神保健福祉士を名乗れるのは資格を取得した人のみです。

精神保健福祉士になるまでのルート

精神保健福祉士の資格・難易度

精神保健福祉士国家試験の合格率は、近年60%前後という比較的高い水準で推移しています。

しかし、この試験は誰でも受けられるわけではないことを考えると、大学や養成施設でしっかりと学んできた人であっても、4割は不合格になってしまう難易度ということです。

4年制福祉大学のなかには、卒業生の国家試験合格率が100%近いところもあるため過度に恐れる必要はありませんが、合格するためには入念な対策が必要になることは間違いないでしょう。

なお、社会福祉士の国家資格をもっていると、養成施設で6ヵ月間学ぶだけで受験資格が得られるうえ、試験で課される全16科目のうち、共通する11科目が免除されることから資格取得難易度はぐっと下がります。

精神保健福祉士国家試験の難易度・合格率

精神保健福祉士になるための学歴

精神保健福祉士になるための学校として最も一般的なのは、4年制の福祉大学です。

受験資格を得るための数ある方法のなかで、4年制福祉大学に進学するルートだけは、実務経験を積む必要も、養成施設に通う必要もありません。

これから進路決定を控える高校生が精神保健福祉士を目指すなら、4年制福祉大学に進むことが最短ルートです。

しかし、福祉系以外の大学に通っている、あるいは卒業した場合であっても、養成施設に通うことで受験資格を得ることが可能であり、そうしたルートから精神保健福祉士になっている人も大勢います。

国家試験の統計をみても、養成施設卒業者が受験者全体の約6割を占めており、4年制福祉系大学卒業者の割合を上回っています。

ただ、養成施設に入学するためには、大卒者以外については学歴に応じた年数の実務経験を積まなければなりません。

したがって、精神保健福祉士を目指すなら、福祉系でなくとも、「大卒」という学歴があったほうが有利なのは間違いないでしょう。

精神保健福祉士になるための学校と学費(大学・専門学校)

精神保健福祉士になるための学校の種類

精神保健福祉士になるには、国家試験を受けて資格を取得することが必要ですが、試験を受けるためには、まず学校に通うなどして受験資格を得なければなりません。

精神保健福祉士試験の受験資格を得る方法は全部で11パターンもあり、福祉系の大学や短大、専門学校など、どの学校を卒業したかによって細かく条件が異なります。

さらに、福祉系以外の大学や短大などから養成施設を経由するルートもあり、受験資格を満たす条件は非常に複雑です。

多様な選択肢を前にして、どの学校にするか進路を決めかねる人もいるかもしれません。

以下では、精神保健福祉士を目指すにあたって最もオーソドックスといえる大学と、専門学校の2種類の学校について、それぞれを比較しながら紹介します。

なお、受験資格を得るルートのなかには、1パターンだけ、まったく学歴が必要ないルートも存在しています。

しかし、そのルートは、代わりに厚生労働省の指定する施設に就職して「相談援助実務」を4年以上経験した後、養成施設で1年以上学ぶことが条件となっており、ハードルはかなり高めです。

経済的な事情などもあって、進学することに迷う人もいるかもしれませんが、有利な条件で就職するためにも、いずれかの学校に進学することが望ましいのは間違いないでしょう。

精神保健福祉士になるための大学

精神保健福祉士を目指せる大学としては、福祉系4年制大学の社会福祉学部や医療福祉学部などが代表的です。

それらの学校では、社会福祉士や介護福祉士といったほかの福祉職と共通した「基礎科目」と、精神保健福祉士専門の「指定科目」の2種類を学べます。

指定科目の単位を取得すれば、卒業と同時に受験資格が得られる一方、基礎科目だけでは、卒業後に「短期養成施設」に通わないと受験資格が得られませんので、履修漏れのないよう注意しましょう。

また、大学のなかには、昼間コースだけでなく夜間コースを併設しているところもあり、日中にアルバイトをしながら通学することも可能です。

なお、3年制の短期大学については、たとえ福祉系学部に通って指定科目を履修しても、すぐには受験資格が得られず、1年以上の実務経験を積まなければなりません。

学費については、昼間コースで4年総額300万円~500万円ほど、夜間コースで200万円ほどが相場であるようです。

精神保健福祉士になるための専門学校

精神保健福祉士を目指せる専門学校は、2年制・3年制・4年制の社会福祉学科、医療福祉心理学科、介護福祉学科などがあります。

大学と同様、4年制以外の専門学校については、2年制であれば2年間、3年制であれば1年間、卒業後に実務経験を積まなければ受験資格が得られません。

1年制の専門学校もありますが、それらは「一般養成施設」と呼ばれ、上述した通り、福祉系以外の大学出身者や短大出身者、あるいは実務経験者を対象とした学校です。

通常の専門学校とは異なり、入学するためには大卒や短大卒の学歴が求められますので、2年制以上の専門学校とは分けて考えるべきです。

学費についてみると、教材費や施設設備費などを含めて年間100万円~150万円ほどがかかるケースが一般的ですが、精神保健福祉士の養成学科は、多くが国の支援制度の対象となっています。

奨学金や教育訓練給付金などの各制度を利用すれば、経済的負担を抑えることも可能ですので、一度各学校を調べてみるとよいでしょう。

精神保健福祉士になるためのスクール・通信講座

精神保健福祉士になるための大学や専門学校、一般養成施設のなかには、通信教育課程がある学校も少なくありません。

送られてくるテキストを用いて各自で勉強したり、インターネットでのオンデマンド授業を受講したりしつつ、レポート提出などの課題をこなすと、単位が認定されます。

基本的には自宅学習となりますが、実際に学校に通う「スクーリング」が実施されるケースもあるため、できれば通学に利便性のよい学校を選択することが望ましいでしょう。

通信課程の最大のメリットは学費が安くすむ点で、費用は年間20万円前後が相場となっています。

精神保健福祉士試験の難易度を勘案しても、独学で合格することは十分に可能ですから、通信課程は非常に有効な選択肢のひとつといえます。

精神保健福祉士の「短期養成施設」「一般養成施設」とは?

精神保健福祉士の養成施設とは

精神保健福祉士として働くには、国家試験を受けて資格を取得することが必要です。

しかし、この試験は誰でも受けられるわけではなく、まず受験資格を満たさなくてはなりません。

受験資格を得るためのルートは、学歴に関するものや職歴に関するものなど複数ありますが、その多くは「養成施設」と呼ばれる特別な学校で一定期間以上学習することが条件とされています。

養成施設は大きく「短期養成施設」と「一般養成施設」の2種類があり、それぞれに入学できる条件や、受験資格を得るまでの期間などが異なります。

近年は、国家試験を受験する人のおよそ6割をこの養成施設出身者が占めており、養成施設は、精神保健福祉士を目指す人の多くが通る道となっています。

以下では、それぞれの施設の違いなどについて、比較しながら紹介します。

精神保健福祉士の短期養成施設

短期養成施設に入学するためには、高校卒業後に福祉系の大学や短大などに進学して、厚生労働省の指定する「基礎科目」と呼ばれるカリキュラムを履修することが条件です。

4年制大学の場合、卒業後すぐに短期養成施設に入学できますが、短大など学習期間が4年に満たない場合は、学習期間と通算して4年に達するまで、現場で相談援助実務を経験しなければなりません。

短期養成施設においては、入学時点で、すでに福祉職に必要なある程度の基礎知識は身につけているものとみなされます。

このため、精神保健福祉士に求められる精神医学や精神障がい福祉などについての専門知識を、集中的に学習します。

短期養成施設で6ヵ月以上学び、所定の課程を修了すると、国家試験の受験資格が得られます。

精神保健福祉士の一般養成施設

一般養成施設に入学する条件は、短期養成施設よりも緩めです。

福祉系以外の一般の4年制大学を卒業した人や、現場で相談援助実務を4年以上経験した人など、さまざまな人が入学対象となります。

このため、一般養成施設では、精神保健福祉士として働くうえで必要になる知識をゼロから学べるカリキュラムが組まれています。

「共通科目」と呼ばれる医学や福祉に関する基礎科目から、「専門科目」と呼ばれる精神保健福祉の専門分野まで、多くの授業を受けて幅広い知識を身につけます。

一般養成施設において1年以上学び、所定の課程を修了すると国家試験を受けられるようになります。

ただし、学校によっては、よりしっかりしたスキルを身につけるために、1年6ヵ月~1年11ヵ月ほどの長期プログラムが組まれているケースも珍しくありません。

通信制の養成施設

短期養成施設や一般養成施設のなかには、通学制コースだけでなく、通信制のコースが設けられている学校も数多くあります。

通信制の場合、基本的に自宅で勉強し、Web視聴やレポート提出によって学習を進めるというスタイルとなりますので、日中に仕事がある社会人などであっても、ムリなく資格取得を目指すことが可能です。

ただし、精神保健福祉士の養成施設では、定期的に学校に通う「スクーリング」や、実際の医療施設や福祉施設における実習も実施されます。

通信制とはいえ、すべてのカリキュラムを自宅で行えるわけではないという点には、あらかじめ留意しておく必要があるでしょう。

精神保健福祉士に向いている人

精神保健福祉士は、精神障がいという深刻な問題を抱えた患者やその家族をサポートすることが役割ですので、相手の置かれた難しい立場に共感できる、思いやりがあって優しい人が向いているでしょう。

また、近年では、精神障がいがあっても地域社会で安心して暮らしていくためのネットワークづくりが進められており、精神保健福祉士にも、他施設と積極的に連携していくことが求められています。

人付き合いが得意で、社交的な性格の人のほうが、精神保健福祉士の適性があるといえるでしょう。

精神保健福祉士に向いている人・適性・必要なスキル

精神保健福祉士のキャリアプラン・キャリアパス

精神障がいを抱える人の症状は千差万別であり、国家試験をパスできる豊富な知識を備えていても、実際の現場で働きだすと、知らないこと・わからないことの連続です。

このため、それぞれの施設に就職すると、まずは先輩や上司の精神保健福祉士の指導を受けながら、実務経験を積みます。

とくに若手のうちは、自分よりはるか年上の患者を前にして、「一体自分が何の役に立てるのか」と無力感に打ちひしがれることもあるかもしれませんが、粘り強く、ひたむきに学んでいく姿勢が必要です。

数年のキャリアを重ねて、一通りどんな相談にも対応できるようになった後には、「生活相談室室長」といった役職者を目指すケースが一般的です。

また、社会福祉士や介護福祉士など、ほかの福祉系国会資格を取得してキャリアアップを図る人も少なくありません。

精神保健福祉士を目指せる年齢は?

精神保健福祉士国家試験を受験する人のなかには、年齢の高い人もかなり多く、40代が全体の2割、50代が全体の1割を占めており、なかには60代以上の受験生もいます。

これは、受験資格が複数あり、学歴や実務経験年数次第では福祉系の大学や短大にあらためて入りなおさなくても、養成施設に通うだけで資格が得られるという制度上の理由が大きく影響しています。

ただし、資格があっても年齢を重ねれば重ねるほど就職が厳しくなるのは間違いありません。

福祉分野でのキャリアがなく、実務未経験から精神保健福祉士を目指す場合は、できれば30代のうちに資格を取得しておくことが望ましいでしょう。

精神保健福祉士は高卒から目指せる?

精神保健福祉士国家試験の受験資格を得る条件のなかには、大学や短大に進学することなく、高卒から目指せるルートも存在しています。

ただし、精神病院などの指定施設で4年以上の「相談援助実務」を経験したうえで、養成施設において1年以上学ぶことが必要であり、受験資格を手にするまでに、最短でも5年かかります。

これと比較すると、福祉系の4年制大学に通い直すほうが、4年ですむうえ国家試験対策もできるため、資格を取得するハードルは低いかもしれません。

通信制の大学や夜間課程の大学もあり、働きながら学ぶことも十分に可能ですので、興味があれば一度調べてみるとよいでしょう。

高卒で精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士の求人・採用の状況・就職先選びのポイント

精神保健福祉士の就職先にはどんなところがある?

かつて精神障がい者の「長期入院」や「社会的入院」が問題視されたことを契機として、厚生労働省は「入院医療中心から地域生活中心へ」というスローガンを掲げ、精神障がい者の支援方針を転換しました。

これにともなって、精神病院などの医療施設に勤めることが大半だった精神保健福祉士の就職先は、現在ではさまざまな分野に広く拡大しています。

医療施設以外で代表的なのは、就労継続支援事業所や地域活動支援センターといった福祉施設や、保健所や精神保健福祉士センター、市役所といった行政施設です。

また、グループホームやケアホームなどの高齢者施設や児童養護施設、保護観察所や矯正施設などの司法施設もあります。

さらに、ストレス社会といわれる現代においては、精神障がいをもたない一般の人たちの間にも「心の悩み」が蔓延しています。

現在は、中学校や高校に勤める「スクールソーシャルワーカー」として生徒からのいじめや不登校といった相談に応じる人や、一般企業に所属し、従業員のうつ病などのメンタルヘルスケアを手掛ける人もいます。

精神保健福祉士の就職先の種類と仕事内容の違い

精神保健福祉士の求人の状況

精神病院などの医療施設では、ほぼ精神保健福祉士の人員数が充足しているうえ、離職率が低く、スタッフの入れ替わりもあまり多くないことから求人数は少なめです。

一方、2018年に一般企業における障がい者雇用が義務化された影響もあって、就労支援関係をはじめとする福祉施設からの求人数は増加傾向にあります。

さらに、高齢者人口の増加にともない、グループホームをはじめとする認知症患者を対象とした施設からの需要も大きく伸びています。

施設別ではなく、地域別に精神保健福祉士の求人動向をみると、東京や大阪といった都市圏では豊富な求人がある一方、地方では、年度替わりの時期以外の求人はさほど多くありません。

地元に帰って就職したい人などについては、就職活動のタイミングを図るか、あるいは「介護福祉士」や「ケアマネジャー」といったほかの資格も取得することが必要になるかもしれません。

精神保健福祉士の就職先の選び方

障がい者への支援分野で選ぶ

上述のように、精神保健福祉士の就職先は多岐にわたっており、役所のように包括的に障がい者の生活全般をサポートしている施設もありますが、多くはある程度の役割分担がなされています。

たとえば、障がい者の日常生活訓練や指導を行いたいなら、デイケア施設のある病院や、生活訓練施設、短期入所生活介護施設などが選択肢となるでしょう。

同じように、就職面を支援したいなら、就労継続支援事業所や、福祉工場などの社会復帰施設が、入院生活から地域生活への移行を推進したいなら、民間の地域移行支援サービス事業所があります。

子どもへの支援を手掛けたいなら、求人数はあまり多くありませんが、児童養護施設がおすすめです。

また、行政機関に勤めて市民に対する啓発活動などを手掛け、精神障がい者の地位向上に貢献することで、間接的に精神障がい者を支援する道も考えられるでしょう。

勤務体系で選ぶ

精神保健福祉士の就職先は、たいていが日勤の職場ですが、宿泊形式の訓練を行う施設やグループホームなどでは夜勤を含むシフト制のところもあります。

また、休日についても、市役所のように土日が休みの完全週休2日制のところもあれば、病院のように交代で休みを取得するところもあります。

就職先を選ぶにあたっては、個々の生活事情に合わせて勤務体系を考慮する方法も考えられるでしょう。

ただ、行政施設だから一概にすべて土日が休みというわけではなく、また医療施設だからといって必ず休みが不定期というわけでもないため、各施設の事情については個別に問い合わることが必要です。

安定性で選ぶ

精神保健福祉士は、地方公務員として市役所や保健所に就職することも可能です。

将来にわたって安定的に働きたいなら、民間の病院や福祉サービス事業所などよりも、公的機関のほうが望ましいといえます。

ただし、行政機関に就職するためには、精神保健福祉士国家試験だけでなく、公務員試験にも合格することが必要ですので、かなりの勉強量をこなさなければなりません。

また、公務員の採用枠は限られている一方、人気が高く志望者が多いため、とくに都市部ではかなりの高倍率となることを覚悟しておく必要があるでしょう。

精神保健福祉士の志望動機・面接

精神保健福祉士の役割は、ソーシャルワーカーのなかでも「精神障がい者の支援」に特化しており、その業務目的ははっきりしています。

志望動機の構成としては、最初に精神障がいに興味をもったきっかけから入り、その次に、どのように精神障がい者を支援していきたいかという展望を述べるとよいでしょう。

精神保健福祉士の就職先は幅広くありますので、志望動機を考える際には、まず各施設の事業内容や特徴をよく調べて、それらを踏まえたうえで、個々にあった内容を作成することがポイントです。

採用面接の場においても、調べたことを踏まえて質問に回答すれば、福祉の現場の実情を理解し、熱意をもって精神保健福祉士を志望していることが面接官に伝わるでしょう。

あわせて、できる限り自然体を心掛けて、精神保健福祉士にふさわしい、気さくで話しやすい人柄であることをアピールしましょう。

精神保健福祉士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

就職先はどのように探したらいい?

精神保健福祉士の養成校では、在学生・卒業生のための就職支援を実施しているところがほとんどです。

ある程度の規模の学校では、学校主催の就職フェアや就職セミナーを開催しており、企業や施設の人事担当者から、各施設の特徴や雇用条件などの話を直接聞くことができます。

その後、必要に応じて施設見学を行い、採用面接を受けて内定へと至るケースが一般的です。

また、一般的な職業と同じように、インターネットの求人サイトやハローワークなどから就職先を探すことも可能です。

精神保健福祉士や社会福祉士、介護福祉士だけの求人情報に絞った、介護専門の求人サイトを活用するのもおすすめです。

精神保健福祉士の雇用形態

精神保健福祉士の大半は、病院や施設などの正規職員として、フルタイムで働いています。

ただ、精神保健福祉士の就労状況調査結果によれば、全体の約2割ほどがアルバイトやパート、派遣社員、非常勤職員などの非正規雇用となっています。

実際の求人情報をみても、正規職員と同じように、病院などの医療施設や福祉施設、行政施設、一般企業など、さまざまな職場でアルバイトが募集されています。

とくに業界団体である日本精神保健福祉士協会のホームページでは、一般の求人サイトにはない、国や地方自治体から直接出されている非正規雇用の求人情報も多数掲載されています。

以下では、正規雇用と非正規雇用、それぞれの特徴や待遇面などを比較しながらご紹介します。

正規雇用の精神保健福祉士

正規雇用の特徴

正規雇用の精神保健福祉士は、職場によって若干の差はあるものの、総じて離職率が低く、長期にわたって安定的に働ける点が特徴です。

その背景には、精神保健福祉士はデスクワークが主体で力仕事がほぼないこと、そして残業時間が少なく、ワークライフバランスを取りやすいことなどが挙げられます。

とくに地方公務員としての採用となる行政施設では、一般企業と違って職場がなくなる可能性はほぼありませんので、自分から辞めない限り、定年退職まで勤め続けられます。

正規雇用の待遇

正規職員の精神保健福祉士は、年収300万円~450万円前後が相場とされており、国家資格が必要になる専門性の高い職業の割には、それに見合った収入とはいえないかもしれません。

精神保健福祉士になる人の多くは、仕事に対して、お金ではなく、やりがいや社会的意義を求めるようです。

ただし、精神保健福祉士の職場は公的機関が多く、月々の給料はそれほど高くなくても、各種手当や有給休暇制度など、福利厚生面の充実しているところが目立ちます。

ほかの人よりはるかに豊かな暮らしを送ることは難しいとしても、普通に生活していくぶんには何の不自由もないでしょう。

非正規雇用の精神保健福祉士

非正規雇用の特徴

非正規雇用は、正規職員と比較すると、勤務日数や勤務時間に融通が利きやすく、正規雇用よりもさらに家事や育児とのワークライフバランスを取りやすいといえます。

また、資格はあっても実務未経験という場合、より有利な条件で正規職員となるために、まずはパートやアルバイトでキャリアを積むという人も少なくありません。

しかし、そうしたメリットがある一方で、非正規職員は、雇用形態としてはどうしても不安定になりがちです。

職場にもよりますが、産休中職員の代替要員としての募集など、最初から雇用期間が決まっているケースもあります。

ただ、なかには将来的な正規スタッフへの昇格を前提としている職場もありますので、求人情報はあらかじめよく確認しておくことが必要です。

なお、精神保健福祉士の資格がなくても、社会福祉士や臨床心理士保健師といったほかの資格があるか、あるいは就業先の業務と関連性の高い実務経験があれば、採用対象となる場合もあります。

非正規雇用の待遇

アルバイトやパート待遇の精神保健福祉士であっても、業務内容は正規職員とほぼ同じです。

時給は1,200円~1,800円程度が相場であり、医療や福祉に関する専門知識とスキルが求められるぶん、一般的なアルバイトより高単価です。

ただし、施設によっては、「精神保健福祉士であることが望ましい」として、広く相談支援・生活支援業務全般を手掛けるスタッフが募集されるケースもあり、その場合の時給は1000円前後とより安くなります。

勤務時間も、週に2日~3日程度、1日あたり数時間の勤務となるケースもあれば、常勤スタッフに近い勤務時間を求められるケースもあり、どの程度稼げるかは施設によってばらばらです。