グランドスタッフの新人時代の思い出(体験談)

最初は座学教育

私が「新人」として、初めて航空業界へ飛び込んだころは、すべてが新鮮に感じられました。

ずっと憧れていた航空会社。真新しい制服に袖を通して、「こんなに近くで飛行機と一緒に仕事ができるなんて!」と夢のような気分で飛行機を間近で見つつ、約1ヵ月間の座学教育が始まりました。

教育プログラムの中には「航空業界用語」というものがあります。この業界に無知だった私は一つひとつを覚えることに楽しみを見出しつつも、必死で頭の中へ詰め込んでいたように思います。

また、教育の翌日には小テストがあったりと大変でしたが、「この教育が終われば、憧れのカウンター業務や、ゲート業務ができる!」と思い、がんばっていました。

航空業界用語の例

それでは、どんなものが航空業界用語なのか例を挙げてみましょう。

アルファベットのABCD…そのまま発音してしまうと、「B(ビー)」と発音したものが、相手には「D(ディ)」と聞こえることがあります。そういった聞き間違いを防ぐために、「B」は「ブラボー(または、ベーカー)」、「D」は「デルタ」と読みます。

A〜Zまで、すべての呼び方を覚えないと、どのアルファベットを相手が言いたいのか、また、自分が伝えたいのかわからず、コミュニケーションがとれなかったり、聞き間違いが発生します。

単なる聞き間違いから、大きなミスへと繋がることもありえます。

どんなミスが起こる?

では、どんなミスが発生するのでしょう? シミュレーションしてみましょう。

ある新人スタッフが、ゲートにいるあなたへ無線機を通してお客様の座席の変更を伝えてきたとしましょう。

「…〇〇便、35Aから39D(ディ)へシート変更を希望されているお客さまがいらっしゃいます。39D(ディ)は空席でしょうか?」

システムで確認したあなたは、39Dを39Bと聞き間違えて、39Dは空席であるにも関わらず、39Bには他のお客様がチェックイン済みであるのを確認し、「塞がっています」と応答してしまいました。

その後、飛行機へお客さまが搭乗します。そのとき、先ほど問い合わせた方が39Dが空いていることに気づいたとしたらどうなるでしょうか?

お客様によっては、「さっき塞がっていると言われたのに、空席じゃないか!」とご立腹になり、客室乗務員へクレームするかもしれません。

こういったことを防ぐために、先ほどの航空業界用語をきちんと覚えて実践する必要があるのです。

意識を高く持ち、やりがいを見出そう

新人時代には、先輩から教えられることをすべてメモに取り、毎日復習しながら覚えていきます。その量は想像を絶するほど多く、学生時代とはまったく違った世界感を感じることでしょう。

グランドスタッフを目指す皆さんも、就職してから「つらいな、嫌だな」と感じる局面に出会うかもしれません。

しかしながら、航空会社の顔ともいえるグランドスタッフの一人として、お客さまから見られるという意識持ち、一つひとつを自分のものにしていく喜びを見出してもらえればと思います。