裁判所事務官になるには
裁判所事務官になるまでの道のり
裁判所事務官になるためには、裁判所が独自に実施する「裁判所職員採用試験」に合格することが必要です。
採用試験は平成24年度より、これまでの「裁判所事務官採用Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種」という区分がなくなり、現在では「総合職試験」と「一般職試験」の2つの区分に分かれて試験が実施されています。
1. 「裁判所事務官採用Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種試験」および「家庭裁判所調査官補採用Ⅰ種試験」が廃止され、「裁判所職員採用試験(総合職)」と「裁判所職員採用試験(一般職)」に再編
2. 総合職試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」の2種類の試験を実施
3. さらに、総合職試験は「裁判所事務官」と「家庭裁判所調査官補」の2つに区分
4. 一般職試験は「大卒程度試験」と「高卒者試験」の2種類の試験を実施
なお、総合職試験(大卒程度試験)と一般職試験(裁判所事務官・大卒程度試験)は、年齢が「21歳以上30歳未満」であれば学歴に関係なく受験が可能です。
ただし、裁判所事務官の総合職を目指す場合には、一般的には4年制大学や大学院に進学してから試験に臨む人が多いといえるでしょう。
裁判所事務官の資格・難易度
2019年度の、裁判所事務官の採用試験結果(大卒以上)は以下のようになっています。
<総合職試験(裁判所事務官)>
・院卒者試験:10.4倍
・大卒程度試験:53.7倍
<一般職試験(裁判所事務官)>
・大卒程度区分:7.1倍
上記の試験結果のとおり、総合職の大卒程度試験の合格率は「2%以下」であり、かなりの難関試験であるといえるでしょう。
裁判所事務官になるための学校の種類
裁判所事務官の採用試験のうち、「院卒者試験」については大学院卒の学歴が必要となります。
一方、「大卒程度試験」は「大卒レベルの知識を問う」という意味であり、必ずしも大学を卒業している必要はありません。
ただし、試験においては一般教養に加え、おもに「憲法」と「民法」の知識が高いレベルで問われるため、大学では法学系の学部を専攻し、それらを体系的に学んでおいたほうが有利といえるでしょう。
さらに、法学部出身であれば、裁判所事務官から裁判所書記官にキャリアアップする際の研修期間が2年間から1年間に短縮されるというメリットもあります。
裁判所事務官になるためにはどんな学校に行けばいい? 法学部が有利?
裁判所事務官に向いている人
裁判所事務官に問われる資質としてまず挙げられるのが、「几帳面さ」と「柔軟性」です。
裁判所事務官の仕事は、その一つ一つが裁判の進行に大きく影響するため、決してミスは許されません。
裁判では不測の事態や急な予定変更なども多く、臨機応変に対応できる柔軟性も必要となるでしょう。
それらに加えて、裁判の当事者や各関係者に状況を説明する機会も多々あるため、「コミュニケーション能力」も重宝される仕事です。
裁判所事務官のキャリアプラン・キャリアパス
裁判所事務官からは、さまざまなキャリアアップを目指すことが可能です。
最初に挙げられるのが、裁判所事務官として数年勤務した後、試験・研修を受けることでなれる裁判所書記官です。
その後はそのまま裁判所書記官としての道を進んでいく人もいますが、さらに試験を経て以下のような職業に就くこともできます。
・簡易裁判所判事(簡易裁判所の裁判官)
・執行官(差押えや競売など、強制執行を専門とする職業)
・副検事(検察官の一種)
日々の業務に加えて勉強をするのは大変なことかもしれませんが、努力次第で色々な職を目指せるのが裁判所事務官の魅力です。
裁判所事務官を目指せる年齢は?
裁判所事務官になるためには裁判所職員採用試験に合格する必要があり、この試験は公務員試験であるため年齢制限が設定されています。
そのため、裁判所事務官を目指せる年齢は、試験の年齢上限である「30歳」までとなります。
裁判所事務官の総合職を目指す場合、一般的には4年制大学や大学院を卒業後に試験を受ける人が多いため、受験者の年齢層は21歳から23歳の人が多いようです。
裁判所事務官は高卒から目指せる?
裁判所事務官は高卒から目指すことも可能です。
最終学歴が高卒の人の場合は、一般職の「高卒者試験」を受験する人が多く、高校卒業後に独学で合格を目指す人もいます。
それ以外にも、総合職の「大卒程度試験」と一般職の「大卒程度試験」も学歴に関係なく受験ができますが、「21歳以上30歳未満」という年齢制限があるので注意しましょう。
裁判所事務官は女性でもなれる?
裁判所というと、「堅苦しく男性ばかりの職場」に思えるかもしれませんが、実は裁判所の中ではたくさんの女性が裁判所事務官として活躍しています。
裁判所事務官の仕事は書類の受付や裁判記録の整理など、「几帳面さ」が求められる職業です。
さらに、裁判がスムーズに進行していけるように、各部署との調整や当事者サポートなどの「コミュニケーション能力」も大切になります。
このような点から、女性の几帳面さや人あたりの良さは裁判所事務官として非常に重宝される能力であり、近年では女性の裁判所事務官の採用が増えているようです。