精神保健福祉士への転職・働きながら資格は取れる?

精神保健福祉士への転職状況は?

精神保健福祉士は、新卒者だけでなく、ほかの仕事から転職してくる人も非常に多い職業です。

国家試験の合格者を年齢別にみると、合格者全体の半数以上が30歳を超えており、なんらかの仕事を経験した後に精神保健福祉士になる人が非常に多いことがうかがえます。

その背景には、精神保健福祉士になるためのルートが複数あり、どんな人でも資格取得を目指しやすいことが挙げられます。

また、精神保健福祉士はデスクワークがほとんどであり、基本的に体力や筋力を必要としない仕事であるため、ある程度の年齢を重ねた人であっても、転職時に不利になりにくいといえます。

むしろ、精神障がい者やその家族が抱えるさまざまな不安や悩みに対応するうえでは、前職における社会人経験や、年長者としての豊かな人生経験が役に立つシーンも多いでしょう。

精神保健福祉士への転職の志望動機で多いものは?

精神保健福祉士に転職する志望動機としては、仕事に対して前職とは違うやりがいを求めるケースが目立ちます。

一般企業で営利を追求することに疲れたしまい、たとえ儲からなくても、もっと世の中の役に立つ仕事がしたいと考える人などが、精神保健福祉士への転職を目指すケースもあります。

また、精神保健福祉士は、医療、福祉、行政など就職先が豊富にあるうえ、国家資格さえあれば働き口を見つけることはさほど困難ではなく、さらにどこの職場でも残業時間は総じて短めです。

このため、手に職をつけたい、ワークライフバランスを重視したいなど、長期にわたって安定的に働くために、精神保健福祉士を目指す人も少なくありません。

精神保健福祉士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

未経験・社会人から精神保健福祉士になるには

精神保健福祉士として就職するためには、国家試験を受けて資格を取得することが前提条件となります。

国家試験の受験資格を得る方法はいくつかありますが、未経験・社会人から精神保健福祉士を目指す場合、自身の学歴によって、大きく2パターンの進路が考えられます。

大卒の学歴がある場合、精神保健福祉士の「一般養成施設」で1年以上学び、所定の単位を取得して卒業することで、国家試験の受験資格が得られます。

一方、大卒者以外の人については、福祉系の4年制大学に進学し、厚生労働省の定める「指定科目」を履修して卒業することで、受験資格を得る方法が最もオーソドックスです。

学校に通うとなるとハードルが高く感じられるかもしれませんが、どちらの学校についても、通信課程で学べるコースが存在しています。

このため、社会人として働きながらでも、あるいは家事や育児を行いながらでも、努力次第で勉強と両立させることが可能です。

ただし、定期的に学校に通う「スクーリング」や、実際の医療施設などで行われる現場実習も必ずカリキュラムに含まれていますので、勤め先や周囲の理解を得て、協力を仰ぐ必要があるでしょう。

さらに、いずれかの方法で受験資格を満たした後には、国家試験を突破することが必要ですので、仕事を調整し、勉強時間をどれだけ確保できるかも、合否を分ける重要なカギになるでしょう。

精神保健福祉士への転職に必要な資格・有利な資格

正規雇用の精神保健福祉士になるためには、転職にあたって国家資格が必要となるケースが一般的です。

しかし、非常勤職員としての募集については、「臨床心理士」や「公認心理士」などの心理系資格や、「社会福祉士」などの福祉系資格があれば、精神保健福祉士資格がなくても採用対象となる場合があります。

職場によっては、職員に対する精神保健福祉士の資格取得を支援してくれるところもあるため、ほかの保有資格を足掛かりとして、精神保健福祉士のキャリアをスタートさせることも十分に可能です。

さらに、精神保健福祉士資格に加えて上記資格のいずれかも取得して「ダブルライセンス」となれば、より有利な条件で転職できるようになるでしょう。

とくに地方の場合、精神保健福祉士の求人はそこまで多くないため、転職に際しては、複数の資格をもっておくに越したことはありません。

精神保健福祉士への転職に役立つ職務経験は?

精神保健福祉士への転職に役立つ職務経験としては、まず介護業界での仕事が挙げられます。

程度の差こそあれ、精神障がいをもつ人のなかには日常動作に不自由を抱える人も少なくないため、家族などに介助方法をアドバイスするうえでは、介護業界で働いた経験が役に立ちます。

さらに、「ケアマネジャー」として介護計画を立てたり費用を計算したりしたキャリアがあれば、そのまま精神保健福祉士の業務に生かすことができるでしょう。

そのほかにも、精神保健福祉士はさまざまな分野に就職先があり、個々の職場と関連性の深い業務の実務経験があれば有利になりやすいといえます。

たとえば就労支援関係の福祉施設の場合、ハローワークや職業訓練施設などでジョブコーチとして働いていたキャリアがあれば、非常に役に立つでしょう。

精神保健福祉士への転職面接で気をつけるべきことは?

精神保健福祉士のおもな業務は、精神障がい者およびその家族へのサポートですが、求められるのは単なる事務的な対応ではなく、心のこもった人間味ある対応です。

そのため、転職面接においては、精神福祉業務に対する熱意や積極性を示すべきであり、控えめな姿勢や受け答えは避けたほうが無難です。

前職を辞めた理由もまず間違いなく問われることになりますが、残業が多かった、ノルマがきつかったなどの不平不満では、「前の仕事が嫌だったから精神保健福祉士になった」という印象をもたれかねません。

同じように、たとえ本音としてはそうであっても、「安定して働きたい」「定時で帰りたい」など、自分の生活上の都合を動機として述べることも避けるのがベターです。

消極的理由や自己都合ではなく、前向きな理由で精神保健福祉士を目指していることをアピールしましょう。

精神保健福祉士に転職可能な年齢は何歳くらいまで?

精神保健福祉士の養成校に通っている人の年齢層は幅広く、40代や50代、なかには60代の人もおり、自身の努力次第では、何歳になっても資格を取得することが可能といえます。

しかし、資格を取得することと就職することは分けて考える必要があり、年齢を重ねれば重ねるほど、働き口を見つけるハードルは高くなります。

とくに未経験の場合、40歳を境にして、転職事情は一気に厳しくなるという声も聞かれます。

関連する実務経験がなく、またどこかの施設とのコネクションがあって就職先に宛てがあるというのでない限り、30代のうちに資格を取得し、キャリアをスタートさせることが望ましいでしょう。

ただし、近年認知症患者が増え、需要に対して求人が追いついていないグループホームなどの高齢者施設の場合は、30代以上であっても転職できるケースもあるかもしれません。

未経験から精神保健福祉士に転職する際の志望動機

未経験から精神保健福祉士に転職する際の志望動機は、どのようなことをきっかけとして、精神障がい者支援に興味を抱いたのかをまず最初に述べるとよいでしょう。

社会人になってからの出来事をきっかけとしても構いませんし、学生時代から関心はあったものの、ほかにもやりたいことがあったから進路としては選ばなかったとしても構いません。

そのうえで、どのように自身の考え方や価値観が変わり、現在の職を辞めて精神保健福祉業務に携わるという決断にいたったか、時系列に沿って動機を作成すると、説得力ある内容となるでしょう。

さらに、これまでのキャリアがどのように精神保健福祉士の仕事に生かせるか、今後どのような仕事を手掛けたいかなど、将来のことにまで言及できると尚よいといえます。

そのためには、しっかりと就職希望先の施設概要や特色、運営方針などを下調べして、可能であれば施設見学なども行ったうえで志望動機を練ることが望ましいでしょう。