大工の見習い・弟子入り・修行

大工の見習い・弟子入り・修行期間

大工のような、世間一般に「職人」と呼ばれる職業で一人前になるには、腕を磨くためにかなり長い修業期間が必要です。

大工志望者は、まず工務店に就職し、見習いとして作業所や現場の清掃と後片付け、資材の運搬、弁当や飲み物の買い出し、道具の手入れなど、親方や先輩大工のための各種雑用作業からスタートします。

見習いの間は、いわゆる大工仕事を実際に手掛けることはほとんどありませんが、親方や先輩大工の仕事ぶりや技術を間近で見て学ぶ、つまり「目で覚える」重要な期間です。

この試用期間は、勤める工務店の方針によって差があり、また個人の能力によっても違いますが、おおむね1年~2年と長く、見習いの間に辞めてしまう人も少なくありません。

雑用をこなしつつ、大工仕事の流れを覚えたあとは親方に弟子入りして、本格的な大工修業に入ります。

大工が身につけなければならない技術や知識は非常に多く、とりあえず一通りのことをこなせるようになるまでおよそ3年、一人前になるには10年くらいかかるとされています。

以下では、長い修業期間を過ごすうえで大切なポイントをいくつかご紹介します。

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大工の修業期間に心掛けること

身につけたい技術に適した就職先を選ぶ

工務店は学校ではないため、教科書に沿って懇切丁寧に教えてくれるわけではなく、また自分が学びたいことを必ずしも教われるとも限りません。

ひとくちに工務店といっても、親方が一人でやっている個人経営のところもあれば、複数の大工が在籍する法人経営のところもあります。

また、事業内容としても新築をメインで請け負っているところもあれば、修繕を専業としているところもあります。

たとえばリフォームを得意にしている工務店だと、更地から建物を建てる作業に携われる機会はかなり限られるため、就職先選びは重要です。

現状、大工業界は人手不足が慢性化しており、未経験者でもやる気さえあれば歓迎するという工務店も少なくないため、就職先の選択肢はかなり豊富にあります。

これから大工を目指す人にとっては、非常に恵まれた環境にあるといえます。

自身が手掛けたい仕事やキャリアを思い描き、それに合致した勤め先を選びましょう。

見られていることを意識する

大工の修業期間中は、つらい、厳しい、つまらないと感じることが多いかもしれません。

とくにはじめの数か月~1年くらいは、大工作業に携わる回数も少なく、モチベーションを保つのに苦労することもあるでしょう。

しかし、自身が作業所や現場でどのように振る舞い、どんな姿勢で仕事をこなしているか、その一挙手一投足は、親方や先輩大工によって注意深く観察されています。

その後の修行の進捗にも大きく影響してくる可能性もあり、常に周りの「視線」を意識して働くことが大切です。

一つひとつの雑用を一生懸命こなしていけば、徐々に周囲から認められて、やがて大工技術を教えてもらえるようになるでしょう。

また、教わったことについては、道具の名称や用途、作業工程など、その都度メモを細かく取って、あとでノートなどにまとめ、同じことを二度聞かなくてすむようにしましょう。

けがに気をつける

大工の修業期間において、親方や先輩が新人に最も望むことは「けがをしないこと」です。

大工は、刃物や重量物を扱う頻度が非常に高く、また高所での作業もあり、ただでさえ危険度の高い仕事ですから、仕事に慣れない新人のうちは、とくに注意して働くべきです。

けがをしてしまうと仕事に穴を開けることになりますし、けが人を出した工務店・現場は安全管理が不十分であるとして信頼を失うことにもつながり、大きな迷惑をかけてしまいます。

慎重のうえにも慎重を期して、集中力を保って一つひとつの作業にあたるとともに、工具類の整理整頓を心掛け、不測の事態が起きないようにしましょう。

けがや事故を予防するためには、前日に早めに就寝する、暴飲暴食を避けるなど、体調管理を整えることも非常に大切です。

経済的な苦しさを覚悟しておく

働いているとはいえ、半人前の大工にできることは限られているため、修業期間の給料面はそれほど多くを望めるわけではありません。

大工の給料は日給換算されるケースが一般的ですが、見習いは日当7,000円前後(地域にもよります)が相場であり、縁故採用などの場合はそれ以下という可能性もあります。

朝から晩まで肉体労働をこなして、手に入るのが7,000円というと、対価としては見合っていないと感じるかもしれません。

しかし「お金をもらいながら育ててもらっている」と考え、経済面は割り切りことが必要です。

また、雨の日は現場作業がストップしますし、工事の受注量によっては休みが続くこともあるため、必ず日給が発生するとも限らず、収入は少ないうえに不安定にもなりがちです。

娯楽に充てる費用を減らすなど、お金は計画的に使わないといけないでしょう。

ただし、工務店のなかには、食事つきの寮を完備しているところも多いため、入寮すれば、それほど生活費の心配はいらないかもしれません。