司法書士と行政書士の違いは? 仕事内容・難易度・年収・学費まで詳細比較
しかし、両者には業務内容はもちろん、難易度や年収など多くの違いがあります。
この記事では、司法書士と行政書士の違いをわかりやすく解説します。
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司法書士と行政書士の違い一覧
司法書士と行政書士の違いを一覧表にしました。
司法書士 | 行政書士 | |
---|---|---|
業務内容 | 法務局・裁判所への提出書類 | 都道府県や市町村への提出書類 |
難易度 | 超難関、勉強時間は1400~2000時間 | 勉強時間は500~800時間 |
学費 | 高い。専門学校に通う人が多い | 独学が可能 |
平均年収 | 250~600万円 | 500万円未満 |
司法書士と行政書士の資格取得の参考にしてください。
以下では、司法書士と行政書士の違いについて、仕事や内容や難易度などを個別に解説します。
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司法書士と行政書士の5つの違い
この章では、司法書士と行政書士の違いを以下の5つの点から解説します。
司法書士と行政書士の違い1.業務内容
- 司法書士=法務局・裁判所への提出書類の作成
- 行政書士=都道府県や市町村への提出書類の作成
司法書士と行政書士の業務内容の違いとしてわかりやすのは、作成した書類の主な提出先です。
司法書士が法務局や裁判所への提出書類を作成するのに対し、行政書士は国や都道府県、市町村といった各行政機関への提出書類を作成します。
したがって、司法書士が手掛ける主な書類は以下の通りです。
- 不動産登記
- 商業登記
- 訴状・告訴状
一方、行政書士が手掛ける書類は次の通りです。
- 官公庁向けの各種許認可の申請書類
- 権利義務・事実関係の証明書類
ただ、相続関係・会社設立・民間契約書の作成など、司法書士・行政書士の双方が関係する業務も複数あり、線引きについてはやや曖昧な部分もあります。
近年では、顧客からの依頼にワンストップで対応できるようにするため、両方の資格を取得した「ダブルライセンス」で活躍する人も増えています。
司法書士と行政書士の違い2.資格の取得方法
司法書士、行政書士ともに、業務を行うためには国家資格が必要です。
基本的に司法書士は司法書士試験、行政書士は行政書士試験を受験して合格しなければなりません。
いずれも年1回の試験であり、司法書士試験は毎年7月、行政書士試験は毎年11月に実施されます。
ただし、どちらの資格についても、試験に合格する以外に、公的機関で一定年数働くことによって資格を得る道もあります。
- 司法書士は、裁判所または検察庁において事務官を10年以上勤め、法務大臣の認定を得ると、試験なしに資格を取得できます。
- 行政書士は、国家公務員や地方公務員として17年~20年以上行政事務を手掛けると、無試験で行政書士の資格を得られます。
事務官や公務員として勤める道は、資格取得の確実性は高いといえますが、長い年月がかかることはネックです。
これから司法書士・行政書士を目指す人は、試験を受けるほうが現実的かもしれません。
司法書士と行政書士の違い3.難易度
- 司法書士試験=司法書士試験の合格率は例年3~4%前後、勉強時間は1400時間~2000時間
- 行政書士試験=合格率はは6~13%、勉強時間は500~800時間
合格率だけを単純に比較しても司法書士試験のほうが難しいといえますが、実際の難易度は司法書士試験のほうが、行政書士試験より格段に上とされています。
これは、行政書士試験は一定の得点率を上げた受験者全員が合格となる「絶対評価」であるのに対し、司法書士試験はあらかじめ合格者数が決まっており、受験生同士で争わないといけない「相対評価」であるためです。
合格までに必要な勉強時間を比較しても、司法書士はおおよそ1400時間~2000時間である一方、行政書士は500時間~800時間とされており、司法書士試験のほうがより長い期間にわたる努力が必要です。
司法書士と行政書士の違い4.学校・学費
- 司法書士=民間の資格専門学校などに通って集中的に対策することが一般的
- 行政書士=独学で合格することも可能
司法書士試験、行政書士試験とも、試験に受験資格はありません。
学歴や年齢に関係なく誰でも受けることが可能なので、通わないといけない学校があるわけではありません。
ただし、どちらの試験も、憲法・民法・商法などの法律科目が出題割合の多くを占めるため、大学の法学部などに進学することが望ましいかもしれません。
また、双方の試験は難易度が明確に異なります。
司法書士試験は、民間の資格専門学校などに通って集中的に対策することが一般的で、大学と予備校の「ダブルスクール」で1日の大半を勉強に充てる人もいます。
一方、行政書士は独学で合格することも不可能ではありません。
そのため、司法書士を目指すほうが、学費がかさみやすいといえます。
司法書士に独学で合格できる? 勉強時間はどれくらい?
行政書士合格までの勉強時間はどれくらい?
司法書士と行政書士の違い5.年収
- 司法書士の年収=250万円~600万円
- 行政書士の年収=大半が500万円未満
司法書士の年収は、司法書士事務所などに勤めている場合、事務所の規模や個人の実力にもよるものの、年収250万円~600万円が相場といわれています。
司法書士という職業自体がやがて独立することを前提としているため、勤務司法書士全体の年齢が低いことも要因として挙げられます。
しかし、それほど高収入が見込めるわけではないようです。
独立後の収入はさらに個人差が大きくなり、年収1000万円を超える人がいる一方、食べていくのがやっとという人もいます。
これに対し、行政書士は行政書士を専業としている人もいれば、会社員をしながら副業として行政書士業務を行っている人もおり、一括りにはできませんが、大半の行政書士は年収500万円に満たないようです。
近年は行政書士の資格保有者が増えており、顧客獲得競争によって受け取れる報酬単価が下がっていることから、行政書士の資格だけでは生活できないという声も聞かれます。
独立開業している行政書士の多くは、関連する他の国家資格とあわせて業務を請け負っています。
双方を比較した場合、資格取得の難易度から考えても、司法書士のほうが行政書士より高収入を得られる可能性が高いでしょう。
司法書士と行政書士の違いを踏まえてどちらの資格取得を目指すべき?
- 司法書士=法律に詳しく勉強に集中できる環境がある人向け
- 行政書士=法律の知識がない人・仕事をしながら資格取得を目指す人向け
勉強時間をたっぷりとり、将来は安定的に働きたいのであれば司法書士がおすすめ
司法書士は試験の難易度が高く、資格保有者数が限られているぶん、行政書士よりも安定的に働けるといえます。
これに対し行政書士は、資格の取得自体は比較的容易であるものの、行政書士資格単体で十分な収入を得られる人は一握りで、働きだした後もほかの資格取得を目指して勉強し続ける必要があるでしょう。
このため、法律関係の知識が十分にあり、どっしりと構えて勉強だけに集中できる環境にあるなら、司法書士を目指すほうがおすすめです。
反対に法律についてそこまで詳しくなく、自分に法律家としての適性があるか確信が持てない人や、あるいは社会人としてすでに働いており、仕事しながら勉強したい人は行政書士がおすすめです。
両方の資格を取得する人もいる
司法書士、行政書士ともに、それぞれの資格保有者にしかできない「独占業務」が存在しているため、最も望ましいのは両方の資格を取得することです。
他者との差別化を図って顧客を獲得するために、「〇〇司法書士行政書士事務所」という看板を掲げて、ダブルライセンスで営業している人も大勢います。
試験で問われる知識も重複しているため、両方の資格取得を目指すメリットは大きいといえるでしょう。
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「司法書士と行政書士の違いは?」のまとめ
司法書士と行政書士には、仕事内容や資格の取得方法、難易度など、さまざまな面で違いがあります。
司法書士が法務局や裁判所への提出書類を作成するのに対し、行政書士は国や都道府県、市町村といった各行政機関への提出書類を作成します。
ただ、近年では顧客からの依頼にワンストップで対応できるようにするため、両方の資格を取得した「ダブルライセンス」で活躍する人も増えています。
資格試験の難易度は、司法書士試験の合格率が例年3~4%前後、行政書士試験の合格率は6~13%です。
資格取得の難易度から考えても、司法書士のほうが行政書士より高収入を得られる可能性が高いでしょう。