司書の大変なこと、苦労(体験談)
見えない仕事
司書の業務内容については、資格を取得する際に一通り学習するのですが、現場で働き始めるとその作業の多さに驚きます。
司書の仕事は、カウンターでの貸出・返却業務やレファレンスサービス(利用者の探している資料を検索する)だけだと思われがちですが、実際には「見えない仕事」に従事している時間の方が圧倒的に長いのです。
例えば、新着本を棚に並べるまでには、何段階もの手順を踏みます。まず、カバーや帯(本の下部に巻かれているキャッチコピー等を記載した紙)を外し、どのページも自然に開くように「開きぐせ」をつけます。
そして、作者や出版社、出版年など本の詳細な情報をコンピュータに入力して蔵書登録をします。さらに、蔵書管理のためのバーコードや本の背に貼るラベル(請求記号を記載)を印字し、貼り付けます。最後に、傷や汚れ防止のための透明なシールカバーをかけます。
これが一冊だけならそれほど時間はかかりませんが、何十冊も受入作業をするのですから大変です。
私の場合、この「見えない仕事」を効率よく一気に済ませるために、生徒が下校した19時ころから残業として行なっていました。
日々、勉強
司書は、図書館を利用する人が快適に本の世界を楽しんだり、知りたい事柄を調べて納得したりするための「縁の下の力持ち」。そのためには、自分の興味のある分野以外の情報にも高くアンテナを立てていなければなりません。
また、積極的に他校の図書室や地域の図書館を見学したり、図書だよりを取り寄せて見せてもらったりしていました。利用者の要求は多岐に渡りますから、それに応えるべく常に努力することを求められます。
公共物取り扱いのマナー
「苦労」とは違うかもしれませんが、やはり図書を無断で持ち出されたり、延滞の末、返却せずに卒業を迎えてしまったりすると悲しいです。また、落書きをされたり、ページを破られたりした本の修繕も、沈んだ気持ちで行なっていました。
「本はみんなのもの」という意識が低いために、公共物を取り扱う際のマナーが守られない場面ではとても心が痛みます。