警察の組織にはどんなものがある?
警察官の組織にはどんなものがある?
現職の警察官は全国に約30万人おり、業務内容や役割は配属先によってさまざまです。
警察の組織体系も巨大かつ複雑であり、メディアで取り上げられる機会の多い組織だけでも、「捜査課」「鑑識課」「機動隊」「公安」など、多種多様にあります。
また、「警察庁」や「警視庁」、「科警研」や「科捜研」のように、一見しただけではいまいちその組織の違いがわからないケースも少なくありません。
以下では、国が運営する警察組織と各都道府県が運営する警察組織に大別して、それぞれのおもな組織と役割についてご紹介します。
国の警察組織
警察組織全体のトップに位置するのが、東京・霞ヶ関にある「警察庁」です。
警察庁は国家公安委員会によって管理された行政庁のひとつであり、金融庁や消費者庁などと同じように、法律を計画・管理することが役割です。
警察庁は、6つの内部部局、各地方を管轄する9つの地方機関、および「警察大学校」「科学警察研究所」「皇宮警察本部」という3つの付属機関で構成されています。
内部部局
刑事局や交通局、情報通信局、警備局などがあり、それぞれの部門に関する法律を整備したり、きちんと法律に則って警察組織が運営されているか監督したりします。
なお、政治犯やテロリストなど、国家を脅かす恐れの犯罪者を専門的に取り締まる「公安」は、この内部部局のうちの警備局を頂点とした組織で、一般的な警察とは指示系統が異なります。
地方機関
関東管区警察局、近畿管区警察局など、各エリアの地方警察組織を管理する組織です。
複数の都道府県にまたがった広域犯罪が発生した場合などに、各都道府県警察の業務を調整します。
警察大学校
国家公務員試験をパスしたいわゆるキャリアなど、警察上級幹部に対する教育を行う機関です。
文部科学省が所管する一般の大学(学校法人)ではなく、実質的には研修施設といえます。
特別捜査幹部研究所と国際捜査研究所を併設しており、海外から警察幹部を受け入れて犯罪事例や捜査方法を研究することもあります。
科学警察研究所(科警研)
筆跡や爆発物、偽札、偽造パスポートなどの鑑定、麻薬や有毒ガスの探知、モンタージュ写真作成、サイバー犯罪のコンピュータ解析などを行う研究機関です。
各都道府県警察に置かれた科学捜査研究所(科捜研)では扱えない専門分野や、大規模な分析を行います。
皇宮警察本部
皇居や赤坂御用地、御用邸など、皇室財産の警備を行います。
また、天皇・皇后両陛下や皇族が外出される際の護衛も担います。
検察庁
警察内の組織ではありませんが、警察庁のすぐそばには、法務省に属する司法・捜査機関として「検察庁」があります。
検察庁は警察業務と密接に関わっており、警察から身柄を送検された被疑者の取り調べを行って、起訴・不起訴を決定したりします。
各都道府県の警察組織
各都道府県警察は、警察本部、警察学校、各地域を管轄する警察署からなる組織です。
警察本部については、通常各都道府県ごとに「神奈川県警」や「大阪府警」、「北海道警」という名称が付けられていますが、例外的に東京都だけは東京都警ではなく「警視庁」と呼ばれます。
これは、明治時代初期にまだ全国に警察組織がなかった頃、首都を守るために先駆けて警視庁が組織され、すべての警察組織の基になったとして、警視庁が特別に扱われていることが理由とされています。
警察本部
それぞれの都道府県内で起きた事件や事故などに対応するとともに、各警察署を統率する組織です。
代表的な部門としては、事務をおもに扱う警務部、犯罪を捜査する刑事部、警備を行う警備部などがあります。
捜査課、鑑識課、科捜研、機動隊といったテレビドラマなどでよく目にする部署も、警察本部内の組織です。
警察学校
警察官採用試験を受けた新任警察官や、一般職員の教育を行う機関です。
警察大学校と同じように、学校教育法にもとづく一般の学校ではなく、警察官養成のための職業訓練校という位置づけです。
警察署
各地域における治安維持や生活指導、行政事務などを行います。
私たちの生活に馴染みの深い「交番」や「駐在所」は、各警察署の出先機関にあたります。