理学療法士の1日のスケジュール・勤務時間や休日についても解説

理学療法士の業務スケジュール

理学療法士は、1日の業務時間の大半を、患者へのリハビリに充てるケースが一般的です。

ただ、現代の医療はチームワークが非常に重要であり、医師看護師作業療法士言語聴覚士といったほかの専門スタッフと連携しながら、患者の治療に当たる必要があります。

このため、朝のミーティングで各患者への治療方針を検討したり、夕方のカルテ作成できちんと記録を残したりと、施設全体で情報の共有を図ることも、リハビリと同じくらい重要な作業といえます。

ミーティングの後には、各患者の主治医と個別に打ち合わせすることもありますし、施設によっては、朝、昼、夕方と、1日3回のミーティングが実施されるところもあります。

また、理学療法士は、1日のリハビリが始まる前に、その日に使う道具類を準備・点検し、大型機械についてはセッティングやメンテナンスも済ませておかなければなりません。

スムーズに日中のリハビリを行うためには、情報確認や事前準備など、朝の時間の使い方が重要になるといえるでしょう。

総合病院で働く理学療法士の1日

総合病院では、さまざまなけがや病気を抱えた患者が入院しており、身体機能の状態には大きな差があります。

また、入院患者だけでなく、退院して自宅などでリハビリを続けている外来患者への治療も行わなければなりませんので、多様な患者に対応するためには、1日のスケジュール管理が非常に重要です。

このため、たとえば午前は自力で移動できる入院患者と外来患者中心、午後は病室から出られない入院患者中心といったように、1日のなかで患者を分けてリハビリを行うケースが一般的です。

なお、医療関係の仕事のなかでは、理学療法士は比較的残業が少ない部類に入る職業であり、長時間残業が連日続くということはあまりありません。

8:30 出勤、ミーティング
スクラブやケーシーと呼ばれる専用着に着替え、ほかの職種のスタッフとミーティングを行います。
9:00 リハビリ
リハビリ室で、入院患者や外来患者のリハビリを実施します。
12:00 昼食休憩
持参した弁当を食べたり、院内食堂を利用したりします。
13:00 リハビリ
入院患者に対して、ベッド上で寝返りや起き上がりといったリハビリを実施します。
16:00 回診
医師、看護師とともに病棟をまわり、各患者の状態を把握して今後のリハビリ計画を検討します。
17:00 カルテ入力
できる限り詳細に各患者の情報を記載します。
17:30 退勤
私服に着替え、ほぼ定時通りに退勤します。

訪問リハビリテーション事業所で働く理学療法士の1日

訪問リハを行う理学療法士は、日中はほとんど事務所に戻らず、1日に平均して5件~6件の自宅訪問を行います。

リハビリを行う時間に加えて、家族からの相談に応える時間や、それぞれの自宅間を移動する時間も必要になるため、1日のスケジュールはタイトになりがちです。

リハビリ自体についても、個人の自宅環境はさまざまですので、居室で行ったり、廊下を使ったりと、それぞれのスペースや保有器具などに応じて、工夫しながら訓練を行う必要があるでしょう。

8:30 出勤
事業所に出勤し、訪問スケジュールなどを確認します。
9:00 自宅訪問
自動車でサービス利用者の自宅をまわり、リハビリを行います。
12:00 昼食休憩
事務所に戻り、持参した弁当などを食べます。
13:00 自宅訪問
午前中に引き続き、利用者をまわってリハビリを行います。
16:00 帰社
事務所に戻り、訪問記録などを作成します。
17:00 面談
新規に訪問リハを希望している患者の家族と面談し、状態などを聴取します。
18:00 退勤
デスクワークが終了次第、帰宅します。

理学療法士の勤務時間

理学療法士の勤務時間は、基本的に朝8時~9時頃に始まって17時~18時頃に終わる「日勤」で、休憩を除く1日の労働時間は8時間程度です。

同じ医療職のなかでも、理学療法士は、医師や看護師などのように24時間体制で患者をケアする役割ではないため、夜勤をすることもありません。

一般的な会社員や公務員と同じように、安定したリズムで生活を送ることができるでしょう。

ただし、回復期リハビリテーション病院など、患者の日常生活復帰を支援する施設では、食事や排せつ、入浴などを作業療法士と共に介助するため、「早番」や「遅番」といったシフト制で働くケースもあります。

早番は朝6時半~15時半まで、遅番は12時半~21時までといったように、勤務時間は前後しますが、そのぶん午前中や夕方の時間帯にゆとりが生まれるため、ポジティブに捉えている人も多いようです。

理学療法士の休日

理学療法士の休日は、勤務先によって異なります。

クリニックや介護施設などでは、土日祝日が休日にされているところが多い一方、急性期や回復期の病院では365日リハビリを行うために、シフト制で交代しながら休みを取るところが一般的です。

基本的には週休2日制ですが、2日連続して休みを取るというよりは、1週間のうち別々に2日休むという職場が目立ちます。

患者ごとに担当する理学療法士が定まっているため、あまり1人の理学療法士が連続して休んでしまうと、リハビリのペースが乱れるなど弊害が生じやすいようです。

お盆や年末年始などの長期休暇についても、担当患者を交代で受け持つなどしてまとまって休めるところもあれば、1日2日程度しか休めないところもあり、施設によってかなり差があります。

理学療法士の残業時間

理学療法士が行うリハビリは、1日に保険請求できる単位上限が法律で定まっています。

このため、数多くの患者を1度に対応しなければならないということはなく、理学療法士の残業時間は、ほかの医療職と比べるとかなり少なめです。

もちろん、リハビリ以外にもカルテ記入などのデスクワークもありますが、ある程度の経験を積んで手際よく済ませられるようになれば、ほとんど時間内で作業を終わらせることも十分に可能です。

ただし、施設によっては、業務終了後にカンファレンス(症例検討会)や研修会などが実施され、情報収集や自己研鑽のために出席しなければならないときもあります。

仕事が終わったからといって、すぐに帰宅できるというわけではない点には、注意が必要かもしれません。

そうした業務に対して残業手当が付くか付かないかも施設によって異なるため、就職先を選ぶ際には確認しておいたほうがよいでしょう。

理学療法士は忙しい? 激務?

理学療法士は、職業全体としてみれば、そこまで忙しい部類に入るとはいえないものの、実際の労働事情は個人や施設によってさまざまです。

とくに新人や若手などのうちは、不慣れなために一つひとつの作業に時間がかかるうえ、研修会などの参加も多く、帰宅時間が連日遅くなってしまうというケースも少なくありません。

また、施設によっては、そもそもスタッフが足りていないために、理学療法士としての事務ではない書類作成や、家族からの相談対応、退院患者の自宅訪問までこなさないといけないところもあるようです。

職場環境にはかなり差があるため、もしも激務と感じるようなら、職場を移ることを検討してみてもよいかもしれません。

理学療法士の休日の過ごし方

理学療法士は、運動機能の専門職であることもあって、元々スポーツに関心のある人が多く、休日は身体を動かしてストレス発散するという人が目立ちます。

医師などとは違い、緊急に呼び出しがかかることもありませんので、仕事とレクリエーションをはっきりと分けてリフレッシュできるでしょう。

ただし、連続で休めない職場も多いため、旅行などはやや行きにくいかもしれません。

また、日本理学療法士協会が主宰する研修会や勉強会もかなりの頻度であり、それらに出席するために日曜日や公休などを使うケースもあるようです。