高卒から裁判所事務官を目指すには?
高卒でも裁判所事務官になれる?
裁判所事務官は大卒以上でなければ働けないと思っている方もいるかもしれませんが、実は高卒からでも目指すことができる職業です。
裁判所事務官の試験には4つの区分があり、総合職試験(院卒者区分)、総合職試験(大卒程度区分)、一般職試験(大卒程度区分)、一般職試験(高卒者区分)に分かれています。
このうち、最終学歴が高卒の人の場合、一般職の「高卒者区分」を受験する人が多く、高校卒業後に独学で合格を目指す人もいます。
ただし、これらの試験区分によって初任給に差がある点に注意しておくとよいでしょう。
初任給は裁判所ウェブサイトで公開されており、総合職(院卒者区分)が253,800円、総合職(大卒程度区分)が222,240円、一般職(大卒程度区分)が216,840円、一般職(高卒者区分)が178,320円となっています。
高卒者区分の初任給は他の試験区分と比べると少し低いですが、住居手当や扶養手当など、公務員らしく充実した福利厚生制度が整っている点が魅力です。
高卒で受験できる裁判所事務官の採用試験
受けられる試験の種類
裁判所事務官は採用試験の種類ごとで、異なる受験資格が設定されています。
それぞれの受験資格は以下のようになっています。
・総合職(院卒者区分)…30歳未満であり、大学院修了及び修了見込みの方
・総合職(大卒程度区分)…21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込みの方も受験可)
・一般職(大卒程度区分)…21歳以上30歳未満の方(21歳未満で大学卒業及び卒業見込み、短大卒業及び卒業見込みの方も受験可)
・一般職(高卒者区分)…高卒見込み及び卒業後2年以内の方(中学卒業後2年以上5年未満の方も受験可)
「大卒程度区分」とは試験の難易度を表すものであり、大卒以上でなければ受験できないという意味ではありません。
そのため、最終学歴が高卒の人は、高卒者区分のほかに「一般職・大卒程度区分」、「総合職・大卒程度区分」も年齢制限をクリアしていれば受験が可能となっています。
「一般職(高卒者区分)」の試験内容
実際には、最終学歴が高卒の人は一般職の高卒者区分を受験する人が多いため、その試験内容を確認しておきましょう。
<2019年度 一般職(高卒者区分)の試験内容>
1次試験
・基礎能力試験(多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験
知能分野24題、知識分野21題
・作文試験
文章による表現力、課題に対する理解力などについての筆記試験1題
2次試験
・人物試験
人柄、資質、能力などについての個別面接
このように、採用試験では基礎能力試験のほかに作文試験や面接試験もあるため、これらも十分に対策しておくことが重要になります。
高卒から裁判所事務官になった後のキャリアパス
高卒から裁判所事務官になった後はどのようなキャリアパスがあるのでしょうか?
一般職の高卒者区分に合格した場合でも、大卒程度区分で合格した人と同じように各裁判所の「裁判部門」や「司法行政部門」などに配属されます。
裁判部門では、裁判所書記官のもと、呼出状や訴状などの各種書類の作成・送付、開廷の準備、弁護士との打ち合わせなどをおこなうほか、裁判員制度関連の業務も担当します。
司法行政部門では、総務や人事、会計などをおこなっており、一般企業における事務職のような役割を担っているといえるでしょう。
その後も、裁判所事務官として一定期間の勤務経験を積むことで、「裁判所書記官」へのキャリアアップへの道も開かれています。
裁判所は「実力主義」の傾向が強いため、高卒で入った場合でも、自分の努力次第でキャリアを伸ばしていくことが可能な職業だといえるでしょう。