裁判所事務官になるためにはどんな学校に行けばいい? 法学部が有利?
裁判所事務官になるための学校の種類
「裁判所で働く」というと法学部出身でなければいけないイメージを持つかもしれません。
たしかに、憲法や民法などの知識は採用試験で必要となりますが、裁判所事務官では法学部出身以外の方もたくさん活躍しています。
裁判所事務官になるためには「裁判所職員採用試験」に合格することが必要で、この試験は
- 総合職試験(院卒者区分)
- 総合職試験(大卒程度区分)
- 一般職試験(大卒程度区分)
- 一般職試験(高卒者区分)
の4つの区分に分かれています。
このうち「院卒者区分」は大学院を卒業している必要がありますが、「大卒程度区分」は年齢条件さえクリアしていれば学歴に関係なく受験が可能となっています(21歳以上30歳未満)。
そのため、大学に進学するかどうか、もしくは専門学校に通って短期間で試験対策をおこなうべきかは、それぞれのメリット・デメリットをよく比較した上で考えるとよいでしょう。
一般的には、大卒程度区分を受ける場合は4年制大学に進学後に受験する人が多いようです。
裁判所事務官になるための大学
前述のとおり、裁判所事務官になるために大卒資格は必須ではありませんが、大学に進学して幅広い知識を身につけておくことは試験にも有利に働くでしょう。
どの学部が良いのかについては、法学部を選ぶことで裁判所事務官の試験で対策必須となる法律科目にも対応しやすくなります。
また、法学部を卒業することで、裁判所事務官から裁判所書記官にキャリアアップする際の研修期間が「2年間から1年間に短縮される」というメリットもあります。
反対に、大学に進学してから裁判所事務官を目指すデメリットとしては、やはり学費の高さが挙げられるでしょう。
一般的な金額でいえば、国立大学なら200〜250万円、私立大学なら350〜400万円程度が入学から卒業までの4年間で必要となります。
また、法学部だからといって、それだけで試験に対応できるだけの知識を身につけられるとは限りません。
実際には法学部での勉強と並行して、試験対策のために公務員の予備校に通っている人も少なくないのです。
裁判所事務官になるための専門学校
高校卒業後、公務員の専門学校に通って裁判所事務官の試験対策をおこなう人も多いです。
公務員の専門学校では、裁判所事務官だけでなく「国家公務員一般職」や「検察事務官」など、様々なコースが設置されている場合がほとんどです。
そのため、他の公務員と併願しながら裁判所事務官を目指す人もいます。
在学期間は1〜2年間ほどの場合が多いですが、専門学校ごとのカリキュラムによっても大きく異なります。
必要な学費も学校ごとで差はありますが、1年間の通学にかかる費用はおおよそ30〜50万円程度が相場となるでしょう。
そのため、大学に比べて学費を抑えることができ、試験対策のみに集中することから準備期間が短くなるというメリットがあります。
ただし、裁判所事務官を大卒程度区分で受験する際は「21歳以上」の年齢制限がある点には注意しておきましょう。
専門学校によっては夜間課程や通信課程もあるため、自分の状況に適したコースを選ぶと良いでしょう。
独学で裁判所事務官になれる?
ここまでの説明のとおり、裁判所事務官の試験のうち院卒者区分以外であれば、年齢条件などをクリアしていれば学歴に関係なく受験ができます。
そのため、大学や専門学校に通わずに、独学で裁判所事務官を目指すことも可能となっています。
公務員の試験対策本はたくさん発売されているため、独学の場合は裁判所事務官の試験範囲をカバーする参考書や過去問題集などを購入して勉強することになるでしょう。
独学にかかる勉強期間はもともとの学力にも大きく左右されますが、一から勉強を始める場合は「1年間程度」の勉強期間を確保している人が多いようです。
実際に独学で裁判所事務官に合格する人もいますが、公務員試験について全くの無知の状態から合格を目指すことは、少しハードルが高いかもしれません。
公務員の予備校のなかには短期間集中型のコースが用意されている場合もあるので、そちらの活用も併せて考えていくのがおすすめです。
裁判所事務官の学校選びのポイントは?
裁判所事務官は年齢条件などをクリアしていれば、学歴に関係なく目指すことが可能な職業です。
高校卒業後は大学や専門学校へ進学しても良いでしょうし、もしくは独学での合格を目指すことも間違いではありません。
裁判所は「実力主義」の傾向が強いことから、裁判所事務官として働くうえでは学歴による差を感じることはほとんどないでしょう。
自分自身が裁判所事務官のどの試験区分で受験したいのか、裁判所事務官以外の公務員も併願して受験するのかによっても選ぶ基準は変わってきます。
進学先を選ぶ際には、それぞれのカリキュラムや立地、学費、試験の合格率、就職のサポート体制など、さまざまな観点から比較して最適な学校を選んでいきましょう。