鑑識官になるには? 仕事内容や科学捜査研究所での働き方についても解説
鑑識官とは、主に「刑事部鑑識課」で働く警察官を指します。
この記事では、警察官が鑑識官になる道のりや、鑑識官に必要な学歴、また鑑識官と関連性のある科学捜査研究所での働き方などを詳しく解説します。
鑑識官の仕事内容
鑑識官は、警察官のなかでも、事故現場や犯行現場において、犯人が残した遺留品をもとに、犯人を特定したり犯行状況を明らかにする人のことです。
鑑識官は、主に以下のような仕事を担当します。
鑑識官は、事件現場や事故現場で残された遺留品を調べることで、犯人の特定や事件の真相解明に貢献します。
たとえば、被害者が亡くなったり意識を失ったりしている場合、直接的な目撃情報を得るのは難しいです。
そこで、鑑識官は指紋や体液、毛髪、足跡、タイヤ痕、紙片や破片、植物片など、現場に残されたものを集めて調査します。
これにより、犯人を追い詰める大切な手がかりを見つけるのです。
また、警察犬も、遺留品から犯人を追跡する際に鑑識官と協力して活躍します。
鑑識官が収集した証拠品のうち、専門的な解析が必要なものは「科学捜査研究所」に送られ、筆跡鑑定や薬物鑑定、DNA鑑定などの手法で詳しく分析されます。
鑑識官は事件解決のために欠かせない存在であり、その仕事の重要性は大きいです。
鑑識官になるには
ここでは、鑑識官になるための道のりについて説明します。
まずは刑事課に配属されることから
鑑識官となるためには、まず警察官になる必要があります。
具体的には、各都道府県で行われる警察官採用試験に合格することが最初のステップです。
合格した後は、鑑識官になるための試験を受けたり、適性が認められたりすると、都道府県警察本部の刑事部門内にある「鑑識課」に配属されます。
一般的には、刑事としての現場経験を積んで、しばらくしてから鑑識としての研修を受け、鑑識官としてデビューする形が多いとされています。
なお、新人の警察官が直接刑事部門に配属されることはまれで、まずは交番での勤務などを通じて経験を積み、異動のチャンスを待つ必要があります。
鑑識官の志望者は多い
刑事部門は、警察組織内でも非常に人気のある部署であり、鑑識課もテレビドラマや警察犬のイメージから多くの人から注目を集めています。
そのため、志望者は多く、競争も激しいのが実情です。
鑑識官の任命方法は都道府県によって異なる場合があるため、詳細な情報は希望する都道府県警察に問い合わせて確認することがおすすめです。
鑑識官への道のりは厳しいものですが、諦めずに熱意を訴え続けることも大事です。
大学で化学や工学・法医学などを専攻すると有利
鑑識官になるには、高校卒業以上の学歴が必要です。
特別選考で有利になることはありませんが、大学で法律や科学について学んでいると、鑑識に必要な知識やスキルを身につけられます。
化学や生物学、物理学、法科学、法医学などを学ぶことで、鑑識で必要な証拠の分析や科学的な手法を理解できます。
また、刑法や刑事手続など法律関連の学問を学んでおくと、警察官の仕事に関する知識を深められます。
もちろん学歴だけでなく、警察としての実務経験の習得も重要で、専門的な鑑識訓練や資格取得も必要です。
科学捜査研究所(科捜研)の職員は警察官とは別で採用される
鑑識というと、科学捜査研究所(科捜研)を思い浮かべる人もいるかもしれません。
科学捜査研究所(科捜研)は、遺留品などの化学的な分析を担当する組織で、各都道府県警察本部に存在しています。
しかし、よく勘違いされることですが、科捜研の職員は警察官とは別に採用され、必要なスキルや専門性が異なります。
科捜研で働くためには、警察官の採用試験を受けて警察官になるのではなく「科学捜査研究所職員採用試験」という試験を受ける必要があります。
科捜研の求人では、法医学部門や心理学部門、化学部門など、募集される職種に応じた高度な知識が求められます。
そのため、大学や大学院でこうした学部学科を専攻した人が対象となります。
募集は通常、退職などによって空きが生じた場合に行われます。
そのため、年によってはまったく採用がないことも珍しくありませんし、年間の採用人数も1~2人程度であることが一般的です。
希望する都道府県の科捜研で働くためには、辛抱強くタイミングを待つ必要があるかもしれません。
「鑑識官になるには」まとめ
鑑識官は犯罪現場の謎を解き明かす警察官を指し、遺留品から犯人を特定し、事件の真相を解明する重要な役割を果たします。
鑑識官になるには、警察官になってから刑事部鑑識課に配属される必要があり、大学で化学や工学、法医学などを専攻すると有利になります。
なお、科学捜査研究所(科捜研)の職員は、警察官とは別の試験で採用されることに注意が必要です。