システムエンジニアになるには
システムエンジニアになるまでの道のり
代表的な道のり
システムエンジニアになるためのルートはいろいろありますが、ここでは代表的で模範的な道のりを解説します。
高校の学科・コースが、システムエンジニアになる上で大きく将来に影響することは少ないですが、念を入れるのであれば高校の段階から「理系コース」に進むのが望ましいでしょう。
というのも、システムエンジニアは「論理的思考力」が必要な仕事であり、高校から理系コースに進めば、早いうちから論理的思考力を身につけられるためです。
高校卒業後は、大学もしくは専門学校に進学し、「理工学部」「情報学部」「情報処理学部」「IT学部」などの学部・学科に所属してIT知識やコンピュータ知識を学ぶ人が多いです。
その後、新卒の就職活動時に、SIerなどのIT企業のシステムエンジニア職にエントリーし、採用されることでシステムエンジニアとなるパターンが代表的な例です。
なお、大手IT企業の場合、「大卒」のみに限定して新卒採用することもあるため、大手志望の人であれば専門学校よりは4年制大学に進学するほうが適しているでしょう。
ルートはさまざまある
システムエンジニアになる上で、特別必須となる学歴や経歴などは存在しません。
必ずしも理系に進まなければならないわけではなく、大学や専門学校を卒業しないとなれないわけでもありません。
文系学部出身でシステムエンジニアになる人もたくさんいますし、なかには高校卒業後にそのままシステムエンジニアとして就職する人もいます。
他にも、一度社会に出て全く違う職業を経験してから、システムエンジニアに転職してくる人もいます。
IT業界は慢性的な人手不足を抱えていることもあり、未経験者の採用も積極的に行っており、窓口は広いです。
なるためのルートやさまざまあるため、必ずしも周りの人と同じ道を進まないといけないというわけではありません。
システムエンジニアになるための学校と学費(大学学部、専門学校)
システムエンジニアになるための学校の種類は、大きく以下4種類に分けられます。
・大学
・専門学校
・高等専門学校
・スクール
どの学校を選ぶかは本人の自由ですが、システムエンジニアとして働く人の多くは、4年制大学もしくは専門学校を卒業しています。
とくに一部上場の大手IT企業に勤めるシステムエンジニアの場合は、4年制大学もしくは大学院を卒業した人が過半数を占めます。
とはいえ、そもそもの話をすれば、システムエンジニアになる上で法的に必須の学歴とはありません。
実際に、高校卒業後にそのままシステムエンジニアとして就職する人も一定数おり、学校に通って専門知識を学んだりはせずに、そのまま異業種から未経験で転職してくる人もいます。
システムエンジニアになるための大学
大学の特徴
大学の特徴は、専門学校よりもアカデミックに、理論にも重点を置いた教育がなされていることです。
専門教科では、システム工学やコンピュータ理論など、技術的な理論についての科目が用意されています。
もちろん理論ばかりではなく、実践的な力を身につけるため、最近では専門学校のようにプログラミングなど実践的な科目を設置する大学も増えているようです。
加えて、工学や情報処理のみならず、語学や幅広い一般教養を身につけられるのも、大学ならではの特徴といえるでしょう。
大学に通うメリット・デメリット
大学に通うメリットは、ITについてアカデミックに学べることに加え、「学歴」という大きな武器が手に入ることです。
日本の新卒の就職活動では、まだまだ学歴が重視される傾向があります。
とくに、大手IT企業や大手SIerの場合、4年制大学以上の学生のみを採用対象としている会社もありますで、大学に通わないと就職のスタートラインに立てない恐れもあります。
一方で大学に通うデメリットは、学費が高いこと、専門学校と比べて社会に出るのが遅くなることです。
大学の学費は?
大学の学費の目安としては、国立大学の場合は4年間で約250万円、私立大学の場合は4年間で約400万円~550万円が相場となってきます。
かつ上京して一人暮らしをするとなると「生活費」も発生します。
家賃・食費・光熱費など必要最低限の生活だけでも、年間100万円程度は掛かってくるでしょう。
さらに難関大学を狙う場合、「予備校費用」なども考える必要が出てきます。
どのような学部・学科が有利か
システムエンジニアを目指すのであれば、理系の「理工学部」や「情報工学部」を選択し、「電気工学科」「電子工学科」「情報システム学科」「情報科学科」などの学科で学ぶというのが、最もオーソドックスな道です。
<大学の有利になりやすい学部・学科の例>
・理工学部
・情報工学部
・情報学部
・IT学部
・情報システム学科
・情報科学科
・情報処理科
など
大学によっても名前はさまざまですが、「情報」「IT」「コンピュータ」などのネーミングがされている学部はシステムエンジニアに通じる学問が学べることが多いです。
なお、大学の場合は、たとえ別学部や別学科の講義であっても、ある程度はカリキュラムに組み入れることはできます。
システムエンジニアになるための専門学校
専門学校の特徴
IT系の専門学校では、大学のように理論をアカデミックに学ぶというよりも、よりシステムエンジニアの仕事に近い、具体的で実践的な知識やスキルを学べます。
「基本情報技術者試験」や「マイクロソフト オフィススペシャリスト」といった関連資格の取得を目指した講義など、就職をより強く意識したカリキュラムが組まれていることが多いことも、専門学校の特徴です。
専門学校に通うメリット・デメリット
専門学校に通うメリットは、「実践的なスキルを学べる」ことです。
カリキュラムに座学だけでなく開発実習が含まれる学校も多く、同級生たちと協力しながら実際のシステムエンジニアの仕事に近い作業を体感することもできます。
より将来の仕事がイメージしやすくなるという点も、専門学校ならではのメリットでしょう。
一方で専門学校に通うデメリットは、「学歴として弱い」ことです。
新卒の就職活動において、専門学校卒の学生は、大学卒や大学院卒の学生に比べ、学歴的に下に見られることがやはり多いです。
とくに学歴を厳しく見られやすい大手IT企業を志望する人であれば、専門学校よりも大学に進んでおいた方が確実でしょう。
専門学校の学費は?
専門学校の学費は、卒業までの2年間で総計約220万円~250万円が相場となってきます。
ただし学校によっては、3年制、4年制のコースを用意していることもあり、そのような長期コースに進む場合の学費は総額400万円~500万円にもおよび、私立大学に進学するのとほとんど変わらない額の出費となってしまうこともあります。
なお、専門学校であっても「奨学金制度」を用意している学校もあるため、学費が足りない場合は奨学金を利用してみるのも一案です。
どのような学科・コースが有利か
ポピュラーな学科としては、「IT学科」、「SEプログラマ科」、「情報ビジネス科」など、いわゆる情報処理系の学科がシステムエンジニア向きです。
「システムエンジニアコース」「システム開発コース」など、よりシステムエンジニアに特化したコースを用意している専門学校もあります。
<専門学校で有利になりやすい学科・コースの例>
・IT学科
・SEプログラマ科
・情報ビジネス科
・情報処理科
・情報工学科
・システムエンジニアコース
・システム運用コース
・ITエンジニアコース
・ITスペシャリストコース
など
「高等専門学校」という選択肢も
大学や専門学校のほか、「高等専門学校(高専)」という学校も選択肢として挙げられます。
高等専門学校とは、中学校を卒業した後に入学が可能な学校で、修業期間は一般の高校と異なり「5年制」になります。
高等専門学校は工学・技術系の専門教育を行う学校が多く、卒業すると大学より一つ下の「準学士」という学位をとれます。
学歴としても教育内容としても、大学と専門学校のちょうど中間とイメージしておくとわかりやすいでしょう。
中学の早い段階からシステムエンジニアを目指している人であれば、高校ではなく高等専門学校の方に進学し、5年間学び、卒業後はそのままシステムエンジニアとして就職するというルートも描けてきます。
「スクール」という選択肢も
「スクール」というのは、民間企業などが運営する勉強の場です。
大学や専門学校のように、学校教育法が定める正規の学校ではないため、卒業しても学位は得られず、学歴にはなりません。
ただしその分、簡単に入学が可能であり、授業の出席欠席も厳しくない場合がほとんどです。
自分の都合に合わせて学ぶことが可能であり、また嫌になって途中で辞めてしまっても学歴にカウントされません。
学ぶ内容に関しては、大学よりも専門学校に近く、実習などを交えつつシステムエンジニアになる上での実践的な知識・スキルが学べます。
学費に関しては、スクールよってまちまちではありますが、高くとも50万円~60万円程度であり、大学や専門学校に比べると安めです。
なおスクールに通うのは、システムエンジニアへの転職を希望する既卒の社会人が割合として多めです
そのほか、Wスクールとして通う大学生なども一部みられます。
独学でシステムエンジニアになれる?
ITやコンピュータに関する用語や技術など、机上の知識については、書店などで販売されている市販の参考書でも学ぶことは可能です。
実践的なスキルに関しても、今の時代自宅のPC環境を使って簡易サーバーや簡易データベースの構築にチャレンジすることも可能であり、自主的に経験することもできます。
したがって、意欲さえあれば大学や専門学校に通わずとも、独学でシステムエンジニアになるための基礎的なスキルを学ぶことは可能です。
ただし、システムエンジニアとして学ぶべき範囲は膨大にあるため、大学や専門学校が用意する洗練されたカリュキラムに沿って学んだほうが効率はよいでしょう。
また学校に通うと、同級生と一緒にシステム開発の実習などをする機会もあるため、システムエンジニアとして必要となる「コミュニケーション力」や「チームプレイ」を身につけられる利点もあります。
システムエンジニアの学校選びのポイントは?
教育内容的には、理論をアカデミックに学びたければ大学、実践的なスキルを学びたいのであれば専門学校やスクールという切り分けになってきます。
加えて、もう一つよく考えておきたいのが「学歴」です。
日本の企業には、まだまだ学生の学歴を重視する企業も多く、とくに一部上場の大企業などであれば、新卒で募集するのは大学卒が前提と考えている会社もあります。
したがって、大手企業を目指す人や就職活動を確実に進めたい人であれば、できるだけ大学に進むのがよいでしょう。
対して、「学歴が重視されるような大手は希望していない」「あまり学費を掛けたくない」「できるだけ早く社会に出たい」といった人であれば、無理に大学だけに拘る必要はなく、専門学校やスクールも選択肢となってくるでしょう。
必要な学歴は?
「NTTデータ」「日本ユニシス」「日本IBM」などの名高い大手IT企業の場合、4年制大学以上の学歴をもつ学生を新卒採用の対象としているケースが多いです。
そのような企業であれば、高卒や専門学校卒では不利になり、最悪の場合は選考にエントリーすらできないこともあります。
したがって、将来的に大手IT企業への就職も視野に入れている方は、4年制大学でITについて学ぶのが賢明です。
対してベンチャーや中小のIT企業であれば、さほど学歴は重視していない傾向ですので、高卒や専門学校卒でも問題なく就職活動が進められるでしょう。
システムエンジニアの資格・難易度
資格は必要か?
システムエンジニアとして働く上で法的に必須の資格はなく、未資格でシステムエンジニアになることも可能です。
資格はあくまで「対外的な評価を高める」「知識やスキルをアップさせる」ために取得するものです。
ただ、就職面接においては、自主的に資格の勉強して合格した人は、ITに対して高い熱意や関心のある人物として評価されることが多いでしょう。
取得しておくとよい資格① ITパスポート試験
「ITパスポート試験」は、ITの基礎的な技術知識やITを活用したビジネス知識など、ITとの基本を幅広い視点から学べる国家試験となります。
現在はさまざまな企業でITスキルが求められる時代となっているため、業界問わずこの試験を受験する人は増えてきています。
難易度:★★☆☆☆
取得しておくとよい資格② 基本情報処理技術者試験
「基本情報処理技術者試験」は、ITパスポート試験の上位版となる国家試験です。
ITパスポート試験同様に、コンピュータの仕組みから始まり、ソフトウェア・セキュリティ・ネットワークなど幅広いIT分野の問題が出題されます。
かつ午後試験はプログラミングを題材にしているため、プログラミングの基礎も学べます。
この資格はIT業界の登竜門的な資格ともなっており、システムエンジニアとして就職すると入社後に取得が強制される会社もあります。
IT業界未経験者ではそれなりに難易度は高くなりますが、努力すれば合格は可能な範囲であり、学生のうちに取得しておくとITパスポート試験以上によい評価を得やすいです。
難易度:★★★☆☆
取得しておくとよい資格③ 応用情報技術者試験
「応用情報技術者試験」は、基本情報処理技術者試験の上位版となる国家試験です。
こちらもITに関する知識が幅広く問われ、さらに「ソフトウェア開発」や「プロジェクトマネジメント」関連の知識も深く問われてきます。
現役のシステムエンジニアもしくは同等の知識がある人を前提としており、IT業界未経験者ですと、簡単には合格できない高難易度となります。
ただし、基本情報処理技術者試験のようにプログラミングや数的な問題はあまり出題されないため、文系学生はあえてこちらの試験を受ける人もいるようです。
難易度:★★★★☆
取得しておくとよい資格④ システムアーキテクト試験
「システムアーキテクト試験」は、上流工程を担当する上級システムエンジニア向けの国家試験です。
単にITの技術的な知識だけでなく、各種専門的な業務分析や業務知識も求められ、またそれらを駆使して、最適な要件定義や設計が行えるスキルが問われます。
極めて高難易度な試験であり、ベテランのシステムエンジニアでも合格できるのはごく一部です。
システムエンジニアとして経験を積んだ後に、キャリアアップの一環で取得する資格となります。
難易度:★★★★★
システムエンジニアに向いている人
システムエンジニアに向いている人の特徴としては、おもに次のようなものが挙げられます。
・勉強意欲、成長意欲がある
・コミュニケーション力がある
・論理的思考ができる
・几帳面で丁寧な作業ができる
・健康管理やストレス管理ができる
など
とくに重要になってくるのは、勉強意欲や成長意欲です。
システムエンジニアは専門的な知識を用いるため、覚えるべきこと膨大にあり、積極的に学んでいく姿勢や自分を高めていく姿勢が常々求められます。
「ITやコンピュータに精通したい」「システムを使って社会貢献したい」など、理由は何であっても構いませんが、成長意欲の原動力となる動機がある人がやはりシステムエンジニアとして成長しやすいでしょう。
システムエンジニアのキャリアプラン・キャリアパス
一人前になるまでのキャリアパス
システムエンジニアが一人前になるまでには、少なくとも1~3年の年月が掛かります。
入社からしばらくは教育期間・勉強期間となり、現場には出ることはできても、先輩社員のOJTを受けながら働くのが基本です。
その間にシステムエンジニアとしてのスキルやシステム開発の進め方などを覚えていき、数年が過ぎるとようやく新人扱いが終わり、一人前として見られてきます。
とくに大手IT企業の場合は教育期間が長い傾向があり、なかには入社5年程度までは教育期間として考えている企業もあります。
一人前になったあとに必要な努力
一人前となった後は、先輩社員の助けなく一人単独で社外のプロジェクトに常住したり、小さなチームのリーダーポジションを任されたりすることも増えてきます。
どんどんと責任ある仕事を任されたりもしますので、一人前になった後も日々スキルアップの努力が必要となります。
具体的に、たとえば次のような努力が必要となってきます。
・システムエンジニアとしてのIT知識を深める、最新のものにアップデートする
・システム開発の工程管理や工数見積もりなどのスキルを学ぶ
・チームマネジメントやリーダシップを身につける
・プロジェクトマネジメントのスキルを身につける
・部署のコスト管理や後輩の指導など、自社業務の経験も積む
・「応用情報技術者試験」や「システムアーキテクト試験」などの上級資格に挑戦し、市場価値を高める
など
時には、業務時間外に自主的に勉強したり、講習などに参加する必要もでてくるでしょう。
システムエンジニアとして成長するには、そのような影での努力も重要になってきます。
その先のキャリアプラン
システムエンジニアには多彩なキャリアルートが用意されており、将来的には当初とまったく異なった仕事している可能性もあります。
システムエンジニアが描けるキャリアプランとしては、次のようなものが挙げられます。
<システムエンジニアのキャリアプラン>
・技術を突き詰め、スペシャリストなエンジニアとして引き続き現場で活躍する
・「プログラマー」「ネットワークエンジニア」など、別のITエンジニア職にキャリアチェンジする
・「IT営業」「ITコンサルタント」「経営コンサルタント」「データサイエンティスト」
など、システムエンジニアの経験が活かせる類似職種にキャリアチェンジする
・「プロジェクトリーダー」や「プロジェクトマネジャー」といったマネジメント職にキャリアアップする
・課長や部長といった自社の管理職に移行する
・独立し、フリーランスのシステムエンジニアとして活躍する
など
IT社会となった現在、システムエンジニアとして培った経験やスキルはさまざまな場所で生かせます。
経験豊富で多彩な知識をもつシステムエンジニアになれれば、それこそ選べるキャリアの選択肢も増えてくるでしょう。
システムエンジニアの雇用形態
システムエンジニアの雇用形態は、おもに次のようなバリエーションがあります。
<システムエンジニアがとれる雇用形態>
・正社員(契約社員)
・派遣社員
・パート、アルバイト
・フリーランス
・副業
全体的な割合として多いのは「正社員」です。
システムエンジニアは一人前になるにも時間のかかる職業であるため、正社員と採用し、長期計画で育てていく会社が多いです。
とはいえ、昨今は「派遣社員」や「パート・アルバイト」などの非正規雇用として片手間に働くシステムエンジニアも増えてきており、さらには「フリーランス」として独立し、正社員以上の収入を得る人も目立つようになってきました。
政府の働き方改革も進むなか、この流れは今後よりエスカレートするという意見もあります。
正社員のシステムエンジニア
仕事内容の特徴
正社員のシステムエンジニアであっても、新人のうちは雑用などがメインとなり、派遣社員やパート・アルバイトとさほど変わりません。
入社数年が過ぎると、徐々に責任ある業務を任かされるようになり、「設計」や「要件定義」などの「上流工程」を担当する機会も増えてきます。
さらに正社員の場合、チームのリーダーポジションを任されるも多く、将来的にはパート・アルバイトのエンジニアを纏める立場になることもあるでしょう、
その他、部署の業績管理や後輩エンジニアの育成など、自社の管理職業務も年数を重ねると任されるようになってきます。
正社員のシステムエンジニアの給料
正社員のシステムエンジニアの平均的な給料は、月収は40万円前後、年収はボーナス込みで500万円~600万円が目安となってきます。
ただし、システムエンジニアはスキルや経験年数によっても収入は大きく変化し、まだ入社したばかりの新人であれば月収20万円弱が一般的です。
また正社員の場合は、月の固定給の他にも「住宅手当」「家族手当」「資格手当」などさまざまな手当が支給されます。
正社員のメリット・デメリット
正社員のシステムエンジニアとして働くメリット・デメリットは次のようになります。
<メリット>
・給料水準が高い、経験年数と共に給料が上がっていく(年功序列制の場合)
・各種手当や福利厚生の恩恵を受けられる
・基本的には定年までの雇用が確立されている
・教育制度が充実、将来会社を支える人材として丁寧に育てて貰えることが多い
・上流工程の仕事やリーダー業務など、濃い経験やスキルが積みやすい
など
<デメリット>
・責任ある業務を任せられる分、仕事がハードになりやすい
・現場での仕事と自社の管理職業務の2つの重圧に挟まれやすい
・「基本情報技術者試験」などのIT資格の取得が強制されることがある
・リーダー研修や自己啓発研修などへの参加が強制されることがある
・派遣社員やパート・アルバイトのように気軽に仕事を辞めにくい
など
派遣のシステムエンジニア
仕事内容の特徴
派遣社員の場合は、正社員の補佐的な立ち位置となり、正社員に振られた仕事を淡々とこなしていくケースが多いです。
業務については「構築」や「運用・保守」などの「下流工程」を担当することが多くなります。
ただし、経験やスキル次第では、派遣社員であっても責任ある業務を任されることもあります。
派遣のシステムエンジニアの給料
都内であれば時給2,500円~3,500円の求人が多く、事務や販売などの一般的な派遣の仕事に比べるとやや高めの時給です。
ベテランエンジニア向けの派遣求人では時給が4,000円を超えるものも見られ、人によっては正社員以上の月給を得られることもあります。
ただし派遣社員の場合、ボーナス・各種手当・福利厚生などの恩恵が受けられないことが多いため、給料の数字はその点を踏まえた上で考える必要があります。
派遣のメリット・デメリット
派遣のシステムエンジニアとして働くメリット・デメリットは次のようになります。
<メリット>
・時間給当たりの単価は、正社員より高いケースもある
・正社員に比べると仕事の責任や負荷が少ない
・派遣契約期間さえ終われば、気軽に仕事を辞められる
・さまざまな職場で働くける
など
<デメリット>
・ボーナス等がないため、正社員に比べ給料の総額は低くなりやすい
・責任ある仕事が任されにくい分、経験やスキルが積みにくい
・「職歴」として正社員よりも弱くなる
・正社員やパート・アルバイトのように「直接雇用」でないため、部外者的に扱われることもある
など
パート・アルバイトのシステムエンジニア
仕事内容の特徴
パート・アルバイトも派遣社員と同じく、正社員の補佐的な立ち位置となります。
「構築」や「運用・保守」などの下流工程の仕事が多く、時には雑用のようなことを任せられることもあります。
システムエンジニアとはいっても「設計」などの専門的な業務を任されることは少なく、IT知識やスキルはさほど問われないことが多いです。
パート・アルバイトのシステムエンジニアの給料
パート・アルバイトのシステムエンジニアの給料は、都内であれば時給1,500円~2,000円の求人が多く、コンビニ店員などの一般的なアルバイトに比べると少々高めです。
システムエンジニアは、パート・アルバイトであっても週5日勤務やフルタイムの出勤を求められることも多く、月20日程度働けばアルバイトであっても月収20万以上を得ることも可能です。
パート・アルバイトのメリット・デメリット
パート・アルバイトのシステムエンジニアとして働くメリット・デメリットは次の通りです。
<メリット>
・正社員に比べると仕事の責任や負荷が少ない
・大学生などであっても気軽に働ける、IT業界の現場を学べる
・ベンチャーIT企業などであれば、そのまま「社員登用」される機会も多い
・あくまで一時的な雇用なため、辞めたくなったら気軽に辞められる
など
<デメリット>
・正社員や派遣社員に比べ給料が少ない
・責任ある仕事が任されにくい分、経験やスキルが積みにくい
・「職歴」として正社員や派遣社員よりも弱くなる
・あくまで一時的な雇用のため、急遽解雇されることもあり安定性は乏しい
など
フリーランスのシステムエンジニア
仕事内容の特徴
フリーランスの場合、経験やスキル次第で仕事内容や働き方は変わっていきます。
経験豊富でプロフェッショナルな人材であれば、大規模システムの基本設計など、重要度の高い仕事にフリーランスとして携われることもあります。
また「一カ月だけスポット要員として構築作業に参加」といったように、ピンポイントに働くけるのもフリーランスエンジニアならではの働き方です。
いずれにしてもフリーランスは実力が物をいいますので、経験やスキルが高いほど選べる仕事も増え、仕事の選択肢は広がっていきます。
フリーランスのシステムエンジニアの給料
フリーランスは原価で交渉が可能なため、まったく同じ仕事であれば正社員時代よりも収入が高くなりやすいです。
目安としては、「構築」や「運用」などの下流工程の案件は月単価50万円、「基本設計」や「要件定義」などの上流工程の案件は月単価70万円程度が相場といわれますが、本人のスキルや交渉によって大きく上下します。
高度な技術、特殊な経験を持っているエンジニアなどであれば、月単価100万円を超えることもあるようです。
一方でほとんどスキルのない人がフリーランスとなると、収入は派遣社員やパート・アルバイトと同程度、もしくはそれ以下になることもあり得ます。
フリーランスのメリット・デメリット
フリーランスのシステムエンジニアとして働くメリット・デメリットは次のようになります。
<メリット>
・実力次第で、正社員以上の収入を得られる
・実力次第で、自分の望む働き方、自分に合った働き方ができる
・フリーランスには定年がないため、実力次第で何歳まででも働ける
・働く時間や休日をある程度自由にコントロールできる(ただし案件にもよる)
・自由に動ける分、スキルや人脈を作りやすい
など
<デメリット>
・収入が不安定であり、波がある
・「厚生年金」、「健康保険(社会保険)」に加入できない、代わりに待遇では劣る「国民年金」、「国民健康保険」に加入する必要がある
・トラブルなどが起きた場合に守ってくれる会社や上司はおらず、責任は自分で負う必要がある
・病気やケガをした場合、収入が途絶えるリスクがある
・正社員に比べ社会的信用が低く、ローンなどが組めないことがある
など
副業のシステムエンジニア
システムエンジニアの副業事情
システムエンジニアとしての経験やスキルがあれば、本業の傍ら「副業」として働くことも可能です。
たとえば、月~金は正社員のシステムエンジニアとして働き、土日はアルバイトのシステムエンジニアとして単発の案件をこなす人もいるようです。
また、昨今は「クラウドソーシング」系のサービスを通して、副業がよりスムーズに行えるようになってきています。
クラウドソーシング系のサービスを使えば、営業経験がなくとも副業の案件を見つけられ、中には空いた時間に在宅で対応可能な案件もあります。
ひと昔前に比べると、システムエンジニアの副業のハードルは下がりつつあります。
まだまだ副業に肯定的な会社は少なめ
経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査」によれば、IT業界で兼業・副業を認めている企業は、全体の15%程度に留まっているという調査結果出ています。
IT業界というと副業に寛容的なイメージもありますが、実際は副業を認めていない企業が大多数を占めている状況のようです。
会社の就業規則で副業を禁止している場合、無理に副業すると就業規則違反として処罰の対象となる恐れがあります。
サラリーマンのシステムエンジニアが副業をする場合には、自分の会社の就業規則にも十分に注意を払う必要があります。
未経験でシステムエンジニアを目指せる年齢は?
IT業界は慢性的な人手不足を抱えており、なかなか人材の集まりにくいベンチャーや中小のIT企業の中には、「未経験OK」「年齢問わず」でシステムエンジニアを募集している企業も見られます。
そのような求人が存在する以上、年齢問わず何歳からでもチャレンジ可能ともいえます。
ただし現実的には、未経験で目指す人の多くは20代であり、30代でも遅い部類に入ります。
企業側としても、同じ未経験者であれば若い人を優先する傾向にあるため、30代以降でシステムエンジニアを目指す場合は、相応の覚悟と準備が必要になってきます。
とくに30代以上でかつIT関連の経験がまったくない人であれば、就職活動で苦戦する可能性は高まります。
自主的に資格を取得するなど、何かしらのアドバンテージを用意する必要が出てくるでしょう。
システムエンジニアは高卒から目指せる?
ベンチャーや中小のIT企業の中には、学歴問わずシステムエンジニアを募集している会社もあります。
そのような企業であれば学歴関係なく応募可能であるため、高卒や中卒の人であっても問題なくシステムエンジニアに挑戦可能です。
また高卒の人の場合は、まずは「プログラマー」や「オペレーター」などさらに学歴の敷居の低い職種からIT業界に入りこみ、経験を積んだのちにシステムエンジニアにステップアップするのも一つのルートといえるでしょう。
システムエンジニアは女性でもなれる?
システムエンジニアの業務は特に力仕事なども発生しないため、男女平等に活躍できます。
もちろん女性でもなることは可能であり、実際に現場で活躍している女性システムエンジニアもたくさんいます。
昨今はIT業界の人手不足解消に向け、女性人材にもよりいっそうの注目が集まってきており、システムエンジニアを目指す女性にとっては追い風が吹いてきている状況です。
ただし、IT業界全体としては男性のシステムエンジニアが割合として多く、女性はまだまだ少数派です。
また、IT業界は長時間残業や休日出勤などがやはり多めの業界であり、育児中の女性やシングルマザーの女性などにとっては、家庭や子育てとの両立が難しくなることもあります。
近年は見直されつつもありますが、その点は頭に入れて置くべきでしょう。