建築士・設計士・建築家の違いとは? 一級建築士の資格がなくてもなれる?
設計士、建築家は国家資格がないため、使われ方や名乗り方はまちまちです。
ここでは、「設計士」と「建築家」の名称が具体的にどのような場で使われるのか、紹介します。
建築士と設計士、建築家の仕事内容の違い
建物の設計に関わる人の呼称として、建築士以外にも、「設計士」や「建築家」といった言葉が使われるときがあります。
どれも似たような言葉に見えますが、建築士が国家資格である一方、設計士や建築家という名称の国家資格が存在していません。
建築士は建築士国家資格を持って、建築物の設計に携わります。
一方、設計士や建築家という名称で働く人の職務はまちまちで、建築士資格を持つ人もいれば、そうでない人もなかにはいます。
設計士という職業名が使われるケース
「設計士」は、建築士資格は保有していないものの、企業などに所属し、設計に関する作業を行う人を指して使われることが一般的です。
建築士のサポートであれば資格は不要ですし、また建築士法によれば、100平方メートル未満の木造住宅であれば建築士資格がなくても設計可能とされていますから、無資格でも携われる設計業務はあります。
また、メーカーなどに勤務し、自動車や機械など、建物以外の図面を作成する役割を担う人が、設計士と呼ばれることもあります。
建築家という職業名が使われるケース
「建築家」は、建築士資格を保有する人のなかで、構造設計や設備設計よりも、意匠面の仕事を重点的に行う人の名称として用いられるケースが多いようです。
一目でそれとわかるような、強烈な個性を持ったデザインの建築を手掛ける人も珍しくなく、世界的に名の知れた建築士が、メディアなどで建築家と呼ばれるときもあります。
ただ、資格制度がなく、自称すれば建築家になることができる現状からすると、芸術面をアピールしたい人が建築家を自分から名乗るケースもあり、職業名としての使われ方は明確ではありません。
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建築士と設計士、建築家になる方法・資格の違い
建築士になるには、国家試験を受けて「一級建築士」「二級建築士」「木造建築士」のいずれかの資格を取得しなければなりません。
これに対し、設計士になるには建築業界の企業あるいはメーカーなど、設計部門のある企業に就職することが必要ですが、資格試験などはありません。
建築家になる方法はかなりあいまいといえますが、建築士資格を取得した後に、デザイン関係に強い設計事務所などに就職することが望ましいでしょう。
ただ、建築家そのものには資格が存在しない以上、名乗ろうと思えば誰でも名乗ることができます。
芸術家的な立場でデザイナー業を営んだり、アートディレクターとして働くこともできなくはありません。
しかし、建築士資格をもたないまま建築家を名乗ることについては、法律に抵触しているのではないかと危惧する声もあり、注意したほうがよいでしょう。
建築士と設計士、建築家の資格の難易度の違い
建築士の資格は、一級、二級、木造によって難易度が異なりますが、一級資格は合格率1割前後の難関として知られています。
それと比較すると、設計士は設計部門のある企業に就職できればキャリアをスタートさせられますから、難易度は建築士より低いといえるでしょう。
建築家については、国家資格はないものの「社団法人日本建築家協会」が主宰する民間資格が存在しています。
同団体から建築家として認められるには、一級建築士や技術士の資格を取得して一定期間の業務経験を積む、官公庁や研究機関などで設計監理業務に携わるなど、いずれかの要件を満たすことが必要です。
建築士の国家資格を有していなくても建築家として認められるケースもあり、難易度は一概に比較できない部分がありますが、あくまで民間資格であるという点には留意しなければならないでしょう。
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建築士と設計士、建築家の学校・学費の違い
建築士と設計士の業務内容は一部重複しているため、建築士の資格を取得するための専門学校に通えば、自然と設計士の素養を身につけることができるでしょう。
ただ、手掛けたい設計内容によっては、建築系よりも工学系の学校・学部を選んだほうがよいかもしれません。
建築家として活躍するには、知識というよりも、どちらかというと感性のほうが重要になるといえますので、学校などに通っても、必要なスキルは身につきにくいかもしれません。
デザインに強みのある建築設計事務所で働き、実務を通してセンスを磨くか、国内外問わず、有名建築家の建物に実際に足を運んでみるなどして、他者とは違ったオリジナリティを育む必要があるでしょう。
建築士と設計士、建築家の給料・待遇の違い
一般的に、設計士は建築士の補助業務を行うことが多く、また手掛けられる業務範囲も限定されるため、設計士のほうが建築士よりも給与水準が低いケースが目立ちます。
待遇の改善を目指すなら、設計士として実務経験を積みながら、建築士の資格取得に向けて勉強に励むとよいでしょう。
建築家については、アート面に特化した人が多いため、一般的な建築士よりも、給料面に個人差が出やすくなる傾向が強まります。
自身の個性が認められれば、手掛ける建築物は「芸術品」として唯一無二の付加価値がつき、平均的な建築士の収入をはるかに上回ることも可能かもしれません。
建築士と設計士、建築家がどれがおすすめ?
建築士は国家資格であるため、設計業務、工事監理、行政手続きの代理、鑑定評価、指導監督など、建築士でなければ行えない業務が多数存在します。
設計業務への携わり方は人それぞれで、目指す方向性によっては資格が必要ないケースもあるかもしれませんが、業務範囲を拡げて安定的に働くためには、資格取得を目指すとよいでしょう。
就職先によっては、入社時点で建築士資格を保有していなくても採用されるケースもあり、設計事務所などで働きながら、資格取得のための勉強に励んでいる人は大勢います。
また、設計士、二級建築士、一級建築士と段階的にキャリアアップしていくなかで、もしもデザイン面に特化した仕事をしたいという欲求が高まれば、建築家を名乗るのもよいでしょう。
逆に、自身の手掛けた建築物に、高い芸術性や、他者とは違ったオリジナリティが認められれば、自然と世間から建築家と呼ばれるようになるかもしれません。
建築士と設計士、建築家の違いのまとめ
建築士は国家試験を受けて資格を取得しなければなりません。
これに対し、設計士や建築家になるには資格試験などはありません。
どちらも資格が存在しない以上、だれでも名乗ることができますが、待遇や給料では違いがあります。