マンション管理人の年収・給料はいくら? 収入は上がる?
一方で、その年収や給料は低めに抑えられているのが現状です。
この記事では、マンション管理人の給与や初任給、ボーナス、統計データなどを解説します。
マンション管理人の給与の特徴や給料が低めである理由や、その背景を探っていきましょう。
マンション管理人の平均年収・給料の統計データ
マンション管理人の平均年収・月収・ボーナス
賃金構造基本統計調査
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、マンション管理人の平均年収は、54.3歳で375万円ほどとなっています。
・平均年齢:54.3歳
・勤続年数:10年
・労働時間/月:160時間/月
・超過労働:9時間/月
・月額給与:266,500円
・年間賞与:555,900円
・平均年収:3,753,900円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
マンション管理人の手取りの平均月収・年収・ボーナスは?
マンション管理人の年収は、おおよそ150万円から300万円前後といわれています。
ただし、これには週3日から4日程度の勤務や時短勤務の人も含まれています。
地域によっても異なりますが、週5日、1日8時間前後のフルタイム勤務の場合、年収はおよそ200万円程度が一般的です。
マンション管理人は、主にマンションの管理を委託された管理会社から社員が各マンションに派遣されるという形で雇用されることが一般的です。
一部の大きな管理会社では、派遣会社を介して派遣されることもあります。
そのためマンション管理人のほとんどは非正規雇用で、契約社員やパートとして雇われていることから、ボーナスは基本的に支給されません。
収入は主に月々の給料のみです。
フルタイムのマンション管理人の年収が200万円であれば、月収は約16.7万円です。
しかし、社会保険料や所得税などの税金を差し引くと、手取りは月に約13万円から14万円程度になります。
マンション管理人の平均年齢は55.4歳であり、他の職業と比べて高齢層が多いことが特徴です。
定年退職後に年金などの収入がある場合は、十分な月収であるといえるでしょう。
マンション管理人の初任給は15万円から17万円
マンション管理人の初任給は、おおよそ15万円から17万円程度です。
時給の場合も、通常900円から1000円前後が一般的で、先述した平均データとほぼ同水準です。
未経験者に関しては、マンションに配属される前に研修が行われることが一般的ですが、研修期間中でも時給は変わりません。
マンション管理人の勤務先の規模別の年収(令和5年度)
マンション管理人の年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。
10〜99人規模の事業所に勤めるマンション管理人の平均年収は356万円、100〜999人規模は342万円、1,000人以上の規模では390万円、10人以上規模の事業所平均は375万円となっています。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
マンション管理人の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
マンション管理人の年収を年齢別に見ると、300万円~500万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、35~39歳の559万円です。
全年代の平均年収は375万円となっています。
マンション管理人の福利厚生は手厚いとはいえない
マンション管理人の福利厚生は、十分手厚いとはいえません。
前述した通り、雇用形態の多くは契約社員や嘱託、パートなどの非正規雇用が中心であり、正社員並みの福利厚生を受けられるケースは少ないです。
各勤務先によって異なりますが、最も多いのは制服の貸与と交通費の支給程度です。
有給休暇が認められている勤務先も限られています。
一部の大手マンション管理会社は、従業員の働きやすさを考慮し、福利厚生を充実させているところも存在しますが、こうした企業は非常に人気であり、求人倍率が高い傾向にあります。
なお、定年は概ね65~70歳前後のところが多いですが、シニア層が多く働いていることから、健康であれば年齢に関係なく働けるという企業も増えてきています。
20代で正社員への就職・転職
マンション管理人の給料・年収の特徴
キャリアを重ねても昇給しない
マンション管理人の給与の大きな特徴は、昇給の見込みが非常に限られているという点です。
新人や中堅、ベテランであっても、給与は基本的に同じで、仕事内容や役職の昇進もほとんどありません。
マンション管理人の業務は、主に清掃や巡回などの単純作業が中心であり、経験やスキルによる差が少ないため、こうした点が昇給が難しい要因となっています。
ただしこのような給与体系は、マンション管理人として働いている人々の多くがシニア世代であることから問題になりにくくなっています。
20代や30代など若いうちからキャリアを積むというよりも、50代や60代で第一線を退いた後、セカンドキャリアとして働く職業としてとらえたほうがよいでしょう。
住み込みだと給料が高い
マンション管理人の求人には、「住み込み形式」と呼ばれる働き方があります。
これは、通勤ではなく、担当するマンションの一室に居住しながら管理業務を行うスタイルです。
住み込みの場合、通勤型と比べて給与はわずかに高く、おおよそ月給18万円から19万円程度が一般的です。
給与に大きな差はありませんが、住み込みの場合は入居する部屋の家賃が無料なため、家計への負担が軽減されます。
さらに住み込みの場合、夫婦で雇用されることも多く、配偶者が「補助管理人」として働くことで、両者の収入を合算することができます。
夫婦での合算収入は、少なくとも月30万円以上になるでしょう。
地域格差が大きい
マンション管理人の需要は、エリアごとのマンションの供給戸数に大きな影響を受けます。
都市部には多くのマンションがあるため、そこでは多数のマンション管理人が必要とされ、その結果、求人条件も良いものが集まりやすい傾向があります。
一方、地方ではマンション自体が少ないため、マンション管理人になりたい志望者が多く、その結果、給与が低い傾向があります。
特に東京などの大都市圏では、月給20万円を超える求人や、時給1200円以上の求人も珍しくありません。
一方、地方では月給15万円程度や時給800円程度の求人が見受けられることもあります。
人口の少ないエリアでは、マンション管理人の求人自体が限られることもありますので、地方での就職を考える場合は難しさがあるかもしれません。
人手不足でも給料はなかなか上がっていない
マンション管理人は業界全体で人手不足が続いており、求人数が増えていることは事実です。
しかし、給料の上昇はそれに比例していないのが現状です。
求人が増加しているにもかかわらず給料が上がらない主な理由の一つは、競争が激しく、マンション管理人になりたい人が大勢いるということです。
そのため、求人者が多く、需要と供給のバランスが取れていない状況が続いています。
また、一部の場合では、土日だけや短時間勤務などの勤務体制を採用することで、労働条件を柔軟にする試みも見られます。
これにより、働きやすさを提供しつつ、求人を増やそうとする動きが見受けられます。
しかし、その代わりに給与水準を維持することが難しく、給料の上昇が困難になっています。
また、シニア世代の年金受給者がマンション管理人として働く場合、給与をもらいすぎると年金が減額されてしまう場合があります。
そのため、給料が低く抑えられているという一因もあります。
マンション管理人が収入を上げるのは難しい
マンション管理人の収入を上げる方法は、基本的に限られています。
資格取得やスキルアップがあっても、ほかの職業のようにその結果が給与アップに直結することはほとんどありません。
一部の例外として、都心に近い場所に引っ越して高級マンションで「コンシェルジュ」として働く方法が考えられます。
しかし、それでも大幅な収入アップにはつながらない可能性があります。
より高収入を求める場合は、マンション管理会社や不動産会社の正社員に転職することが一つの選択肢です。
学歴や職歴に関係なく、国家資格を取得することで正社員としての採用も可能です。
例えば「管理業務主任者」や「宅地建物取引士」などの資格を取得する方法があります。
地方自治体が無料セミナーを提供していたり、50代以上を対象としたセミナーが行われていることもあります。
これらの資格取得の機会を利用して、マンション管理人としてのステップアップを目指すことも一つの方法です。
20代で正社員への就職・転職
マンション管理人の年収・給料のまとめ
マンション管理人は高齢者が定年退職後に年金を受けつつ行う仕事という考えが定着しており、それに合わせて給与が設定されていることから年収は低めです。
さらに、昇給の見込みも非常に限られているため、若いうちから働いて生活を支えることは難しい職業です。
給料アップを目指す場合は、マンション管理士や管理業務主任者の資格を取得して、マンション管理会社や不動産会社の正社員に転職するのが近道です。