小学校教員の教職課程で勉強すること・教育実習では何を学ぶ?
小学校教師になるために学ぶことは
教養分野
教職に就くにあたり理解しておかなければならない教養分野は大きく教育原論と教育心理学という2つに分類されます。
教育原論では、学級経営や学習指導要領、日本や世界における教育の歴史や情報教育、日本国憲法・教育基本法・学校教育法などの教育に関する法律について勉強します。
とくに法律は多くの条文がありますが、暗記ではなく、その本質を理解することが大事です。
教育心理学は、カウンセリングの方法や心理テストの方法などを勉強します。
悩みを抱える児童にどのように寄り添っていくかということや、保護者との関係の作り方などを学ぶのがカウンセリングです。
心理テストは、子供の内面を探るために絵画療法や箱庭療法、アンケートテストなどの仕方を学びます。
専門科目
小学校教師は中学・高校教師と違い、特定の科目のみ指導するわけではないため、学ぶ範囲が非常に多くなります。
具体的には国語・算数・理科・社会・体育・音楽・家庭・図工・生活・英語の各科目の授業の計画の立て方や授業の進め方などを学びます。
ピアノ・鉄棒・水泳などの実技教科については、机上だけでなく実技の指導法も学びます。
そして、これらの集大成として教育実習というものがあります。
小学校では1ヵ月間の間、母校に通勤して指導教官から学級経営や授業の仕方、児童の指導の仕方などを学びます。
実習の最後に、実際に授業計画を立てて授業をする研究授業というものがあり、反省会も含めて自分の指導の仕方を評価されます。
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教育学部の入学から卒業までの流れ
小学校教師は教職課程のある大学(通信含む)、短大で学ぶことができます。
一般的には大学の教育学部に入学し、教職課程を修了し、小学校教諭普通免許状1種を取得する人が多いとされています。
ここでは4年制大学に通学しながら教職課程を学ぶ学生の入学から卒業までの流れを見ていきましょう。
大学1年
教育学部に入学すると、教職概論・教育新理論・教育制度論などの講義を通じ、教職の意義・基礎的な理論を学びます。
さらに小学校教師は全科目を教える必要があるため、1年生では国語・算数・理科・社会・体育・音楽・家庭・図工・生活・英語の内容を学びます。
ほかにも子どもたちとの活動やボランティア活動など、子どもたちの実態を学ぶプログラムが準備されていることも多いです。
大学2年
国語・算数などの内容を、「実際にどのように子どもたちに教えるのか」を学ぶ授業があります。
教科ごとに授業があり、授業計画書である「学習指導案」を作り、模擬授業を行います。
教育学部らしく指導方法に関する授業が多くなる年次です。
大学3年
大学によっては3年次からゼミが始まるところも多く、より深く教育や子どもについての研究をすすめます。
さらに教材開発演習など教材について研究、子どもたちの興味関心を引き出せるような教材づくりを学びます。
また介護等体験特例法により、小学校教師を目指す人は介護等体験を行うことが定められました。
このねらいは高齢者や障害者に対する思いやりの心をもった人に、次世代の人材育成にかかわってほしいというものです。
大学によっては2年次で行うこともありますが、特別支援学校で2日間、社会福祉施設で5日間、生徒や利用者の補助や介助を行います。
なお、教員採用試験に向けて、大学3年の秋くらいから受験勉強を始める人が多いです。
大学4年
学びの集大成ともいうべき教育実習があり、実際に小学校や中学校で教壇に立ち、教員に向けての実践力を磨いていきます。
また2年間所属したゼミの卒業論文制作を行います。
教員採用試験の一次試験は7月から始まるため、受験勉強に忙しく、大学独自の対策講座を受講するほか、予備校にも通う学生もいます。
このように大学4年次は忙しくなるため、教育実習を3年次に行う大学もあります。
小学校教職課程の教育実習の流れ
教育実習の内容
教育実習はおもに自分の卒業した小学校(母校)で1ヵ月行いますが、国立大学や私立大学などでは自校の付属小学校で行うこともあります。
実習期間中は教員になったつもりで学校へ毎日通勤するため、服装はスーツで登校し、学校で着替えます。
朝8時半ごろから実習開始になりますが、余裕をもって登校する必要があるため7時半には学校にいます。
お昼は教室で子どもたちと一緒に給食を食べ、実習終了は17時頃になります。
実習期間の前半
前半2週間は指導教官のクラスに入り、指導教官の授業を見学させてもらったり、同じ学年の他のクラスの授業を見学したりします。
見学するだけでなく、気付いたことやわかったことをノートに書き込んでいくこともします。
休み時間は子どもたちと一緒に外で遊ぶほか、給食や掃除も一緒に行います。
この2週間は見学が中心になりますが、クラブ活動や委員会活動などは一緒に参加します。
実習期間の後半
3週目からは実際に授業に参加します。
指導教官と一緒にチームティーチング形式で授業を行い、慣れてきたら、一人で授業をさせてもらいます。
この週あたりから、実習の最後に行う研究授業の準備も行っていきます。
研究授業というのは、校内の教員に自分の授業を観察してもらい、反省会でアドバイスをもらうものです。
そのため、早めに、授業をしたい科目を決め、研究授業の日に行う内容の所まで教科書の内容を進めておきます。
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教育学校の雰囲気・学校生活
教育学部に入学したからといって、必ずしも全員が小学校教師を目指しているわけではありません。
国立大学だから入学した人、大学のネームバリューに惹かれた人などもいます。
とはいえ、就職先が小学校、中学校になる人が多いという点では、他学部と比べると突出しています。
教職員免許を取得し、教員採用試験に合格して教員になるための過程として、教育学部を志望する人が多いといえるでしょう。
教育に携わりたいという志を持った学生が集まってきますので、全体として落ち着いていて真面目な雰囲気があります。
教員採用試験という共通の目標もあるため、切磋琢磨しながら勉強したり、予備校情報の交換をしたりなど仲間意識も強くなります。