大工の平均年収はいくら? 給料相場を解説

将来大工職を目指す方や建築業界に興味のある方にとって、収入は気になるポイントです。

大工は建築現場に欠かせない仕事ですが、その給与にはさまざまな要因が影響します。

この記事では一般的な初任給やボーナス、さらに統計データを通じて、大工の収入について解説します。

大工の平均年収・給料の統計データ

大工の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

大工の平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、大工の平均年収は42.2歳で457万円ほどとなっています。

・平均年齢: 42.2歳
・勤続年数: 13.1年
・労働時間/月: 169時間/月
・超過労働: 11時間/月
・月額給与: 336,800円
・年間賞与: 529,100円
・平均年収: 4,570,700円

出所:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
大工の年収の推移_r5

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

大工の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

大工の年間ボーナスが月収の約1.5ヵ月分であるという統計データを元に計算すると、以下のような収入の分布が考えられます。

平均的な一人前の大工の年収: 400万円
月収: 約29万円
手取り(年金、健康保険、所得税、住民税などを差し引いた後の収入):独身者の場合、月々約23万円
ボーナス:約25万円

月の収入は一般的な所得水準として考えられますが、ボーナスはやや少ないという特徴があります。

手取り収入には税金や社会保険料が差し引かれており、こうした負担が収入から減額されることを踏まえる必要があります。

大工の初任給はどれくらい?

大工の初任給は約16万円~17万円前後です。

他の一般的な職種と比較して初期収入はやや低めといえます。

大工の仕事は体力的にもハードであるものの、経験が浅いうちは限られた業務のみを担当し、雑用が多いことが給料の低さにつながっています。

一方で、大工の仕事は独自の技術やスキルを身につけることができ、経験を積んでいくと収入もアップする可能性があります。

親方弟子制度の見直しや、現代的な労働条件を求める動きもあることから、今後の大工の労働環境改善に期待が寄せられています。

大工としてのスキルを磨き、将来的に高収入を得るためには、長期的な視野でのキャリアプランが重要です。

大工の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

大工の年収は、40代前半にかけて伸びており、40〜44歳では596万円となっています。

全年代の平均年収は457万円となっています。

大工の年収(年齢別)_r5

上記グラフの基タイトルは「大工」で宮大工など他職業を含むデータです。

大工の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

10〜99人規模の事業所に勤める大工の平均年収は455万円、100〜999人規模は482万円、1,000人以上の規模では353万円、10人以上規模の事業所平均は457万円となっています。

大工の年収(規模別)_r5

上記グラフの基タイトルは「大工」で宮大工など他職業を含むデータです。

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

大工の福利厚生の特徴は?

大工の福利厚生は、勤め先によって異なるため、就職先を検討する際には気を付けなくてはなりません。

近年は大工不足が続いており、企業が福利厚生を充実させている傾向があります。

具体的には、給料に加えて資格手当や技能手当を支給する企業、住宅補助を提供する企業、社員寮を完備する企業などがあります。

また、新人の育成に重点を置く企業では、社員教育の充実化が進んでおり、研修制度の充実や資格取得支援が提供されています。

こうした取り組みは、未経験から大工としてスタートする人にとって安心した環境といえるでしょう。

ただし、まだまだ福利厚生が不十分な企業も存在します。

したがって、就職を考える際には、慎重に企業を比較検討し、自身のキャリアやライフスタイルに合った環境を選ぶことが重要です。

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大工の給料・年収の特徴

月々の給料は日当で計算される

大工の給料は通常、日給計算が基本です。

この制度は、建設業界特有の事情から生まれました。

建築現場では、天候やその日の仕事量によって作業ができない日が発生することがあります。

例えば、大雨や大雪、台風などの悪天候時には、安全確保のために作業が中断されることがあります。

そのため、日給制を採用することで、大工の給料を出勤日数に応じて計算し、仕事ができない日には給料が発生しないようにしています。

これが、不安定な収入をもたらす一因で、不安定な状況を受け入れる覚悟が必要です。

雨の日や悪天候の日は休みになり、自身の体調や急な事情によっても収入に影響を及ぼすことがあります。

ただし、この日給制の特徴は、がんばり次第で収入を増やすことも可能という点でもあります。

熟練した大工であれば、高い日給単価を得られることがあり、積極的に仕事を受けることで収入をアップさせることができます。

また、体調管理や安全意識を高めることで、怪我や体調不良を減らし、効率的に働くことができます。

大工の収入の不安定さを受け入れつつ、計画的に生計を立てることや、積極的にスキルアップを図ることが、収入を安定させるためのポイントとなります。

実力による収入差が大きい

大工の日給単価は、個人の実力や経験に大きく左右され、幅広い範囲で変動することがあります。

見習いの場合は日給8000円から1万円前後が一般的であり、一人前の大工となると1万5000円から2万5000円前後が相場とされています。

しかし、スキルや経験によって単価には大きな差があり、2倍以上の開きがあることもあります。

ベテラン大工の中には年収1000万円を超える場合もあります。

したがって、大工の収入には大きな幅があることが大前提です。

大工の収入はコツコツと経験を積み重ね、実力を高めることで、平均年収を超える可能性もある職業です。

給与に対する努力とスキル向上が、収入向上につながる重要な要素となります。

今後徐々に給料が上昇していく可能性が高い

建築関連の職業、特に大工や鳶、左官といった職種は、高齢化と人材不足の問題に直面しています。

多くのベテラン職人が引退し、若い世代からの新たな人材が不足しているため、業界全体で人手不足が続いています。

この状況は今後も続き、建築業界全体の人材不足が深刻化する可能性が高いです。

あるシンクタンクの調査によると、現在約30万人いる大工の数は今後急速に減少し、10年後には20万人未満にまで減少すると予測されています。

この人材不足の状況において、一定の技術や経験を持つ大工は非常に需要が高まり、待遇面においても向上が期待されます。

将来的には、優秀な大工がさまざまな企業から引く手あまたとなる可能性があり、給与や労働条件にプラスの影響を及ぼすでしょう。

建築業界への進出や技術習得を検討する若い世代にとって、将来性のある職業として魅力的な選択肢となるかもしれません。

男女で差がある

大工の給料には、男女間で差があります。

大工の仕事は力仕事や高所作業を含む屋外作業が中心で、長らく男性の職業として位置づけられてきました。

そのため男性大工の平均年収は比較的高い傾向があります。

例えば、「令和3年賃金構造基本統計調査」によれば、男性大工の平均年収は約413万円であるのに対し、女性大工の平均年収は約281万円と、男女間で給与差があることがわかります

ただし、近年では建設業界全体で女性の活躍を促進し、女性大工の増加が見られています。

建設業界における女性の定着を促進する取り組みや支援が行われており、女性も大工としてのキャリアを積む機会が増えています。

今後、女性大工の需要が高まるにつれて、給料の男女間差が縮まる可能性もあります。

大工の正社員以外の給料・年収

アルバイト

大工のアルバイトの給料は時給制ではなく、日給制で計算されることが一般的です。

未経験者の場合、日給は約8000円前後となり、経験者になるとその金額がアップすることがあります。

経験やスキルに応じて、日給が1万5000円から2万5000円前後になることもあるでしょう。

大工のアルバイトは、福利厚生を除けば正社員とほぼ同じ給料水準で雇用されることが多いため、アルバイトから正社員への登用が行われるケースもよく見られます。

大工の仕事に興味がある場合、アルバイトから始めて、自分の適性や向き不向きを確かめる人も多くいます。

契約社員

契約社員や派遣社員として働く大工の給料は、アルバイトや正社員と同様に日給計算される場合もあれば、月給制のところもあります。

契約社員の場合、基本的には経験者が対象であり、働く現場や期間、作業内容などがあらかじめ契約で具体的に決まっているため、月給制とされることがあります。

契約社員の給料は、仕事の難易度や契約内容によって大きく異なり、月給20万円から60万円前後と幅広い範囲になることがあります。

契約社員は、一つの職場に長期間留まる必要がなく、異なる現場での経験を積むことができるメリットがあります。

ただし、契約期間が終了すれば基本的に再雇用されないことが多いため、収入は不安定になりがちです。

独立・開業

独立して工務店を経営する大工は、親方や棟梁として知られています。

独立した場合の収入は、個人の技術力だけでなく、営業能力、経営スキル、人脈、職人の管理能力など、さまざまな要素が関係します。

そのため、一概には収入を特定することは難しいですが、一般的な工務店の親方の年収は約600万円前後が相場とされています。

工務店を大規模に運営し、多くの大工を雇用している場合、年収が1000万円以上や2000万円以上になることもあります。

ただし、仕事を獲得できない場合やスタッフの人件費が高額である場合、収益が十分でないことも考えられます。

工務店を経営することは、高いリスクと高いリターンを伴うビジネスであるため、計画的な経営と営業力が重要です。

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大工が収入を上げるためには?

技術を磨く

大工としての技術を高め、高度なスキルを身につけることで、高単価の仕事を受けられるようになります。

特に特殊な技術や専門性を持つことで、需要が高まることがあります。

数多くの仕事をこなす

体力や健康を活かして、多くの仕事をこなすことで、収入を増やすことができます。

仕事の量を増やすことで、収入も増えるでしょう。

専門性を持つ

特定の分野や技術に特化し、その分野で高い評価を受けることができます。

たとえば、宮大工や伝統的な木造建築の専門家として活躍することができます。

独立開業

リーダーシップや経営能力、人脈を活かして、工務店を独立開業することで、収入を大幅に伸ばすことが可能です。

独立開業にはリスクも伴いますが、成功すれば大きな収益を得ることができます。

大工の働き方は多岐にわたりますので、自分の強みや目標に合わせて適切な方法を選択し、粘り強く取り組んでいくことが重要です。

大工の年収のまとめ

大工の年収や給料には、経験や能力、勤務地、雇用形態などが関係します。

初任給は約16万円~17万円前後で、経験を積むことで上昇する傾向があります。

大工は日給制が一般的で、季節や天候に左右されるため、収入は安定しづらい側面もあります。

統計データからは、大工の平均年収が約450万円と示されていますが、腕を磨いて経験を積むことで、大幅に増加する可能性もある職業といえます。