救急救命士国家試験の難易度・合格率

救急救命士国家試験とは

救急救命士国家試験の特徴

救急救命士として働くためには、年に一度実施されている救急救命士国家試験に合格することが必要です。

ただし、この試験には受験資格があり、それを得るためには所定の救急救命士養成校に2年以上通うか、消防署での5年間の勤務+半年間の研修が必要となります。

ですが、救急救命士の資格を取得しただけでは、救急救命士として仕事ができるわけではありません。

多くの場合、消防官になるための公務員試験を受験し、消防官になったのちに救急救命士として活躍する流れとなります。

出題範囲は医学の基本が中心

救急救命士国家試験の出題範囲は、医療従事者として必要とされる医学知識と治療技術に関するものが大半です。

そのほか、傷病者の搬送の際の注意点など、救急救命士ならではの問題も出題されます。

こうした出題範囲は実際に救急救命士として働く際にベースとなる知識であり、実務において傷病者の命を左右する非常に重要な分野です。

決しておろそかにせず、真剣に学習しておかなくてはなりません。

なお、救急救命士国家試験は過去問をまとめた書籍があるほか、インターネット上でも公開されています。

例年、類似した問題が出題されているため、隅々まで学習するに越したことはありませんが、まず基本となる問題を落とさないようにすることが合格へのポイントです。

消防官採用試験もおろそかにしない

救急救命士国家試験を突破した後、おおくの資格取得者は消防官採用試験(地方公務員試験)を受験します。

救急救命士の就職先はほとんどが消防署となるため、消防官採用試験を突破しなくては救急救命士として働くことは難しくなります。

消防官採用試験の内容は、救急救命士国家試験のような専門知識を問う問題ではなく、一般常識(数学や英語、政治経済など)の問題が大半を占めます。

なお、救急救命士国家試験と消防官採用試験は出題内容もまったく異なりますので難易度の比較はできませんが、合格率からすると消防官採用試験のほうが苦戦する人が多い傾向にあるといえるでしょう。

救急救命士国家試験と消防官採用試験の勉強を両立して進めなければならないため、早めの対策と学習計画を立てることが必要になります。

救急救命士になるには? 必要な資格は?

救急救命士国家試験の受験資格

救急救命士国家試験を受験するためには、おもに以下の要件を満たす必要があります。

  • 救急救命士養成校に2年以上通う
  • 消防署での5年間の勤務+半年間の研修(現役消防官が対象)

これから救急救命士をこころざすのであれば、救急救命士養成校に2年以上通い、受験資格を得る方法が最速といえます。

※専門学校であれば最短2年または3年、大学であれば4年の期間がかかります。

ですが、救急救命士として仕事をするためには、消防官試験に合格しなければなりません。

こちらは公務員試験に該当しますので、受験することができる年齢制限があり、試験の種類にもよりますが、多くの自治体では29歳以下という制限を設けています。

救急救命士国家試験の難易度・勉強時間

救急救命士国家試験の合格率は例年「80%以上」となっており、看護師国家試験などと比べると合格率はやや低めであるものの、比較的高い合格率を保っているといえます。

ただし、この試験はあくまでも救急救命士として活躍したいと強く思っている人が受験するものであり、受験生はみな、きちんと受験対策をしたうえでの数字となります。

他の資格試験と同じように、具体的にどの程度の勉強時間が必要かというのは、人によって異なってきますので一概にはいえません。

養成校できちんと基礎知識から専門知識を吸収し、実習なども真剣に取り組んでいれば、試験に合格することはさほど難しくはないでしょう。

消防官試験と同時進行しながらの受験勉強となりますので、1日の勉強時間をしっかりと決め、メリハリをつけたスケジュールを組むことが大切です。

救急救命士の試験の受験者数・合格率

救急救命士国家試験受験者数の推移

救命救急士国家試験の受験者数は、徐々に増えている傾向にあります。令和5年度は前年に比べやや増加し3,330人となっています。

救急救命士国家試験受験者数_令5

救急救命士国家試験合格率の推移

救急救命士国家試験の合格率は、85%以上を推移しています。令和5年度の合格率は94.2%となりました。

救急救命士国家試験合格率_令5

令和5年度 救急救命士国家試験合格者の男女比

令和5年度の救急救命士国家試験合格者の男女比は、男性は2,849人、女性288人で比率にすると男性90.8%、女性は9.2%となっています。

救急救命士国家試験合格者男女比_令5

令和6年度 救急救命士国家試験の概要

試験日 令和7年3月9日(日曜日)
試験地 北海道、東京都、愛知県、大阪府、福岡県
受験資格 文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した救急救命士養成所において、1年以上救急救命士として必要な知識及び技能を修得したもの(令和7年3月14日(金曜日)までに修業又は卒業する見込みの者を含む。)など
受験手続き 受験に関する書類は、令和7年1月6日(月曜日)から同年1月24日(金曜日)までに、一般財団法人日本救急医療財団へ提出すること。
試験科目 (1)基礎医学(社会保障・社会福祉、患者搬送を含む。)
(2)臨床救急医学総論
(3)臨床救急医学各論(一)(臓器器官別臨床医学をいう。)
(4)臨床救急医学各論(二)(病態別臨床医学をいう。)
(5)臨床救急医学各論(三)(特殊病態別臨床医学をいう。)
合格率 94.2%(令和5年度)
合格発表 令和7年3月31日(月曜日)午後2時に、厚生労働省ホームページの資格・試験情報のページにその受験地及び受験番号を掲載し、一般財団法人日本救急医療財団のホームページにおいてもその受験地及び受験番号を掲載して発表
受験料 30,300円
詳細情報 厚生労働省 救急救命士国家試験