小学校教師の仕事はつらい? 大変なこと・しんどい理由とは?
日々の授業はもちろんですが、子どもたちに対して掃除や食事の仕方など「学習以外の生活面の指導」までしなければならず、小学校教師の負担は増える一方です。
ストレスやプレッシャーから精神疾患を患う人や、働き方への不安・不満を抱え、退職の道を選ぶ人も多く存在するのが現状です。
ここでは、小学校教師がつらいと感じることや、抱えがちな悩みなどについて詳しく解説していきます。
小学校教師のつらいこと・大変なこと
時間外業務が多い
小学校教師は、多くの場合、担任として1クラスを担当し、すべての科目の授業を行います。
幅広い分野についてオールマイティにこなす能力が求められ、毎日授業の下準備に毎日追われます。
そのほか、宿題の点検、テストの作成と採点、通知表、学級だよりの作成、イベントの企画準備など、業務内容を挙げたらキリがありません。
授業の合間の休憩時間には児童との関わりや次の授業の準備があるため、先に挙げたような業務は、放課後に残業をして片付けるしかないのです。
過労死ラインとされる月100時間にせまる勤務を行う小学校教師も少なくないとされ、最近では社会問題にもなっています。
さらに小学校教師の残業は一部の上席からの指示を除き、自発的なものとされ、残業代の支給がないことが一般的です。
「子どもたちによりよい授業や指導を」と思えば思うほど、自分のプライベートな時間を犠牲にしなくてはならない現状があります。
児童数が多い
小学校教師は、担任を受けもつ学級の児童の性格や学力、人間関係、家庭の様子などを把握しておかなければなりません。
1クラスあたりの児童数は、低学年の1、2年生を除き、30~40人学級の自治体が多いとされています。
児童数の増減によって1学級の児童数も変化するため一概には言えませんが、30人を超える児童を1人の教師が受けもつとなると大変です。
とくに、友だち関係には配慮が必要となります。
一人ひとりの児童の性格と人間関係を照らし合わせ、班編成や当番、係などのグループ編成を行わなければならないからです。
失敗すると、仲間はずれやいじめにも繋がってくるため、神経を使います。
40人の児童に細やかに目を配ることは、実際には難しい場面もあり、歯がゆさを感じる局面もあります。
児童の安全面確保
小学校には6~12歳の児童が通学しており、低学年の児童の場合、危機管理能力や予見能力が未熟です。
遠足や運動会などのイベントだけでなく、プール、調理実習や裁縫などの授業も含めて、児童が安全にケガなく過ごせるように神経をつかいます。
休憩時間も児童同士のケンカや、トラブルによるケガがないように見守る必要があります。
児童数が多い中で、子どもたち一人ひとりをフォローすることは大変です。
また、最近では通学路での安全確保も大きな課題となっており、小学校教師にとって気の休まる時はありません。
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小学校教師の悩み
学習以外の指導の難しさ
小学校は、算数・国語といった各教科の学習以外に、今後生きていく上で必要な力を養う場でもあります。
小学校教師の重要な業務として「生活面の指導」がありますが、最近は昔に比べ、その比重が高まって小学校教師の負担が増えています。
本来、掃除や箸の持ち方、食事のマナー、服の着替え方などの基本的生活習慣は家庭で身につけることです。
しかしながら、現代では「共働き」や「一人親家庭」なども増えており、なかなか生活習慣を家庭で指導をするのが困難になっている状況です。
そのため、小学校で教師が保護者代わりとなって、細かく指導をするしかない場合が増えています。
生活面での支援・指導は、多くの時間が費やされると同時に、家庭との連携が必要なことも多いです。
しかしながら、保護者から教師に丸投げされたり、児童からは反発があったりと、指導が難しく悩むことは多々あります。
保護者対応
小学校は中学や高校に比べ、家庭との距離が近いという特徴もあります。
当然、保護者と話す機会も多く、保護者からの要望や問い合わせに対応することも小学校教師の仕事です。
児童の学習相談やいじめなどの問題など、素早く真摯な対応が求められるものもあります。
最近は「モンスターペアレント」といわれるような理不尽な要求をする保護者も増えており、その対応に悩まされる教師もいます。
小学校教師を辞める理由で多いものは?
小学校教師を辞める理由として多いのは、以下のような内容です。
- 精神疾患(うつ病、適応障害など)
- 家庭の事情
- 働き方や待遇への不安・不満
精神疾患
小学校教師は時間外労働が多く、肉体的にもハードな仕事です。
さらに生徒や家庭の多様化により、生活面の指導も難しくなっています。
理不尽な保護者からの要求、学級運営の難しさにより、精神的に疲弊してしまう教師も増えています。
とくに不慣れな新人教師は、精神疾患を理由とした退職が増加しています。
本来、新人には先輩や上司が細かく指導してあげられればよいのですが、ベテラン教師も忙しいため、なかなかきめ細かくフォローする余裕もないのが現場の実態です。
また、公立小学校教師には定期的な異動がつきものですが、異動地域によっては家庭環境が劣悪で、生活水準も低く、問題を起こす児童が多い小学校もあります。
学級崩壊、保護者のネグレクト、貧困問題など教師一人では抱えきれない問題が山積みになり、うつ病を発症してしまう人もいます。
家庭の事情
結婚や出産、介護などのライフスタイルの変化により、退職せざるをえないという場合もあります。
たとえば、配偶者の転勤についていくために、教師を辞める女性教師は多いです。
働き方への不安・不満
小学校教師は授業の下準備などが必要で、時間外労働はつきものです。
しかし、多くの場合残業代は出ません。(※残業を想定して、基本給に調整額が上乗せされています)
子どものために時間を費やして残業時間が増えれば増えるほど、時給換算した際の金額が減ってしまうというジレンマがあります。
昨今では、土曜日に授業を行ったりクラブ活動を行ったりする学校も多く、休みも週1日と一般企業より少ないケースもあります。
夏休みなどの長期休暇中に有給をまとめて消化することもありますが、基本的に通常の平日に有給を取得することはタブー視されているのが現状です。
自分のプライベートを犠牲にせざるを得ない働き方に疑問を感じ、一般企業に転職する人もいます。
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小学校教師の悩みや苦労のまとめ
小学校教師は時間外労働が多いうえ、休みも少なくとても大変な仕事です。
昔に比べて基本的生活習慣が身についていない児童や、複雑な家庭環境で生活する児童も多く、教師の負担は増える一方です。
「よりよい指導を」と思えば思うほど自分の時間が犠牲になってしまうのが、小学校教師の現実です。
少しずつ労働環境の改善が進んでいくものと考えられますが、まだまだ厳しさもあると考えておくべきでしょう。