大工の需要・現状と将来性

大工の現状

かつての大工は、アナログな肉体労働がほぼすべてで、上下関係が厳しく旧態依然としているうえ、いわゆる「3K(危険、きつい、きたない)」といわれる仕事の代表格でした。

そうしたネガティブイメージが定着した結果、昨今は大工のなり手が急激に減少し、人材確保のために業界全体で環境改善が図られています。

どこの現場でも徹底した安全管理が行われていますし、労働基準法を遵守してムリに働かされることもなくなり、一昔前に比べれば、給料面や福利厚生面も大きく向上しています。

あわせて業務面でもデジタル化が進んでおり、大工自らが「CAD(設計支援ソフト)」を用いて図面を引いたり、ワードやエクセルで各種書類を作成するケースが増えています。

このため、力仕事や職人技術だけでなく、PCスキルまで求められるようになっているのが大工の現状です。

新人の大工は、これまで雑用しかさせてもらえないこともよくありましたが、CADスキルなどによっては、いきなり第一線で活躍することも可能になりつつあります。

大工の需要

大工に限らず、建設業界全体の需要は、世の中の景気動向に大きく左右されます。

ここ数年は、マンションや大型商業施設、街全体の再開発など大規模な工事が続いていることもあって、新規の住宅着工件数も堅調で、大工の求人数はかなり豊富です。

一方で、上述の通り、大工のなり手は近年非常に減少しており、需要に対して供給が追いついておらず、いわゆる「売り手市場」が続いています。

とくに技術や知識をもたない業界未経験者であっても、やる気さえあれば雇用するという工務店は数多くあり、就職先を見つけること自体はさほど難しくないでしょう。

これから大工を目指す人にとっては、かなりチャンスが大きい環境にあるといえるため、できるだけ多くの就職先を比較検討して自分に合ったところを選びましょう。

大工の将来性

ひと昔前には、大工という職業そのものがなくなるのではといわれていた時期もありました。

住宅建築の分野でも近代化・工業化が進み、工場において天井や壁などを生産できるようになったからです。

機械で大量生産したほうが安上がりなのは事実であり、ハウスメーカーのなかには、徹底したコストカットを図り、低価格を売りにしているところも散見されます。

しかし、時代の流れとしてはむしろ逆で、機械でつくったものよりも、人の手でつくった「あたたかみ」のある家や、工場では対応できないオーダーメイドの家が好まれる傾向にあります。

したがって、高い技術をもち、工場生産した家にはないプラスアルファの価値をつけられる大工の将来性は明るいといえるでしょう。

長期的にみれば、人口減少によって住宅需要そのものが落ち込んでいくことは確実ですが、業界全体が縮小していくなかにあっても自分の腕で顧客のニーズをつかみ、活躍し続けられるはずです。

反対に、これといった強みをもたない大工は、機械に敗北するかたちで、仕事が先細っていく可能性が高いでしょう。

大工の今後の活躍の場

大工の今後の活躍の場としては、まずリフォーム市場が挙げられます。

近年は、家を建て替えたり引っ越したりするよりも、知り合いが多く住み慣れた土地で、愛着がある家にそのまま暮らし続けたいという人が増えています。

医療技術の発達によって健康寿命が伸びていることもあり、住宅のリフォームを検討している人のなかには高齢者が目立つため、とくにバリアフリー化に精通している大工は、大きな需要があります。

また、もうひとつ今後の需要増が見込まれるものとして、天然木材をふんだんに使用した住宅があります。

近年は、健康志向の高まりもあって、天井や内壁、床などを合板やクロス貼りではなく、無垢材で仕上げたいという人が増えています。

そうした自然素材を扱うには、材木を見極めるための豊富な経験が必要になります。

また、下地をつくる通常の大工仕事よりも、表に露出する部分を手掛けるぶん、腕の良し悪しがはっきりと目に見えてわかります。

難易度は格段に上昇しますが、努力してスキルを養えば、安定的に仕事が得られるとともに、高い技術に見合った高収入が得られるでしょう。