コンシェルジュの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「コンシェルジュ」とは
ホテルなどで、お客さまのさまざまなリクエストに応えるサービスのプロフェッショナル。
コンシェルジュとは、おもにホテルで活躍する職業で、お客さまのさまざまなリクエストに応える「案内係」のことをいいます。
お客さまの要望は、観光案内やチケットの手配、レストランの予約など多岐にわたりますが、一人ひとりの要望にどれだけ親身になって応えていけるかがコンシェルジュの腕の見せ所であり、形やマニュアルだけにこだわらない臨機応変な対応が求められます。
ホテル以外に、最近では百貨店や高級マンション、病院、駅、レストランなどでもコンシェルジュが活躍できることがあります。
ホテルに勤務する場合、まず客室係やフロント係などを経てから実力や適性が認められてコンシェルジュになるのが一般的なルートです。
お客さまが望むことを的確に理解するのは大変ですが、よいサービスが提供できれば、たくさんの笑顔や感謝の言葉をいただくやりがいを感じられるでしょう。
「コンシェルジュ」の仕事紹介
コンシェルジュの仕事内容
接客のプロフェッショナル
コンシェルジュとは、主にホテルで観光案内やチケットの手配などを行う接客のプロフェッショナルのことです。
近年では百貨店・高級マンション・病院・駅・レストランなどにさまざまな場所で活躍しています。
コンシェルジュとはフランス語が語源で、本来「集合住宅(アパルトマン)の管理人」という意味で使われていました。
いまではホテルや百貨店など、お客さまが集まる場所でのリクエストにこたえる「案内係」のような意味として使われるようになりました。
お客さまの要望は多岐にわたり、ときには形やマニュアルにないサービスを求められることもあり、臨機応変な対応が求められます。
一人ひとりの要望に合わせた適切なサービスを提供する仕事だといえます。
コンシェルジュになるには
ホテルへの就職が近道
コンシェルジュになるには、コンシェルジュが最も活躍しているホテル業界への就職が近道です。
ただしホテル業界に就職したからといって、すぐホテルコンシェルジュになることはできません。
外国のお客様や緊急の相談を抱えたお客さまを対応するには、ホテルスタッフとしての業務経験が高いレベルで必要となるからです。
まずは客室係や荷物係を経てフロント業務などで経験を積み、実力が認められたあとにコンシェルジュとしてデビューする人が多いようです。
コンシェルジュの学校・学費
観光系の知識が学べる学校
コンシェルジュとして働くためには、幅広い知識と語学力が必要です。
ホテル業界へ就職したいと思った場合は、観光系の学部がある大学や、観光やホテルについて学べる専門学校へ進学するのが一般的です。
学校によっては、実務的な実習があったり、ホテルに勤務していた人が講義をしてくれたりと、現場の雰囲気や声を実際に感じることができます。
また、コンシェルジュとして活躍するには、語学力も必要です。
英語だけでなく、近年観光客の多い中国語や韓国語などを身に付けておくと、コンシェルジュになったときに役に立つでしょう。
コンシェルジュの資格・試験の難易度
語学系の資格があると役に立つ
コンシェルジュになるために、特別な資格はありません。
しかし、外国人のお客様を相手にすることもあるため、高い語学力は必須といえるでしょう。
TOEICスコアなど目で見る指標はもちろんですが、聞き取りや会話力など、実務的に利用できる語学力が求められます。
もし可能であれば、英語だけでなく、近年観光客が増加し需要も高まっている中国語や韓国語などアジア圏の語学も理解することができれば、コンシェルジュとしてより頼れる人材として重宝されるでしょう。
コンシェルジュの給料・年収
ホテル業界にしては高め
ホテルに勤務するコンシェルジュの給料は、勤務するホテルの規模にもよりますが、平均年収は400万円台と言われています。
ホテル業界は競争が厳しく、ホテルスタッフの仕事は、全般的にあまり給料が高くないことで知られています。
しかしコンシェルジュはホテルの顔となる重要な仕事のため、一般的なホテルスタッフよりは給料が高い傾向にあります。
百貨店や高級マンションで働く場合は、企業によって給料はまちまちですが、不規則な生活になりがちで、気遣いの絶えない仕事なだけに、「ハードなわりに給料が少ない」と感じる人が多いようです。
コンシェルジュの現状と将来性・今後の見通し
コンシェルジュの必要性が高まる
コンシェルジュは、接客業のプロです。
旅行を楽しむ人が年々増加し、さらに外国人観光客が増えるなかで、コンシェルジュの必要性は、今後ますます高まっていくと予想されます。
また、少子高齢化にともない、百貨店やマンション、病院などさまざまな場所でお客さまの案内やサポートをするコンシェルジュも必要となってくるでしょう。
しかし、案内ロボットなどAIの台頭により、その仕事が脅かされるという懸念もあります。
人にしかできない臨機応変な対応ができるオールマイティなコンシェルジュは、ますます活躍の場が増えることでしょう。
コンシェルジュの就職先・活躍の場
ホテルがメイン
コンシェルジュは主にホテルで活躍しています。
ホテルコンシェルジュという名前で求人募集しているところは、大規模ホテルや外資系ホテルが多く、単に「フロント係」「案内係」としているところもあるので、求人を探す際は注意が必要です。
高級マンションや企業でも普及し始めていて、病院に来た人への対応をする「病院案内コンシェルジュ」や、駅で案内をする「ステーションコンシェルジュ」、百貨店でサービスを担う「ボーテ・コンシェルジュ」などホテル意外の場所でもさまざまな種類のコンシェルジュが活躍しています。
コンシェルジュの1日
一日は仕事によってさまざま
コンシェルジュの一日は、勤務する場所によってまったく異なります。
また、コンシェルジュはシフト制が中心となるため、同じ仕事でも朝から夕方まで勤務することもあれば、夜勤になることもあります。
コンシェルジュの一日(早番)
6:00 勤務開始
チェックアウトされるお客さまを案内しお見送ります。
フロントが混雑するので、ヘルプに入ることもあります。
10:00 お客さま対応
周辺の観光案内やタクシーの手配、お客さまからの電話対応などに追われます。
手荷物の預かりや館内の案内などはスタッフに引継ぎます。
11:00 昼休み
混雑しがちな昼の時間帯を避けて休憩します。
15:00 チェックインのピーク
チェックイン開始の時間帯は、フロントが混雑し案内も多くなります。
できるだけお客さまをお待たせしないよう。迅速かつていねいに対応します。
16:00 勤務終了
交代するコンシェルジュやスタッフに仕事を引き継ぎます。
お客さまからの要望や意見があれば、共有します。
コンシェルジュのやりがい、楽しさ
お客さまの「ありがとう」
コンシェルジュは、お客さまからの要望を聞き、「ありがとう」の言葉をかけてもらえることが何よりのやりがいです。
自分が行なったことで、お客さまから笑顔や感謝の言葉を直接もらうことができ、自分のサービスがどれだけお客さまの役に立ったのかを実感できます。
さらに、お客さまから信頼を得られれば、「コンシェルジュのサービスが良かったから」とホテルのリピーターになってもらえることもあります。
自分のサービスで、自分が働くホテルや企業を好きになってもらえる、それがコンシェルジュのやりがいだといえるでしょう。
コンシェルジュのつらいこと、大変なこと
マニュアルのない仕事
コンシェルジュは、お客さまや来館した人に対し、さまざまなサービスを行います。
しかし、ときには無理難題を言われたり、クレームを受けたりしてしまうこともあります。
お客さま一人ひとりが望む対応は異なるため、マニュアル通りにすればよいというわけではなく、お客さまが何を求めているかをしっかりと把握しなければ、満足していただくことはできません。
また、コンシェルジュを利用する方は、お年寄りから親子連れまで、年齢も性別もバラバラで、ときには外国人を対応することもあります。
同じサービスでも相手によって臨機応変に対応しなければならないので、常に神経をすり減らす仕事です。
コンシェルジュに向いている人・適性
常に情報収集できる人
コンシェルジュは、さまざまなサービス業の中でも特に専門的なスキルと豊富な知識が求められます。
ホテルや百貨店など、企業の顔となってお客さまの要望に応えるには、さまざまな知識とスキルが必要です。
館内の様子だけでなく、周辺の観光情報、公共交通機関などあらゆることについて詳しくなくてはなりません。
サービス精神が旺盛なことはもちろんですが、お客さまのために常にアンテナを張って積極的に情報収集をしていけることは、コンシェルジュを目指す人にとって大切なことです。
コンシェルジュ志望動機・目指すきっかけ
企業の顔として働ける華やかな世界
コンシェルジュは、ホテルや百貨店など、企業の顔として代表してお客さまをご案内します。
とても華やかな世界で、旅先などで実際にその姿見てその姿に憧れる人も多いでしょう。
しかし、コンシェルジュになるためには、まず接客のプロとして一人前でなくてはなりません。
自分はどんな接客をしたいのか、コンシェルジュになってどのようなサービスを提供したいのかなど、しっかりと考えておかなくてはいけません。
就職したからといっていきなりコンシェルジュになれるわけではありませんので、「いずれはコンシェルジュになりたい」としっかり伝えて置くことも大切です。
コンシェルジュの雇用形態・働き方
多くはシフト制
コンシェルジュの多くはシフト制で働いています。
ホテルの場合は24時間、百貨店など企業で働く場合は、開店から閉店までがコンシェルジュの勤務時間です。
お客さまがいる間、コンシェルジュは常駐しているところが多いので、複数のコンシェルジュが交代で勤務しているところがほとんどです。
コンシェルジュの多くは企業の正社員として働いていますが、企業の受付や案内係を兼ねている場合は、契約社員や派遣社員の場合もあります。
コンシェルジュの勤務時間・休日・生活
休日も情報収集が欠かせない
コンシェルジュは交代で休みを取ります。
お客さまが増える土日は基本的に出勤となり、年末年始や大型連休などの繁忙期は休みが取れないということも多い仕事です。
またコンシェルジュは休日も自己研鑽を欠かしません。
お客さまからの幅広い要望やリクエストにこたえるために、プライベートでも語学や外国の生活文化を勉強したり、周辺の歴史や地理、観光地について勉強したりします。
ときには自ら足を運んだりすることもあり、こうした裏での地道な努力がコンシェルジュの仕事を支えています。
コンシェルジュの求人・就職状況・需要
「コンシェルジュ」の求人は少ない
コンシェルジュとしての仕事は、日本ではまだ認知度がそれほど高くなく、募集も少ないのが現状です。
また、花形の仕事であるコンシェルジュは、人気が高く試験も高倍率となることも少なくありません。
企業の受付や案内係など「コンシェルジュ」に近い仕事の求人はありますので、コンシェルジュを目指す人はそこからチャレンジしてみるのもよいかもしれません。
また、コンシェルジュが常駐しているホテルや百貨店などに就職し、フロントや接客係として働きながら、コンシェルジュを目指すという方法もあります。
コンシェルジュの転職状況・未経験採用
業界は中途採用も多い
コンシェルジュに限らず、ホテル業界や観光業界は、異業種からの中途採用も積極的に行っています。
ホテルや観光業ではお客様に対するホスピタリティが求められるため、異業種からでもしっかりと社会経験や接客経験があればプラスに判断される場合が多いのです。
新卒で就職できなかった場合は、接客など別な職種で経験を積み、転職を狙うという手もあります。
高級マンションのコンシェルジュなど住宅コンシェルジュの場合は、それほど過度な接客が求められないため、接客経験がなくても応募可というところもあります。