インテリアコーディネーター資格試験の難易度・合格率
インテリアコーディネーターは、公益社団法人インテリア産業協会が認定する資格です。
この資格を認定するためのインテリアコーディネーター試験は、すでにインテリア業界で働いている人や、インテリア業界への就職・転職を目指す人を中心に、毎年1万人ほどが受験しています。
学歴・実務経験などは問わず誰でも受験できますが、合格率は決して高くないため、試験内容をきちんと把握した上で十分な対策が必要です。
この記事では、インテリアコーディネーター資格試験の内容や、難易度・合格率、勉強方法などについて詳しく解説しています。
・一次試験はマークシート、二次試験では論文・プレゼンテーションで評価
・合格率は22~25%程度、合格までに300時間程度の勉強時間が必要
・独学合格は可能だが、出題範囲が広いため通信講座やスクールを利用する人も
インテリアコーディネーター資格とは
インテリアコーディネーターとはどんな資格?
インテリアコーディネーター資格とは、公益社団法人インテリア産業協会が認定する民間資格です。
インテリアコーディネーター資格を得るためには、公益社団法人インテリア産業協会主催の「インテリアコーディネーター資格試験」に合格した後、登録料を納付し、登録手続きを行う必要があります。
インテリアコーディネーター試験では、内装、家具、照明器具、住宅設備などの各種インテリアに関する幅広い商品知識と、住空間にふさわしいインテリアの計画や商品選択・アドバイスをするための知識を備えているかどうかが問われます。
主にインテリア関連企業で働く人、またインテリア業界への就職・転職を目指す人が、インテリアコーディネーター資格を取得しています。
具体的な活躍の場としては、住宅メーカーや設計デザイン事務所などの住宅関連企業、住宅設備を扱う住宅関連機器メーカー、さらには家具屋やインテリアショップ、ホームセンター、百貨店のインテリア部門などの各ショップなど多様です。
インテリアコーディネーター資格取得のメリットは?
インテリア関連の仕事をする上で、インテリアコーディネーター資格の取得は必須ではありません。
しかしながら、インテリアコーディネーターを取得することには、以下のようなメリットがあります。
- インテリア業界への就職・転職時に有利(とくに実務経験がない・少ない人)
- 試験勉強で身につけた知識は実務でも役立つ
- お客様からの信頼・安心を得る材料になる
インテリア関連の実務経験がない、もしくは少ない人にとって、インテリア業界への就職・転職は必ずしも容易ではありません。
そのような人こそ、インテリアコーディネーター資格を取得しておけば、採用試験において基礎的な知識を身につけていることを証明でき、また熱意を認めてもらいやすくなります。
また、インテリアコーディネーター試験に向けて勉強する内容は、インテリア業界で働き始めてからも役立つもので、すでに同業界で仕事をしている人が、スキルアップのためにこの資格取得を目指すこともしばしばあります。
また、インテリアコーディネーターの資格を持っていることを示すことは、お客様にとっての信頼・安心材料にもなります。
資格を一つの強みとしながら実務経験を積んで、フリーランスや独立・開業を目指すことも可能です。
インテリアコーディネーター試験の出題内容・形式
インテリアコーディネーター試験は、一次試験・二次試験の二段階で実施されます。
先に一次試験が実施され、それに合格した人のみが二次試験に進めるようになっており、二次試験にまで合格すると、インテリアコーディネーター資格者登録をすることが可能です。
一次試験
インテリアコーディネーター試験の一次試験は、学科(マークシートによる択一式)にて行われます。
試験審査の範囲は以下の通りです。
- インテリアコーディネーターの誕生とその背景に関すること
- インテリアコーディネーターの仕事に関すること
- インテリアの歴史に関すること
- インテリアコーディネーションの計画に関すること
- インテリアエレメント・関連エレメントに関すること
- インテリアの構造・構法と仕上げに関すること
- 環境と設備に関すること
- インテリアコーディネーションの表現に関すること
- インテリア関連の法規、規格、制度に関すること
合格ラインは正式に発表されていませんが、総合点の70~75%程度の得点率が必要といわれています。
二次試験
インテリアコーディネーター試験の二次試験は、プレゼンテーション・論文(記述式)にて行われます。
試験審査の範囲は以下の通りです。
- プレゼンテーション・論文によるインテリア計画の提案に関すること
なお、一次試験に合格し、二次試験に不合格になった場合には、次年度からの3年間は一次試験が免除される制度があります。
同一年度内に一次試験と二次試験の両方に申し込むこともできますし、最初の年は一次試験だけ挑戦し、合格したら翌年以降に二次試験を受けることも可能です。
インテリアコーディネーター試験の最新情報・詳細については、主催団体であるインテリア産業協会の公式ページで確認してください。
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インテリアコーディネーター試験の受験資格は?
インテリアコーディネーター試験の受験資格には制限がありません。
年齢・性別・学歴・職業・経験を問わず、どのような人でも受けることが可能です。
実際の受験者は20代や30代の女性が多いですが、もちろん男性も受けていますし、40代や50代以上で挑戦している人もいます。
インテリアコーディネーター試験の難易度はどれくらい?
インテリアコーディネーター試験の合格率は22~25%
インテリアコーディネーター試験の合格率は、年度によって異なりますが、近年は22~25%程度を推移しています。
一次試験・二次試験それぞれの合格率を見ていくと、一次試験は30~35%程度、二次試験は60%前後です。
なお、2023年度の受験者数・合格率は以下の通りです。
一次試験
受験申込者数 8,674名
受験者数 7,746名
一次合格者数 2,713名
一次合格率 35.0%
二次試験
※ 二次受験対象者数 4,312名(内:一次免除者1,787)
受験者数 3,577名(内:一次免除者1,336)
二次合格者数 2,034名
二次合格率 56.9%
インテリアコーディネーター資格試験は国家試験ではないものの、試験全体の合格率は決して高くありません。
半数以上の人が一次試験で不合格になっていることを考えると、まず一次試験を突破することが大きなハードルになるといえます。
インテリアコーディネーター試験の合格率が低い理由は?
インテリアコーディネーター試験の合格率が低めの理由として、以下のようなことが考えられます。
出題範囲が広い
インテリアコーディネーターの一次試験は、9つの分野から出題されます。
その中には「インテリアの歴史」や「インテリアコーディネーターの仕事」など、基本的で比較的学びやすい内容もありますが、インテリア関連の法規や制度、インテリアコーディネーションの計画など、実務的で、やや理解するのに苦労する分野も含まれます。
また、建築関連の専門用語が多数出てくるため、人によっては最初は難易度が高いと感じるかもしれません。
「マークシートだから楽だ」と考えていると、痛い思いをする可能性が高いです。
合格のためには、試験範囲全体をくまなく勉強していく必要があります。
二次試験を苦手とする人がいる
インテリアコーディネーター試験の二次試験は、プレゼンテーションと論文方式で実施されます。
プレゼンテーションでは、課題に対して適したインテリア計画を立て、図面や仕上げ表を使いながら提案する力が求められます。
ここで課される図面の種類は、平面図のほか、展開図、断面図、パース図、アイソメ図、家具図となっており、平面図以外はどの図面が出題されるか当日までわかりません。
論文では、与えられた課題のインテリア計画について文章で的確に表現する力が求められます。
過去問題を解いて試験形式に慣れておかないと、合格は難しいものとなっています。
勉強時間そのものが不足している
インテリアコーディネーターは、インテリア業界を目指す人にとっての人気資格ですが、受験者全員がきちんと勉強できているわけではありません。
受験資格が設けられていないため、勉強時間が不十分のまま何となく受ける人や、会社命令で仕方なく受けている人もいるようです。
決して簡単な試験ではないため、モチベーションを高めて勉強を継続的に続けていくことが必要です。
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インテリアコーディネーター試験の勉強時間・勉強方法
インテリアコーディネーター試験の勉強方法の種類
インテリアコーディネーターの勉強方法は、「独学」「通信講座を受ける」「資格スクールに通学する」の3種類が考えられます。
市販の参考書・問題集を使って費用をできるだけ抑えたい、自分のペースで自由に勉強したい場合には独学がおすすめです。
完全な独学では不安がある、自分で教材を選ぶのが難しいと感じる場合には、通信講座を受けるのがよいでしょう。
通信講座で有名なものとして「ユーキャン」「日建学院」「ハウジング エージェンシー」などがあります。
教材の内容や学習形式、カリキュラム、サポート体制などをしっかりと比較して、自分にとって使いやすいものを選びましょう。
また、自宅学習を続ける自信がない人や、プロの講師からリアルタイムで教わりたいと考える人は、通学制の講座を開講しているスクールを選ぶとよいでしょう。
インテリアコーディネーターの通学スクールとしては「HIPS」「町田ひろ子アカデミー」「ハウジングインテリアカレッジ」などがあります。
一次試験・二次試験に総合的に対応している講座や、一次試験のみの対策講座など、さまざまな講座があるため、自分の学習状況に合う講座を選択してください。
インテリアコーディネーター試験合格は独学で可能?
インテリアコーディネーターの資格試験には年齢や職歴による受験制限がありません。
そのためインテリア業界で働いている人のみならず、インテリアに興味のある学生や主婦も試験を受けているようです。
すぐに仕事に役立てる目的でなく、興味本位で勉強し、実際に独学でも合格している人もいます。
また、資格対策の講座に通うとどうしても費用がかかってしまうため、市販の問題集や参考書を使って勉強している人も多いです。
独学の学習時間
大手通信教育のインテリアコーディネーター講座の場合は、履修期間をおおむね8ヵ月程度に設定しています。
独学の場合は、通信教育の履修期間を目安にして試験の対策をするとよいでしょう。
インテリアコーディネーターの試験は毎年秋から冬にかけて行われるので、できればこの時期に間に合うように逆算してスケジュールを組むのが理想的です。
自分の生活サイクルをよく考えた上で、計画的に試験対策のスケジュールを立てるとよいでしょう。
独学のメリット
- コストがかからない
- 独学は自分のペースで勉強できる
- 場所や時間の制約がない
- 主体的に勉強することで知識がより身につきやすい
市販の問題集や参考書を繰り返し勉強すれば、学校や講座に通うよりも安く勉強することができます。
また、独学なら仕事を抱えながら勉強したり、家事や育児などをしながら取得を目指したりすることも可能です。
地方にいてなかなか学校や講座に通うことができない場合にも有効です。
学校でただ先生の話を聞いているのとは違い、自分で明確な意思をもって勉強することで、より頭に入りやすくなります。
独学のデメリット
- 業界未経験者の場合、専門用語を理解するのが難しい
- すぐに疑問を解決できる環境にない
- 能動的に動かなければ必要な情報が手に入りづらい
- モチベーションを保つのが難しい
ある程度業界の基礎知識があれば苦にはならないかもしれませんが、実務や関連法規などの問題は経験がないとイメージしづらく、習得に時間がかかったり、理解できなかったりするかもしれません。
こうした疑問点があっても、すぐに質問できる先生や仲間は身近にいません。
また、学校では毎年資格試験の対策をしているため、自然と対策もとりやすくなりますが、独学の場合は自主的に試験の傾向や対策のための情報を集めなければなりません。
さらに、モチベーション維持の問題もあります。
誰でも何ヵ月も先の目標に向けて勉強をし続けるのはとても大変なことで、いくら強い意志を持って勉強を始めても、途中でリタイアしてしまう人も少なくないようです。
仕事をしながら、もしくは未経験者でこの資格試験をめざそうと思う場合には、強い意思とモチベーションを保つ工夫が必要になるでしょう。
インテリアコーディネーター試験合格は通信講座で可能?
通信講座の特徴
- 通学する
- 市販の参考書や問題集を使い独学で勉強する
- 通信講座を利用する
このうち通信講座は、受講申し込みを行うと、テキストや講義内容が収録されたDVDなどが自宅に送付されてきますので、それらを利用して自主的に勉強します。
基本的には自分自身で問題を解いたり、解説を読み進めていくことになりますが、講師から添削を受けたり、模擬試験を受けたりすることもできます。
現在、大手通信教育を中心に複数の団体や会社がインテリアコーディネーターの通信講座を設けています。
通信講座で学ぶメリット
- 通学講座に比べて費用が安い
- 自分のペースで勉強が進められる
- 仕事や家事などと両立しながら勉強できる
- 学校での勉強と異なり、わからないところは繰り返し学習可能
通信講座のデメリット
通信講座を利用する場合は、デメリットもあります。
- 強い意志がなければ勉強を継続することができない
- モチベーションを保つのが難しい
自分自身でしっかりとスケジュールを立て、計画的に勉強を続けることが何よりも大切です。
通信講座の学習スケジュール
通信講座を始める場合、どのタイミングで学習をスタートさせるかということが重要です。
大手通信教育の「インテリアコーディネーター講座」コースでは、平均的な履修期間を約8ヶ月と設定しています。
もちろん、受講者によって多少の個人差はありますが、目安としてこの期間は試験対策に必要になると考えておいたほうがよいでしょう。
インテリアコーディネーターの試験は、毎年秋から冬にかけて行われているため、この時期にすべての学習が完了している状態にするには、逆算して年が明ける頃には受講をスタートさせるスケジュールを組むと試験まで余裕をもって勉強できます。
インテリアコーディネーター試験合格はスクール通学で可能?
講座は受講すべき?
インテリアコーディネーター資格は、通信教育以外にスクールなどの講座に通って勉強することもできます。
インテリアコーディネーター資格試験に確実に合格したいのであれば、講座を受講するのが近道です。
資格試験には専門用語が多く登場し、現場経験がない人では理解しにくいこともあるからです。
ただし、努力をすれば独学でも試験に合格することは十分可能です。
時間や金銭面、また自分に合った勉強法をよく考えて、講座の受講を検討するとよいでしょう。
単発の講座を受講する
独学で勉強しているけれど、苦手なポイントだけ講義を受けたい、またインテリアコーディネーター資格試験の直前のみ受講したい人には、特定の分野に絞った講義が行われる「1日集中講座」などの単発の講座もあります。
特に二次試験では論文にプレゼンテーションもあるため、独学で対策するのは難しい部分があります。
試験に不安があったり、苦手な部分の対策をしたかったりする場合には、こうした単発の講座を利用するのもよいでしょう。
インテリアコーディネーター試験の勉強時間は約300時間・勉強期間は6~8ヵ月
インテリアコーディネーター試験合格までに必要な勉強時間の目安は、300時間程度とされています。
初めて勉強をする人の場合、一次試験で100~200時間、二次試験で100時間ほどは見ておく必要があります。
1日にどれくらいの勉強時間を確保できるのかによって期間は変わってきますが、大手通信教育の「インテリアコーディネーター講座」の標準学習期間は6~8ヵ月ほどに設定されています。
大学や専門学校で専門知識を身に付けてから受験する国家試験に比べると、学習期間は短い方ですが、出題範囲が広いため、学習は決して楽な道のりではないでしょう。
また、二次試験で課される論文や製図などの問題は専門知識がなければ解答することができないため、二次試験対策にも十分な時間をとることが必要です。
令和5年度インテリアコーディネーター試験の受験者数・合格率
インテリアコーディネーター試験の受験者数
インテリアコーディネーター試験の受験者数は、前年度よりやや減少し、令和5年度の受験者数は8,156人となりました。
インテリアコーディネーター試験合格率の推移
インテリアコーディネーター試験の合格率は21%から26%ほどで推移しています。令和5年度の合格率は24.9%となりました。
令和5年度インテリアコーディネーター試験 合格者の男女比率
令和5年度のインテリアコーディネーター試験合格者の男女比は、男性が20.9%、女性が79.1%となっています。
令和5年度インテリアコーディネーター試験 合格者の年齢構成
令和5年度のインテリアコーディネーター試験の年齢別合格者数は、男女ともに30〜39歳が最も多くなっています。
令和6年度インテリアコーディネーター資格試験の概要
試験日 | ・一次試験:令和6年9月17日(火)~10月17日(木) ※受験申込時に希望日時を1つ選択 ・二次試験:令和6年12月8日(日) |
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受験申請 | 令和6年7月16日(火)〜8月31日(土)まで ※二次試験の受験申込も同期間です。 |
試験地 | ・一次試験:全国47都道府県 ・二次試験:北海道・岩手県・宮城県・群馬県・東京都・愛知県・石川県・大阪府・広島県・香川県・福岡県・沖縄県 |
受験資格 | ・一次試験:受験資格に制限はありません。 ・二次試験:過去3年以内に一次試験に合格していること。 |
試験科目 |
一次試験・試験形式:学科(全36問):CBT方式 <1. インテリアコーディネーターの誕生とその背景に関すること> <2. インテリアコーディネーターの仕事に関すること> <3. インテリアの歴史に関すること> <4. インテリアコーディネーションの計画に関すること> <5. インテリアエレメント・関連エレメントに関すること> <6. インテリアの構造・構法と仕上げに関すること> <7. 環境と設備に関すること> <8. インテリアコーディネーションの表現に関すること> <9. インテリア関連の法規、規格、制度に関すること> 二次試験・試験形式:論文・プレゼンテーション試験(180分) <論文> <プレゼンテーション> |
受験料 | <基本(一次+二次)タイプ> 14,850円(消費税含む) 同一年内に一次・二次試験を受験する方。 ※一次試験不合格の場合、二次試験を受験できません <一次試験先取りタイプ> <二次試験(一次免除)タイプ> |
合格発表 | ・二次試験:2月中旬 |
合格率 | 24.9%(令和5年) |
詳細情報 | 公益社団法人インテリア産業協会 |
インテリアコーディネーター試験の難易度まとめ
インテリアコーディネーター試験は、一部の難関国家資格に比べれば難易度は低めで、勉強時間も300時間程度と短期間での合格を目指せます。
しかしながら、合格率は22~25%程度を推移しており、決して高い数字ではありません。
試験内容や形式をきちんと押さえた上で、計画的な学習計画を立てることが重要です。
とくに二次試験の対策は独学では難しいため、不安がある人は通信講座やスクールの利用も視野に入れてみるとよいでしょう。